碩学のファインマン

 2014年、東京下町江戸川区の弁当工場「祝一」に勤めていた根岸豪志は、長年悩まされた不眠症も快方に向かい順風満帆に思えたが、会社の上司にストーカーされ、毒入りジュースも飲まされる。
 一命をとりとめた豪志はネットを駆使し反撃に出るが、逆に「頭がおかしい」と言われ、群馬県伊勢崎市の「原病院」という精神病院に送られてしまう。そこで出会った院長の淳子先生や看護師、スタッフ、患者の女の子たちとすっかり仲良くなり次々とナンパする。院内でのスマホの使用と東京の自宅への「外泊」を許可された豪志は、twitterとfacebookを駆使し、2015年1月から3月に、伊東乾、村田美夏、堀江貴文、津田大介、左巻健男、北条かや、鈴木柚里絵と親しくなり、東京と群馬を往復する大冒険を展開する。あらゆる学問を修める「碩学」の東大教授伊東乾と哲学や経済学の話で意気投合し、東大生たちに「碩学のファインマン」と呼ばれた豪志は、アイドルを大量にナンパしているうちに、美少女たちが豪志を追って大移動を始める。
 最終的にリベラル対保守の大規模な対立へと発展し、「テロ特措法違反容疑」で警視庁に指名手配された豪志たちは3月6日に日比谷のペニンシュラホテルに集まる。そこでリベラル派の大人たちと対面した豪志だが、右翼に襲われ、品川署に保護された。そして、原病院で2度目の入院が始まる。
 病院内では相変わらずモテている豪志だが、東大情報学環の技術、テレパシーで伊東乾たちに誘導され、離院(脱走)を試みるが失敗続き。仕方なく普通に退院し、千葉県松戸市の実家に帰るが、相変わらずテレパシーの指示を受ける豪志はクスリを飲まなくなり、東京大学、六本木ヒルズを行き来するようになる。東大病院のロビーに寝泊まりし、今度はオバマ大統領とテレパシーで世界中を世直しの旅に出る。
 奇しくも、現実の世界でもオバマ大統領の世界行脚は行われ、「goki」と呼ばれた豪志と、2016年5月22日、広島スピーチで「世界平和」を達成する。世界平和の恩恵で世界中から豪志の頭に情報が集まり、「LGBTの研究」などノーベル賞級の秘密を大量に知る豪志。平成天皇に呼ばれ、皇室改革にも乗り出し、平成天皇は「生前退位」を発表する。
 そして、それ以降、徐々にテレパシーは消えていき、豪志には統合失調症だけが残った。豪志の体験が、現実か妄想かで精神科医と激しく対立し退院は遠のく。入院中に分かったこと。リベラルと保守の対立の本質とは。様々な哲学的、経済学的難問に向き合い、また精神医療の本質とも向き合った豪志の6年間であった。
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