10 / 80
第一章
10.熱に沈み込む ★
しおりを挟む
「はあっ………リア、君はどこを触っても柔らかくて……良い匂いで、おかしくなりそうだ……」
「あっ……ふうっ……ゼル、ドリックさま……」
甘い睦み合いは続いていた。お互い熱を逃すために、また新たな熱を生み出すかのように、身体を擦り合わせ、必死に相手を求めた。ゼルドリックがリアの耳に舌を這わせると、お返しとばかりに、リアは尖った彼の黒い耳に指を滑らせ柔らかく食んだ。
「あっ……!? はぁっ……やめろ、そこはくすぐったい……。全く、エルフの耳はそれなりに敏感なのだぞ……悪い子だな君は……仕置きだ」
「ん、ん……!? あっ? あ、ああああぁっ……!」
ゼルドリックは唾液と汗でぬらぬらと光る乳輪から乳首を、ごく優しく弾いた。
「ははっ……この程度の強さなら、君は快楽を感じるらしいな。……なあリア、もっと君のことを教えてくれないか? 女の身体をこうして暴くのは初めてゆえに、君に教えてもらいたいのだよ……どうすれば女は感じるのか」
「あっ……あっ……やっ、やだ、そのはじくの、やめてぇっ!」
「どうしてだ? 君はとっても良さそうに見える。涎まで垂らして……」
絶えず喘ぎ、口の端から唾液を滴らせるリアのかんばせは情欲の火に煮込まれ続け、蕩けきっていた。ゼルドリックは長い舌でゆっくりと涎を舐め上げ、リアの柔らかい頬までを味わう。乳首を苛めば、リアは甘い悲鳴を上げた。
「あっ……その、はじくの、刺激が強いのっ……もっとやさしく……」
リアは潤んだ目で懇願した。ゼルドリックは、このまま尖りを弾き続けてリアを苛みたいと考えてもいたが、彼女の願いを聞き入れることにした。
「そうか、なら指で優しく捏ねてやろうか」
「ひっ……!」
胸の頂を二つの指で優しく、芯を確かめる様に捏ねると、リアは強く身を捩らせた。
「あああっ……あっや、やだぁ! それもだめ……」
「何故だ? 君の望み通りにしたのに……」
「うあああっ……じんじんするの、ぉっ……! やあっ! 引っ張らないでぇ……!」
「ほう。指で優しく撫でるのはどうだ……?」
「あああ……うぅ……それも、つらいのっ……」
「あれも駄目、これも駄目……女というのは我儘な生き物なのだな。それとも君が特別敏感なのか……。だが、どれも堪らなく気持ち良さそうなのは分かったから、もう俺の好きにさせてもらおうか……」
「あああああっ……。ああ、やだあっ……! ゼル、ドリックさま、気持ちよすぎるのっ……あああ、もう、もう……!」
ゼルドリックはそう宣言し、リアの胸を舌や指で好き勝手に苛んだ。リアが強い快楽に擦り切れた悲鳴を上げてもお構いなしに、自分の熱を植え付けていく。魔力を操り、縄を食い込ませるかのようにリアの胸を柔く縛りあげれば、リアは被虐の涙を流した。
(リア、君は……。少しだけ厳しくされるのが好きなようだな……? ははっ……。なんて、理想の女なのだろう。可愛い、堪らない、もっと虐めてやりたい……だが、俺も限界だ)
ゼルドリックは己の昂りが熱を持ち、今にも暴発しそうなことを自覚していた。熱を逃したくて、急いで前を寛げ性器を露出させる。
「あ……」
リアはそれを見て息を呑み、目を見開いた。ゼルドリックの性器は黒く大きく、粘液を纏いぬらぬらと光っている。太い血管がいくつも走り、快楽を与えられることを待ち望むかの様に強く反り返っていた。
「あっ……それが……ゼルドリック様の……?」
リアはその凶悪さに身を震わせた。こんなものは見たことはないとでも言うように、いやいやと首を振って逃げようとしたが、ゼルドリックはそれを許さず、リアの腕を掴んだ。ゼルドリックは先走りで濡れるそれを、リアの白く柔らかい腹を汚すように擦り付ける。
「逃げるな……。逃げるのは許さない。なあ……感じるか……? 俺の熱さを。君の身体に触れて、どうしようもなく興奮して、こんな風になってしまったのだ……」
「あっ……あつ、い……!」
腹に擦り付けられる硬いもの。その感触に、リアは自分の熱がまた一度上がった気がした。
(私の身体で、こんな風になったというの……?)
擦り付けられるゼルドリックの性器は異様にも見えるのに、リアは彼の一部だと思うと愛おしさを感じた。とくり、とリアの胸が跳ねる。目の前の男が、劣等感を抱き続けていた自分の身体に大きな興奮を抱いてくれた事が嬉しかった。自分が受け入れられたような気がして、心に充足感が満ちていく。リアはそっと、猛る黒い剛直に手を添えた。
「……ゼルドリック、さま……」
「はあっ……リア……? リア……! あっ……、信じられない、君が触れてくれるなんて……!」
リアが優しく男根を擦ると、ゼルドリックは色を含んだ息を深く吐き、眉を寄せた。リアは微笑みながら、ぬるついた陰茎に白い手を滑らせる。その微笑みは優しく、だからこそとても淫らに見えて。ゼルドリックは興奮の息を荒く吐き、リアの手に陰茎を擦り寄せた。
――恋焦がれた女が、自分に触れている。
自分の熱を気遣う目の前の女がただ愛おしく、ゼルドリックは自らの目が興奮で潤むのを感じた。こんな幸福があって良いのだろうか? 自分は今、彼女と睦み合っている……。
「愛い……な、リア……君の白く、小さな手がっ……俺のを握っているのだ、と思うと……」
ゼルドリックはその続きを紡げなかった。下手に喋ると、リアの手をべたべたに汚してしまいそうだった。柔らかな手の中で昂りを解き放ってしまいたかったが、ゼルドリックはまだリアの身体を犯したいと考えていた。リアの手を握り、優しく抑え留める。
そして先に進もうと濡れそぼり、意味を為さない下着に手を入れれば、リアの身体が大きく跳ねた。
「あああっ! ……あ、ぜ……ゼルドリック、さま……!?」
リアの身体が一気に強張る。その際ゼルドリックは、リアの瞳によぎったものを見逃さなかった。期待、快楽、情欲。
そして、怯え。
「リア……。怖いか?」
問いかければ、リアは身体を固くしたまま、目を逸らした。
「……は、い……。私、は……。今までにこんなことしたことないから……」
「優しくするが」
「っ……。ごめん、なさい……。ゼルドリック様が優しいことは分かっているのに、これは、夢だって分かっているのに……。でも……どうしてか、身体の力が抜けない……。ゼルドリック様の、それは……すごく大きいし、入らなさそうだし……。初めては痛いって聞いてるし、とても怖い……」
リアは啜り泣き、不安を吐露した。
「ごめんなさい……。呆れますか? 冷めて、しまいますか……? 嫌いにならないで……」
「そんな訳ないだろう」
ゼルドリックは優しく微笑んだ。無理に膣内を暴いては、リアに精神的な負担を与えてしまう。リアにはとことん優しくしてやりたい。ゼルドリックは、決してリアを怖がらせたくは無かった。安心させるように赤い髪を何度も撫で、額に唇を寄せた。本音を言えば、リアの内に入り、暴き、一番深い所でこの熱を解き放ってしまいたい。だが、熱に苛まれながらもゼルドリックはそれを選ばなかった。
「大丈夫。……大丈夫だよ、リア。君を怖がらせるつもりはないんだ」
触れるだけのキスを口に落とす。ごく優しく、下着の中の指を動かせば、リアの瞳は一層潤んだ。
「無理強いはしないし、最後まではしない。いつか、君が自分から俺を求めてくれるまで待つから……。だから、少しだけ触れさせてくれないか……」
「はぁっ……ゼルドリック、さま……」
「少しだけ……」
リアはゼルドリックの青い瞳を見た。黒の王子様は、ただ優しく、甘く、リアを心から大事に思っている様だった。
(なんて、優しいの……)
リアは目を閉じ、頷いた。喜びの涙がひとつ零れ落ちた。痛みとともに、無理やり全てを奪い去られてしまうかもしれない。その想像はリアの心に仄暗い欲望と影を落としたが、その恐ろしい想像は、ゼルドリックの優しさの前に、緩やかに解けていった。
彼は自分という存在を大切に思い、尊重してくれている。包まれるような安心感は、仄暗い想像を上回る、持続的な心地よさをリアにもたらした。心の欠けた部分が、ゼルドリックによって急速に埋められていく。自分は受け入れられている……。
「リア……なるべく優しくする……君に気持ち良くなってほしいだけなんだ……」
ゼルドリックはリアの秘部に添えた指を、柔らかく上下に動かしながら、形を確かめるようにゆっくりと探った。くちゅり、くちゅりと粘り気のある水音が響き、リアは尚更顔を赤くさせた。
「あっ……あっ……あ、ゼルドリックさま……はずかしい……」
「雫が、滴っている……。良かった。君は……俺の愛撫で、感じてくれたのだな……」
ぬかるみと熱が指に纏わりつく。リアの秘められた生々しい部分を暴いているという事実に、ゼルドリックの頭が目眩を起こしそうなほど熱くなる。
「ふっ……あああっ……あっ……」
「君のここは、とても温かいな……。なあ、リア。君の気持ち良いところを教えてくれないか……? もっと知りたいんだ、君の身体のことを……」
「ふっ!?」
リアの様子を伺いながら指を動かすと、リアの身体が大きく跳ねた部分があった。
「見つけた……ここか?」
「あっ……あ!? ああああああっ!」
直接見なくとも、指で触ればその部分がどんなに張り詰めているか分かる。リアの秘められたそこの、上部にある尖った部分を愛液を絡ませて優しく円を描くようになぞれば、リアは感じ入った声を上げた。
「あああっ……あっ……ううっ……! はああああああああぁぁっ……!」
「リア、良さそうだな……?」
(ああ、この顔……。この顔は、堪らない……!)
ゼルドリックに身体を委ね、強い快楽の前に力なく啜り泣くリアの顔。ゼルドリックからの嗜虐を全てその一身に受け入れて、快楽の涙を流す顔。リアのその姿はゼルドリックの脳裏に強く焼き付けられ、離れなくなってしまった。リアの柔らかな微笑みが掻き消される、もっと虐めたい。もっと喘がせたい。もっと苦しませたい。もっと、快楽にすすり泣くリアの泣き顔を見たいと望んでしまう。
「あっあっ……そこぉっ……そこは、敏感な部分なの……! ふうっん……」
「分かっている……ここを触ると君の身体が跳ねて、どんどん汁が溢れてくるからな……そんなに気持ち良いならこのまま、触り続けることにしようか……」
ゼルドリックはわざと意地悪さを滲ませて、リアの芽に指を滑らせた。指と芽の境界が分からなくなるほどに、ゼルドリックの指はリアの愛液でふやけていく。
「ははっ……。は、はははっ……! ぐちょぐちょだな? リア……」
「う、うううう……ああああ! いじ、わるっ……あっ!? ……やあ、あっ……あああああああああっ!」
リアはゼルドリックを睨もうとしたが、力を込めた指になぞり上げられ、強い快楽の前に目を瞑り絶頂を迎えた。リアはぴくぴくと身体を痙攣させ荒い息を吐いたが、ゼルドリックは猶もリアを苛んだ。
「やっ……ゼル、ドリックさま! そこ、触るのやめてっ……すごく敏感で、いま、触られるとくるしいの……」
「ほう、そうなのか……? ああ、でも俺は、君が達する瞬間をもっと見たいんだ……」
「やだあっ……本当に、本当にそこは駄目な部分なの! ……んっ!? んんんん! っんぐぅっ……」
リアの抗議を止めるように、ゼルドリックは口を塞いだ。そして指で肉芽をなぞり続けると、再びリアの身体が大きく跳ね、すぐの絶頂を迎えた。
「あ、ああああ、あ……。ひどい……酷いよお……」
「でも君は悦んでいるだろう……? ここからずっと溢れさせ続けている。……君は、本当に、ここが気持ち良くてたまらないみたいだな……」
「ああっ! おねがい……お願い! もう手を止めて……おかしく、なるからあっ……!」
「君がおかしくなっても……俺は喜んで受け入れるさ」
「うっ……ふ、えぇ……本当に、つらい、のに……!」
「ああ……ごめんな、リア……君が可愛くて、止めてあげられない」
ゼルドリックはリアに覆い被さり、剛直を太ももに擦り付けながら、執拗にリアの肉芽を虐め抜いた。耳に舌を這わせ、好きだと言いながら耳たぶを食む。
「この張り詰めた部分をなぞるだけで、君がこれほど蕩けきった表情を見せるとは……勉強になるよ、君の身体はいやらしいものだな……」
「うああっ………また、い、くぅっ……」
リアはゼルドリックの手で三度目の絶頂を迎えた。肉芽だけに執拗に与えられる強い快楽。逃げ場なく与えられる快楽は強すぎて本当に辛いのに、被虐志向のあるリアは同じくらいに悦んでいた。リアは自らを慰める時、その場所に頻繁に手を伸ばしてきたが、ゼルドリックから与えられる快楽は凄まじく、自らの手で慰めた時と比べようもなかった。
自分を取り繕っていた薄い皮のようなものが、ゼルドリックによって剥がされていく。いやらしさが、秘めた欲望が露わになる。リアはゼルドリックの手で生まれ変わっていくような気がした。
――黒の王子様は、こんなにも私を愛してくれている。
リアは鋭すぎる快楽に身を強張らせつつも、空虚な心に歓喜が満ち溢れていくのに従い、ゼルドリックを求めた。
もっと欲しい。
もっと、もっと、私を愛して。
私の無力さを嘲笑って、全部奪って、何も残らなくなった私を汚して、抱きしめて、口付けて……
リアは、朦朧とする意識の中、心の内で強く王子に懇願した。
「ゼルドリック様……ゼルドリックさま……!」
「リア、リア……好きだ……!」
「あっあっ……あああっ…ふ、ああああああああああっ……」
幾度となくゼルドリックの手により絶頂を迎えさせられた後、リアは強烈な快楽に溺れ気を失った。
――――――――――
ゼルドリックはリアが気を失ったことを確認すると、幻惑を見せる魔法を解いた。
目の前には強い快楽に気を失い、力なくその身を投げ出すリアがいる。リアの寝衣は汗や唾液や愛液で濡れ、その白い身体は光を受けて透けている。暴かれた身体に与えられた快楽の強さを物語るかのように、気を失いながらも、胸の頂きは赤く腫れて震え、下半身は不規則に痙攣していた。ゼルドリックは、リアの汗ばむ額に貼り付いた髪を優しく払い、優しくキスを落とした。
リアの部屋には強烈な真夏日の日差しが差し込んでいる。夏のからっとした明るさに相応しくない、じっとりとした淫靡な空気が、リアの部屋には漂っていた。
「はあっ……はあっ……はあっ……あ、ああ……リア、リア……リア、好きだ……!」
ゼルドリックは汗みずくの身体に自分の匂いを擦りつけるかのように、リアの胸から腹に剛直を擦り付け、そして勢いよく射精した。リアの身体を使った自慰はゼルドリックを興奮で熱くさせた。凄まじい量の白濁が、リアの身体を汚していく。リアの大きな胸から柔らかな腹、窪んだ臍に、ゼルドリックが放った白濁がとろりと垂れていく。ゼルドリックはしばらく呆けたまま、それを見ていた。
「はあっ……はあ……は、あ、あははっ……リア、リア……。綺麗……だな……」
自分の白濁に塗れるリアを目の前にして、ゼルドリックは充足感に息を吐いた。夏日に照らされるリアは綺麗で淫靡で、ゼルドリックは心の底から、この女を自分だけのものにしてしまいたいと望んだ。
昂りを解き放ったというのに、まだ獣欲が収まらない。リアを怖がらせることはしないと約束したばかりだというのに、気を失った彼女の脚を開いて、無理やり内を暴いてしまいたくなる。彼女に対しての欲が、どんどんと強くなっていく。
――犯したい。彼女を、今すぐ自分だけのものにしたい。
冷静な頭で、一瞬よぎった想像を打ち消す。彼女を怖がらせることはしないと決めた筈なのに。ゼルドリックは自分で自分が分からなくなってしまった。
(……俺は、一体どうしてしまったんだ……?)
今まで。リアの柔らかく微笑む顔が大好きで。少しでも気持ちを知って欲しくて。手を繋ぐだけで、口付けをする想像だけで、とても心が満たされたはずなのに。熱に魘されるリアを見てから。唇に触れた時掠れた声を上げたリアを見てから。自分がおかしい……。
――リアを汚したい。胸を嬲りたい。存分に秘部を虐め、腰を打ち付け、白い腹に子種を植え付けたい。
今は、そんな欲望が絶え間なく内から湧き出てくる。リアの唇、汗みずくの白い胸を見たあの時に、きっと自分は何かが決定的に変わってしまったのだと思った。それは不可逆で、元には決して戻らないのだろうという感覚があった。
――リアの泣く顔が頭から離れない。あの顔をもっと見たい。
嫌だと拒否の言葉を言う癖に求めたがりで、少しだけ意地悪をしてやれば目を潤ませ、快楽を拾おうとする貪欲なリア。虐められるのが好きなリアと、彼女を虐めるのが好きな自分。あの性行為はあまりにも良すぎた。もっと、彼女を溺れさせたい。もっと、もっと、もっと……!
ゼルドリックは己の欲望に正直に従うことにした。これからもリアを味わい続ける為に出来ることを、全てやってしまおうと決めた。
ゼルドリックはリアの唇にキスを落とし、何やら囁いた。すると彼女の肌に解き放たれた白濁が、すっと身体の中に染み込んでいった。ゼルドリックは魔力が滲み出した精液を、純粋な魔力へと変えそれをリアの身体の中に満たした。リアの身体に新たな魔力が取り込まれたことを確認して、ゼルドリックは暗く笑った。
(リアに、俺の魔力を染み込ませなければ。誰も触れられないくらいに。誰も近寄らないくらいに。もっと、もっと。リアを俺の魔力に慣れさせるのだ。そして日々、魔力でねっとりと犯してやる)
(手加減などしない。リアが熱を出しても構うものか。俺が治し、そしてまた熱を植え付けてやるのだ。リア、君を得るために……)
ゼルドリックには、ある計画があった。そのためには、リアに己の魔力を与え続けなければならない。
ゼルドリックはリアの寝衣を整え、魔法でシーツや服、リアの身体に付いた汚れを取り去った。そして、リアの部屋が元の穏やかな空気を取り戻したことを確認すると、ゼルドリックはリアのサイドテーブルに書き置きと小包を残し、家を後にした。
ゼルドリックは鍛冶場の前で、右腕を天に掲げた。その右腕はおどろおどろしい黒い靄に覆われ、やがて、その靄から何十羽もの、何百羽もの黒い鷹が、煙のように渦を巻いて飛び立っていった。
「は、ははっ……あはははっ……」
ゼルドリックは笑った。腹の底から笑った。自分に根ざした、隠れていた欲望がすっかり露わになった気がした。きっと自分はこんな暗い欲望をずっと抱え続けていたのだ。だが、今生まれ変わった。これからはリアのために、リアを自分へ堕とすために。ありとあらゆる手段をとり、知謀を巡らせる。心から湧き上がるものが止められない。愉しくて仕方がない。
ゼルドリックの脳裏には、白濁に塗れるリアの身体が焼き付いている。何度も何度も、あの姿を見たいと思った。溺れるほどに白濁に沈めてやりたい。リアを自分のものにしたい。絶対に誰にも渡したくない。あの女は自分のものだ。
――リア、俺の愛おしい姫君。
自分の中で、何か黒いものが蠢き続けている。ゼルドリックは最後にひとつ笑い、その蠢きに身を任せた。
「あっ……ふうっ……ゼル、ドリックさま……」
甘い睦み合いは続いていた。お互い熱を逃すために、また新たな熱を生み出すかのように、身体を擦り合わせ、必死に相手を求めた。ゼルドリックがリアの耳に舌を這わせると、お返しとばかりに、リアは尖った彼の黒い耳に指を滑らせ柔らかく食んだ。
「あっ……!? はぁっ……やめろ、そこはくすぐったい……。全く、エルフの耳はそれなりに敏感なのだぞ……悪い子だな君は……仕置きだ」
「ん、ん……!? あっ? あ、ああああぁっ……!」
ゼルドリックは唾液と汗でぬらぬらと光る乳輪から乳首を、ごく優しく弾いた。
「ははっ……この程度の強さなら、君は快楽を感じるらしいな。……なあリア、もっと君のことを教えてくれないか? 女の身体をこうして暴くのは初めてゆえに、君に教えてもらいたいのだよ……どうすれば女は感じるのか」
「あっ……あっ……やっ、やだ、そのはじくの、やめてぇっ!」
「どうしてだ? 君はとっても良さそうに見える。涎まで垂らして……」
絶えず喘ぎ、口の端から唾液を滴らせるリアのかんばせは情欲の火に煮込まれ続け、蕩けきっていた。ゼルドリックは長い舌でゆっくりと涎を舐め上げ、リアの柔らかい頬までを味わう。乳首を苛めば、リアは甘い悲鳴を上げた。
「あっ……その、はじくの、刺激が強いのっ……もっとやさしく……」
リアは潤んだ目で懇願した。ゼルドリックは、このまま尖りを弾き続けてリアを苛みたいと考えてもいたが、彼女の願いを聞き入れることにした。
「そうか、なら指で優しく捏ねてやろうか」
「ひっ……!」
胸の頂を二つの指で優しく、芯を確かめる様に捏ねると、リアは強く身を捩らせた。
「あああっ……あっや、やだぁ! それもだめ……」
「何故だ? 君の望み通りにしたのに……」
「うあああっ……じんじんするの、ぉっ……! やあっ! 引っ張らないでぇ……!」
「ほう。指で優しく撫でるのはどうだ……?」
「あああ……うぅ……それも、つらいのっ……」
「あれも駄目、これも駄目……女というのは我儘な生き物なのだな。それとも君が特別敏感なのか……。だが、どれも堪らなく気持ち良さそうなのは分かったから、もう俺の好きにさせてもらおうか……」
「あああああっ……。ああ、やだあっ……! ゼル、ドリックさま、気持ちよすぎるのっ……あああ、もう、もう……!」
ゼルドリックはそう宣言し、リアの胸を舌や指で好き勝手に苛んだ。リアが強い快楽に擦り切れた悲鳴を上げてもお構いなしに、自分の熱を植え付けていく。魔力を操り、縄を食い込ませるかのようにリアの胸を柔く縛りあげれば、リアは被虐の涙を流した。
(リア、君は……。少しだけ厳しくされるのが好きなようだな……? ははっ……。なんて、理想の女なのだろう。可愛い、堪らない、もっと虐めてやりたい……だが、俺も限界だ)
ゼルドリックは己の昂りが熱を持ち、今にも暴発しそうなことを自覚していた。熱を逃したくて、急いで前を寛げ性器を露出させる。
「あ……」
リアはそれを見て息を呑み、目を見開いた。ゼルドリックの性器は黒く大きく、粘液を纏いぬらぬらと光っている。太い血管がいくつも走り、快楽を与えられることを待ち望むかの様に強く反り返っていた。
「あっ……それが……ゼルドリック様の……?」
リアはその凶悪さに身を震わせた。こんなものは見たことはないとでも言うように、いやいやと首を振って逃げようとしたが、ゼルドリックはそれを許さず、リアの腕を掴んだ。ゼルドリックは先走りで濡れるそれを、リアの白く柔らかい腹を汚すように擦り付ける。
「逃げるな……。逃げるのは許さない。なあ……感じるか……? 俺の熱さを。君の身体に触れて、どうしようもなく興奮して、こんな風になってしまったのだ……」
「あっ……あつ、い……!」
腹に擦り付けられる硬いもの。その感触に、リアは自分の熱がまた一度上がった気がした。
(私の身体で、こんな風になったというの……?)
擦り付けられるゼルドリックの性器は異様にも見えるのに、リアは彼の一部だと思うと愛おしさを感じた。とくり、とリアの胸が跳ねる。目の前の男が、劣等感を抱き続けていた自分の身体に大きな興奮を抱いてくれた事が嬉しかった。自分が受け入れられたような気がして、心に充足感が満ちていく。リアはそっと、猛る黒い剛直に手を添えた。
「……ゼルドリック、さま……」
「はあっ……リア……? リア……! あっ……、信じられない、君が触れてくれるなんて……!」
リアが優しく男根を擦ると、ゼルドリックは色を含んだ息を深く吐き、眉を寄せた。リアは微笑みながら、ぬるついた陰茎に白い手を滑らせる。その微笑みは優しく、だからこそとても淫らに見えて。ゼルドリックは興奮の息を荒く吐き、リアの手に陰茎を擦り寄せた。
――恋焦がれた女が、自分に触れている。
自分の熱を気遣う目の前の女がただ愛おしく、ゼルドリックは自らの目が興奮で潤むのを感じた。こんな幸福があって良いのだろうか? 自分は今、彼女と睦み合っている……。
「愛い……な、リア……君の白く、小さな手がっ……俺のを握っているのだ、と思うと……」
ゼルドリックはその続きを紡げなかった。下手に喋ると、リアの手をべたべたに汚してしまいそうだった。柔らかな手の中で昂りを解き放ってしまいたかったが、ゼルドリックはまだリアの身体を犯したいと考えていた。リアの手を握り、優しく抑え留める。
そして先に進もうと濡れそぼり、意味を為さない下着に手を入れれば、リアの身体が大きく跳ねた。
「あああっ! ……あ、ぜ……ゼルドリック、さま……!?」
リアの身体が一気に強張る。その際ゼルドリックは、リアの瞳によぎったものを見逃さなかった。期待、快楽、情欲。
そして、怯え。
「リア……。怖いか?」
問いかければ、リアは身体を固くしたまま、目を逸らした。
「……は、い……。私、は……。今までにこんなことしたことないから……」
「優しくするが」
「っ……。ごめん、なさい……。ゼルドリック様が優しいことは分かっているのに、これは、夢だって分かっているのに……。でも……どうしてか、身体の力が抜けない……。ゼルドリック様の、それは……すごく大きいし、入らなさそうだし……。初めては痛いって聞いてるし、とても怖い……」
リアは啜り泣き、不安を吐露した。
「ごめんなさい……。呆れますか? 冷めて、しまいますか……? 嫌いにならないで……」
「そんな訳ないだろう」
ゼルドリックは優しく微笑んだ。無理に膣内を暴いては、リアに精神的な負担を与えてしまう。リアにはとことん優しくしてやりたい。ゼルドリックは、決してリアを怖がらせたくは無かった。安心させるように赤い髪を何度も撫で、額に唇を寄せた。本音を言えば、リアの内に入り、暴き、一番深い所でこの熱を解き放ってしまいたい。だが、熱に苛まれながらもゼルドリックはそれを選ばなかった。
「大丈夫。……大丈夫だよ、リア。君を怖がらせるつもりはないんだ」
触れるだけのキスを口に落とす。ごく優しく、下着の中の指を動かせば、リアの瞳は一層潤んだ。
「無理強いはしないし、最後まではしない。いつか、君が自分から俺を求めてくれるまで待つから……。だから、少しだけ触れさせてくれないか……」
「はぁっ……ゼルドリック、さま……」
「少しだけ……」
リアはゼルドリックの青い瞳を見た。黒の王子様は、ただ優しく、甘く、リアを心から大事に思っている様だった。
(なんて、優しいの……)
リアは目を閉じ、頷いた。喜びの涙がひとつ零れ落ちた。痛みとともに、無理やり全てを奪い去られてしまうかもしれない。その想像はリアの心に仄暗い欲望と影を落としたが、その恐ろしい想像は、ゼルドリックの優しさの前に、緩やかに解けていった。
彼は自分という存在を大切に思い、尊重してくれている。包まれるような安心感は、仄暗い想像を上回る、持続的な心地よさをリアにもたらした。心の欠けた部分が、ゼルドリックによって急速に埋められていく。自分は受け入れられている……。
「リア……なるべく優しくする……君に気持ち良くなってほしいだけなんだ……」
ゼルドリックはリアの秘部に添えた指を、柔らかく上下に動かしながら、形を確かめるようにゆっくりと探った。くちゅり、くちゅりと粘り気のある水音が響き、リアは尚更顔を赤くさせた。
「あっ……あっ……あ、ゼルドリックさま……はずかしい……」
「雫が、滴っている……。良かった。君は……俺の愛撫で、感じてくれたのだな……」
ぬかるみと熱が指に纏わりつく。リアの秘められた生々しい部分を暴いているという事実に、ゼルドリックの頭が目眩を起こしそうなほど熱くなる。
「ふっ……あああっ……あっ……」
「君のここは、とても温かいな……。なあ、リア。君の気持ち良いところを教えてくれないか……? もっと知りたいんだ、君の身体のことを……」
「ふっ!?」
リアの様子を伺いながら指を動かすと、リアの身体が大きく跳ねた部分があった。
「見つけた……ここか?」
「あっ……あ!? ああああああっ!」
直接見なくとも、指で触ればその部分がどんなに張り詰めているか分かる。リアの秘められたそこの、上部にある尖った部分を愛液を絡ませて優しく円を描くようになぞれば、リアは感じ入った声を上げた。
「あああっ……あっ……ううっ……! はああああああああぁぁっ……!」
「リア、良さそうだな……?」
(ああ、この顔……。この顔は、堪らない……!)
ゼルドリックに身体を委ね、強い快楽の前に力なく啜り泣くリアの顔。ゼルドリックからの嗜虐を全てその一身に受け入れて、快楽の涙を流す顔。リアのその姿はゼルドリックの脳裏に強く焼き付けられ、離れなくなってしまった。リアの柔らかな微笑みが掻き消される、もっと虐めたい。もっと喘がせたい。もっと苦しませたい。もっと、快楽にすすり泣くリアの泣き顔を見たいと望んでしまう。
「あっあっ……そこぉっ……そこは、敏感な部分なの……! ふうっん……」
「分かっている……ここを触ると君の身体が跳ねて、どんどん汁が溢れてくるからな……そんなに気持ち良いならこのまま、触り続けることにしようか……」
ゼルドリックはわざと意地悪さを滲ませて、リアの芽に指を滑らせた。指と芽の境界が分からなくなるほどに、ゼルドリックの指はリアの愛液でふやけていく。
「ははっ……。は、はははっ……! ぐちょぐちょだな? リア……」
「う、うううう……ああああ! いじ、わるっ……あっ!? ……やあ、あっ……あああああああああっ!」
リアはゼルドリックを睨もうとしたが、力を込めた指になぞり上げられ、強い快楽の前に目を瞑り絶頂を迎えた。リアはぴくぴくと身体を痙攣させ荒い息を吐いたが、ゼルドリックは猶もリアを苛んだ。
「やっ……ゼル、ドリックさま! そこ、触るのやめてっ……すごく敏感で、いま、触られるとくるしいの……」
「ほう、そうなのか……? ああ、でも俺は、君が達する瞬間をもっと見たいんだ……」
「やだあっ……本当に、本当にそこは駄目な部分なの! ……んっ!? んんんん! っんぐぅっ……」
リアの抗議を止めるように、ゼルドリックは口を塞いだ。そして指で肉芽をなぞり続けると、再びリアの身体が大きく跳ね、すぐの絶頂を迎えた。
「あ、ああああ、あ……。ひどい……酷いよお……」
「でも君は悦んでいるだろう……? ここからずっと溢れさせ続けている。……君は、本当に、ここが気持ち良くてたまらないみたいだな……」
「ああっ! おねがい……お願い! もう手を止めて……おかしく、なるからあっ……!」
「君がおかしくなっても……俺は喜んで受け入れるさ」
「うっ……ふ、えぇ……本当に、つらい、のに……!」
「ああ……ごめんな、リア……君が可愛くて、止めてあげられない」
ゼルドリックはリアに覆い被さり、剛直を太ももに擦り付けながら、執拗にリアの肉芽を虐め抜いた。耳に舌を這わせ、好きだと言いながら耳たぶを食む。
「この張り詰めた部分をなぞるだけで、君がこれほど蕩けきった表情を見せるとは……勉強になるよ、君の身体はいやらしいものだな……」
「うああっ………また、い、くぅっ……」
リアはゼルドリックの手で三度目の絶頂を迎えた。肉芽だけに執拗に与えられる強い快楽。逃げ場なく与えられる快楽は強すぎて本当に辛いのに、被虐志向のあるリアは同じくらいに悦んでいた。リアは自らを慰める時、その場所に頻繁に手を伸ばしてきたが、ゼルドリックから与えられる快楽は凄まじく、自らの手で慰めた時と比べようもなかった。
自分を取り繕っていた薄い皮のようなものが、ゼルドリックによって剥がされていく。いやらしさが、秘めた欲望が露わになる。リアはゼルドリックの手で生まれ変わっていくような気がした。
――黒の王子様は、こんなにも私を愛してくれている。
リアは鋭すぎる快楽に身を強張らせつつも、空虚な心に歓喜が満ち溢れていくのに従い、ゼルドリックを求めた。
もっと欲しい。
もっと、もっと、私を愛して。
私の無力さを嘲笑って、全部奪って、何も残らなくなった私を汚して、抱きしめて、口付けて……
リアは、朦朧とする意識の中、心の内で強く王子に懇願した。
「ゼルドリック様……ゼルドリックさま……!」
「リア、リア……好きだ……!」
「あっあっ……あああっ…ふ、ああああああああああっ……」
幾度となくゼルドリックの手により絶頂を迎えさせられた後、リアは強烈な快楽に溺れ気を失った。
――――――――――
ゼルドリックはリアが気を失ったことを確認すると、幻惑を見せる魔法を解いた。
目の前には強い快楽に気を失い、力なくその身を投げ出すリアがいる。リアの寝衣は汗や唾液や愛液で濡れ、その白い身体は光を受けて透けている。暴かれた身体に与えられた快楽の強さを物語るかのように、気を失いながらも、胸の頂きは赤く腫れて震え、下半身は不規則に痙攣していた。ゼルドリックは、リアの汗ばむ額に貼り付いた髪を優しく払い、優しくキスを落とした。
リアの部屋には強烈な真夏日の日差しが差し込んでいる。夏のからっとした明るさに相応しくない、じっとりとした淫靡な空気が、リアの部屋には漂っていた。
「はあっ……はあっ……はあっ……あ、ああ……リア、リア……リア、好きだ……!」
ゼルドリックは汗みずくの身体に自分の匂いを擦りつけるかのように、リアの胸から腹に剛直を擦り付け、そして勢いよく射精した。リアの身体を使った自慰はゼルドリックを興奮で熱くさせた。凄まじい量の白濁が、リアの身体を汚していく。リアの大きな胸から柔らかな腹、窪んだ臍に、ゼルドリックが放った白濁がとろりと垂れていく。ゼルドリックはしばらく呆けたまま、それを見ていた。
「はあっ……はあ……は、あ、あははっ……リア、リア……。綺麗……だな……」
自分の白濁に塗れるリアを目の前にして、ゼルドリックは充足感に息を吐いた。夏日に照らされるリアは綺麗で淫靡で、ゼルドリックは心の底から、この女を自分だけのものにしてしまいたいと望んだ。
昂りを解き放ったというのに、まだ獣欲が収まらない。リアを怖がらせることはしないと約束したばかりだというのに、気を失った彼女の脚を開いて、無理やり内を暴いてしまいたくなる。彼女に対しての欲が、どんどんと強くなっていく。
――犯したい。彼女を、今すぐ自分だけのものにしたい。
冷静な頭で、一瞬よぎった想像を打ち消す。彼女を怖がらせることはしないと決めた筈なのに。ゼルドリックは自分で自分が分からなくなってしまった。
(……俺は、一体どうしてしまったんだ……?)
今まで。リアの柔らかく微笑む顔が大好きで。少しでも気持ちを知って欲しくて。手を繋ぐだけで、口付けをする想像だけで、とても心が満たされたはずなのに。熱に魘されるリアを見てから。唇に触れた時掠れた声を上げたリアを見てから。自分がおかしい……。
――リアを汚したい。胸を嬲りたい。存分に秘部を虐め、腰を打ち付け、白い腹に子種を植え付けたい。
今は、そんな欲望が絶え間なく内から湧き出てくる。リアの唇、汗みずくの白い胸を見たあの時に、きっと自分は何かが決定的に変わってしまったのだと思った。それは不可逆で、元には決して戻らないのだろうという感覚があった。
――リアの泣く顔が頭から離れない。あの顔をもっと見たい。
嫌だと拒否の言葉を言う癖に求めたがりで、少しだけ意地悪をしてやれば目を潤ませ、快楽を拾おうとする貪欲なリア。虐められるのが好きなリアと、彼女を虐めるのが好きな自分。あの性行為はあまりにも良すぎた。もっと、彼女を溺れさせたい。もっと、もっと、もっと……!
ゼルドリックは己の欲望に正直に従うことにした。これからもリアを味わい続ける為に出来ることを、全てやってしまおうと決めた。
ゼルドリックはリアの唇にキスを落とし、何やら囁いた。すると彼女の肌に解き放たれた白濁が、すっと身体の中に染み込んでいった。ゼルドリックは魔力が滲み出した精液を、純粋な魔力へと変えそれをリアの身体の中に満たした。リアの身体に新たな魔力が取り込まれたことを確認して、ゼルドリックは暗く笑った。
(リアに、俺の魔力を染み込ませなければ。誰も触れられないくらいに。誰も近寄らないくらいに。もっと、もっと。リアを俺の魔力に慣れさせるのだ。そして日々、魔力でねっとりと犯してやる)
(手加減などしない。リアが熱を出しても構うものか。俺が治し、そしてまた熱を植え付けてやるのだ。リア、君を得るために……)
ゼルドリックには、ある計画があった。そのためには、リアに己の魔力を与え続けなければならない。
ゼルドリックはリアの寝衣を整え、魔法でシーツや服、リアの身体に付いた汚れを取り去った。そして、リアの部屋が元の穏やかな空気を取り戻したことを確認すると、ゼルドリックはリアのサイドテーブルに書き置きと小包を残し、家を後にした。
ゼルドリックは鍛冶場の前で、右腕を天に掲げた。その右腕はおどろおどろしい黒い靄に覆われ、やがて、その靄から何十羽もの、何百羽もの黒い鷹が、煙のように渦を巻いて飛び立っていった。
「は、ははっ……あはははっ……」
ゼルドリックは笑った。腹の底から笑った。自分に根ざした、隠れていた欲望がすっかり露わになった気がした。きっと自分はこんな暗い欲望をずっと抱え続けていたのだ。だが、今生まれ変わった。これからはリアのために、リアを自分へ堕とすために。ありとあらゆる手段をとり、知謀を巡らせる。心から湧き上がるものが止められない。愉しくて仕方がない。
ゼルドリックの脳裏には、白濁に塗れるリアの身体が焼き付いている。何度も何度も、あの姿を見たいと思った。溺れるほどに白濁に沈めてやりたい。リアを自分のものにしたい。絶対に誰にも渡したくない。あの女は自分のものだ。
――リア、俺の愛おしい姫君。
自分の中で、何か黒いものが蠢き続けている。ゼルドリックは最後にひとつ笑い、その蠢きに身を任せた。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる