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痺れて、椅子とテーブルから崩れ落ちる。
「ちっ。」
ああ、本来のシナリオは街だったのに。
オーリスが、ならず者を雇うという設定だと話していた。
二人でこれはあり得ないと軽く考えていた。
「大丈夫か?」
ずるずる落ちる体を抱き止められる。
嫌がって押し返す。
胸の甲冑に触れるとひんやりした。
「大丈夫ですから。触れないでください。」
「だが、」
「無事です。ありがとうございました。」
いつまでも支えてくる。
まだ足のしびれが抜けない。
「バカでした。こんなところで、一人。」
オーリスを疑われるわけにはいかない。
シナリオではそうなる。
横抱きに持とうとするのを制する。
「やめてください。髪も口紅も崩れてるのに、人目に晒すのは。何かあったと思われます。」
「あ、そうか。」
本当に気が利かない。
助けられた恩はあるので口には出さなかった。
「なぜここに?」
「先程ルーカスに頼まれた。一人残したからと。」
「そう、ですか。参加者ではありませんでしたね。」
「団の仕事だ。」
なぜ学園にいるんだ。
兼任は聞いたことないぞ。
それとなく聞いたら、王子の護衛を兼ねて在籍してるそうだ。
シナリオか。
だが、今はどうでもいい気もする。
ルーカスも、さっきのならず者も。
こいつの存在も疲れる。
「お嬢様のところに戻ります。」
よれた口紅をハンカチで拭い、髪を整える。
「付き添う。」
「…ありがとうございます。」
「…不服そうだな。」
「所詮、女と思うとですね。」
ふう、とため息を吐いた。
「まだあのことを怒ってるのかと思った。」
抗議を入れて態度を改めた。
今はまとも。
シナリオの影響で昂りやすくなるというなら、この間の件は納得できる。
あの悶着でシナリオから外れたんだろう。
「いいえ。はしたないことと怒られるのは私でございましょう。」
公爵には誉められたがな。
「女だてらにいい度胸だと父は誉めていた。」
もう一人誉められたか。
「いい主人か?」
「とても。」
手を差し伸べれたので掴む。
足のしびれはない。
シナリオから外れたはずだ。
特に会話はなく会場に戻る。
そこに男爵夫妻と甥っ子二人を見掛けてカリフと別れた。
「彼はアゼリアのいい人?」
こそっと夫人に尋ねられて、中庭で迷ったのを拾われたと言う。
疑いの眼差しに関係のない人と答えた。
「アゼリア、」
後方からはガドが。
お嬢様のもとへ戻ると残してすぐに去る。
後ろから声をかけられたが夫人が引き留めてくれた。
関わりはごめんだ。
帰りの馬車で王子に口紅を指摘された。
「気に入った男がいたか?」
対面から問いかけられる。
「似合わないと思ったので拭いました。」
隣のオーリスがぎゅっと手を握る。
ちらっと見ると暗い中でもわかるほど青ざめている。
「ご安心ください。何もございません。」
「アゼリア…」
「お嬢様の方こそ。公爵へ報告をするようなことはございませんね?」
「え、あ。」
「信用ないなぁ。」
ちらっと王子を睨むと、肩をすくめて笑っていた。
「…何にしろお二人の仲がいいことはよろしいのですが。婚姻前でございます。行きすぎぬように。」
「わかっているよ。」
「うん。」
キスくらいしたんだろう。
オーリスの口紅の色も変わってるから。
そのくらいは婚約者同士の許容範囲だ。
このまま問題なく婚姻すればいい。
帰ってから軽い清拭ののち寝仕度をする。
寝るばかりに整えて下がろうとすると止められた。
「アゼリア、キスして。」
「は?」
「シナリオから外れるから。」
真剣な表情になるほどと納得した。
「確かに。」
今日のシナリオは疲れた。
もっと強い抵抗を考えていた。
軽く唇を合わせた。
ほっと安心した顔をする。
その顔につられて私も笑った。
「もう一回して。」
「いいよ。」
お互い気がすむまで唇を合わせた。
舌を入れるのは抵抗したが、シナリオを出されたらしょうがないと舌を絡めた。
一緒に寝るというので添い寝をしてやった。
いつもよりしがみついて安心するからと素肌を触りたがる。
「王家のものだ。いらんことはするな。」
女同士でもだめだ。
「アゼリアは違うから。」
「お嬢様が王子のものだと言いたいんだ。このくらいにしとけ。」
オーリスの腕を取ってお互いの胸に畳んで挟ませる。
「抱き締めておくから寝ろ。充分、シナリオから外れる。」
「うん。」
なかなか大人しくてならず、やわやわと胸を撫でるので叱る。
「明日も忙しい。ちょっかいかけるな。」
「わかった。」
胸の膨らみをがっちり掴んで離さない。
「離せ。」
「やだ。シナリオが怖いもん。」
「…わかった。でももう寝ろ。」
「うん。」
寝息が聞こえるまで胸を掴まれていた。
眠ったところで手を外して体を離し、自分の部屋で寝た。
こっちは寝不足だ。
時折、突起を転がされてうずいたせいだ。
体を丸めて火照りを押さえた。
それからも添い寝とキスは続いた。
胸も。
おかげでシナリオから外れたのか強い痺れはなかった。
オーリスが調子にのってムカつくだけだ。
昼間の学園でもキスをねだるようになった。
「やめろ。」
「だって、このあとイベントが始まる。」
「…わかった。」
イベントの前には唇を合わせる。
以前はしてくれとねだったのに。
今はオーリスが積極的に重ねてくる。
「もう、いいだろ?やめろ。」
「だめ。怖いから。」
舌まで入れたがる。
王子が懸念した通りになるのも癪だ。
「いい加減にしろ。もう充分だ。」
「…わかった。でも、またしてね。」
ため息をついて頷く。
出来るだけ王子と二人にさせた。
そっちと仲良くするのもシナリオから外れるはずだ。
もう多少は先走ってもいいと思う。
「協力的だね。」
「お二人の仲を取り持つのも大事だと思い至りました。」
公爵には確認を取った。
以前のようにいがみ合って破棄されそうと心配するより言いそうだ。
ニコニコと笑う王子が不意に顔にベールを持ち上げて覗き込んでくる。
「…何を?」
「どんな顔をしてるか見たかった。悔しがるかどうか。」
黙って王子の手からベールを取り返す。
「王子、やめて。アゼリアに触らないで。」
オーリスが間に入る。
「君はアゼリアに執心過ぎるね。」
「だって、1番好きなんだもの。」
アホか。
いらんことを。
「婚約者の俺より?」
「アゼリアのおかげで私のことを理解してくれたじゃない。いなかったら今も私を嫌いでしょう?」
「ああ、そうだね。あの時は誤解していた。」
「アゼリアを好きで当たり前でしょ?」
「しょうがない。でも俺との結婚もわかってる?」
「え、ええ。もちろん。」
言い淀むな。
「アゼリアに負けないように愛を囁くしかないかな。」
「え、え?」
「あとはお二人で。」
その場を辞した。
時折こうやって学園のサンルームで過ごす。
多少、王子が粉をかけてるようで迎えに行くと恥ずかしがって顔を伏せる。
その間は王子の侍従やメイドと会話をしたり、ルーカスと話す。
時折、カリフも来る。
ルーカスが私の口の悪さをカリフに話したので、口調を気にすることはやめた。
「顔と物言いが合ってない。」
「そうか。貴殿の好みと外れて嬉しい限りだ。」
カリフにだけ聞こえるように小さく呟く。
がっかりするカリフに笑う。
お前のルートは外れたようだ。
あれ以来、全く痺れがない。
ルーカスは楽しげだ。
「オーリス嬢は面白い令嬢を侍女にしてるね。」
粉をかけてくるが、面白半分といった空気に本気はない。
「お嬢様のお心が広いので。」
人の目があるのでいつも砕けた口調をするわけではない。
「卒業したらどうする?」
「そうですね。このまま公爵家の使用人として雇われるか、また他の仕事を探します。」
オーリスと王子は卒業とともに式をあげる。
ぽっと出の私はそのままついていくことはできない。
「うちに来ないか?雇うよ。」
「考えておきます。」
「断られるかと思ったが。」
シナリオが終わればどこでもいいだろう。
「控えめさが伝わったかな。」
「そのおつもりならお断りいたします。」
「そうか、残念だ。でも紹介はできるから。」
「ありがとうございます。」
あと3ヶ月。
1度、男爵家に戻ってもいいがガドがいる。
近寄る気になれない。
「ちっ。」
ああ、本来のシナリオは街だったのに。
オーリスが、ならず者を雇うという設定だと話していた。
二人でこれはあり得ないと軽く考えていた。
「大丈夫か?」
ずるずる落ちる体を抱き止められる。
嫌がって押し返す。
胸の甲冑に触れるとひんやりした。
「大丈夫ですから。触れないでください。」
「だが、」
「無事です。ありがとうございました。」
いつまでも支えてくる。
まだ足のしびれが抜けない。
「バカでした。こんなところで、一人。」
オーリスを疑われるわけにはいかない。
シナリオではそうなる。
横抱きに持とうとするのを制する。
「やめてください。髪も口紅も崩れてるのに、人目に晒すのは。何かあったと思われます。」
「あ、そうか。」
本当に気が利かない。
助けられた恩はあるので口には出さなかった。
「なぜここに?」
「先程ルーカスに頼まれた。一人残したからと。」
「そう、ですか。参加者ではありませんでしたね。」
「団の仕事だ。」
なぜ学園にいるんだ。
兼任は聞いたことないぞ。
それとなく聞いたら、王子の護衛を兼ねて在籍してるそうだ。
シナリオか。
だが、今はどうでもいい気もする。
ルーカスも、さっきのならず者も。
こいつの存在も疲れる。
「お嬢様のところに戻ります。」
よれた口紅をハンカチで拭い、髪を整える。
「付き添う。」
「…ありがとうございます。」
「…不服そうだな。」
「所詮、女と思うとですね。」
ふう、とため息を吐いた。
「まだあのことを怒ってるのかと思った。」
抗議を入れて態度を改めた。
今はまとも。
シナリオの影響で昂りやすくなるというなら、この間の件は納得できる。
あの悶着でシナリオから外れたんだろう。
「いいえ。はしたないことと怒られるのは私でございましょう。」
公爵には誉められたがな。
「女だてらにいい度胸だと父は誉めていた。」
もう一人誉められたか。
「いい主人か?」
「とても。」
手を差し伸べれたので掴む。
足のしびれはない。
シナリオから外れたはずだ。
特に会話はなく会場に戻る。
そこに男爵夫妻と甥っ子二人を見掛けてカリフと別れた。
「彼はアゼリアのいい人?」
こそっと夫人に尋ねられて、中庭で迷ったのを拾われたと言う。
疑いの眼差しに関係のない人と答えた。
「アゼリア、」
後方からはガドが。
お嬢様のもとへ戻ると残してすぐに去る。
後ろから声をかけられたが夫人が引き留めてくれた。
関わりはごめんだ。
帰りの馬車で王子に口紅を指摘された。
「気に入った男がいたか?」
対面から問いかけられる。
「似合わないと思ったので拭いました。」
隣のオーリスがぎゅっと手を握る。
ちらっと見ると暗い中でもわかるほど青ざめている。
「ご安心ください。何もございません。」
「アゼリア…」
「お嬢様の方こそ。公爵へ報告をするようなことはございませんね?」
「え、あ。」
「信用ないなぁ。」
ちらっと王子を睨むと、肩をすくめて笑っていた。
「…何にしろお二人の仲がいいことはよろしいのですが。婚姻前でございます。行きすぎぬように。」
「わかっているよ。」
「うん。」
キスくらいしたんだろう。
オーリスの口紅の色も変わってるから。
そのくらいは婚約者同士の許容範囲だ。
このまま問題なく婚姻すればいい。
帰ってから軽い清拭ののち寝仕度をする。
寝るばかりに整えて下がろうとすると止められた。
「アゼリア、キスして。」
「は?」
「シナリオから外れるから。」
真剣な表情になるほどと納得した。
「確かに。」
今日のシナリオは疲れた。
もっと強い抵抗を考えていた。
軽く唇を合わせた。
ほっと安心した顔をする。
その顔につられて私も笑った。
「もう一回して。」
「いいよ。」
お互い気がすむまで唇を合わせた。
舌を入れるのは抵抗したが、シナリオを出されたらしょうがないと舌を絡めた。
一緒に寝るというので添い寝をしてやった。
いつもよりしがみついて安心するからと素肌を触りたがる。
「王家のものだ。いらんことはするな。」
女同士でもだめだ。
「アゼリアは違うから。」
「お嬢様が王子のものだと言いたいんだ。このくらいにしとけ。」
オーリスの腕を取ってお互いの胸に畳んで挟ませる。
「抱き締めておくから寝ろ。充分、シナリオから外れる。」
「うん。」
なかなか大人しくてならず、やわやわと胸を撫でるので叱る。
「明日も忙しい。ちょっかいかけるな。」
「わかった。」
胸の膨らみをがっちり掴んで離さない。
「離せ。」
「やだ。シナリオが怖いもん。」
「…わかった。でももう寝ろ。」
「うん。」
寝息が聞こえるまで胸を掴まれていた。
眠ったところで手を外して体を離し、自分の部屋で寝た。
こっちは寝不足だ。
時折、突起を転がされてうずいたせいだ。
体を丸めて火照りを押さえた。
それからも添い寝とキスは続いた。
胸も。
おかげでシナリオから外れたのか強い痺れはなかった。
オーリスが調子にのってムカつくだけだ。
昼間の学園でもキスをねだるようになった。
「やめろ。」
「だって、このあとイベントが始まる。」
「…わかった。」
イベントの前には唇を合わせる。
以前はしてくれとねだったのに。
今はオーリスが積極的に重ねてくる。
「もう、いいだろ?やめろ。」
「だめ。怖いから。」
舌まで入れたがる。
王子が懸念した通りになるのも癪だ。
「いい加減にしろ。もう充分だ。」
「…わかった。でも、またしてね。」
ため息をついて頷く。
出来るだけ王子と二人にさせた。
そっちと仲良くするのもシナリオから外れるはずだ。
もう多少は先走ってもいいと思う。
「協力的だね。」
「お二人の仲を取り持つのも大事だと思い至りました。」
公爵には確認を取った。
以前のようにいがみ合って破棄されそうと心配するより言いそうだ。
ニコニコと笑う王子が不意に顔にベールを持ち上げて覗き込んでくる。
「…何を?」
「どんな顔をしてるか見たかった。悔しがるかどうか。」
黙って王子の手からベールを取り返す。
「王子、やめて。アゼリアに触らないで。」
オーリスが間に入る。
「君はアゼリアに執心過ぎるね。」
「だって、1番好きなんだもの。」
アホか。
いらんことを。
「婚約者の俺より?」
「アゼリアのおかげで私のことを理解してくれたじゃない。いなかったら今も私を嫌いでしょう?」
「ああ、そうだね。あの時は誤解していた。」
「アゼリアを好きで当たり前でしょ?」
「しょうがない。でも俺との結婚もわかってる?」
「え、ええ。もちろん。」
言い淀むな。
「アゼリアに負けないように愛を囁くしかないかな。」
「え、え?」
「あとはお二人で。」
その場を辞した。
時折こうやって学園のサンルームで過ごす。
多少、王子が粉をかけてるようで迎えに行くと恥ずかしがって顔を伏せる。
その間は王子の侍従やメイドと会話をしたり、ルーカスと話す。
時折、カリフも来る。
ルーカスが私の口の悪さをカリフに話したので、口調を気にすることはやめた。
「顔と物言いが合ってない。」
「そうか。貴殿の好みと外れて嬉しい限りだ。」
カリフにだけ聞こえるように小さく呟く。
がっかりするカリフに笑う。
お前のルートは外れたようだ。
あれ以来、全く痺れがない。
ルーカスは楽しげだ。
「オーリス嬢は面白い令嬢を侍女にしてるね。」
粉をかけてくるが、面白半分といった空気に本気はない。
「お嬢様のお心が広いので。」
人の目があるのでいつも砕けた口調をするわけではない。
「卒業したらどうする?」
「そうですね。このまま公爵家の使用人として雇われるか、また他の仕事を探します。」
オーリスと王子は卒業とともに式をあげる。
ぽっと出の私はそのままついていくことはできない。
「うちに来ないか?雇うよ。」
「考えておきます。」
「断られるかと思ったが。」
シナリオが終わればどこでもいいだろう。
「控えめさが伝わったかな。」
「そのおつもりならお断りいたします。」
「そうか、残念だ。でも紹介はできるから。」
「ありがとうございます。」
あと3ヶ月。
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近寄る気になれない。
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