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旅行編
67. お祭り最終日
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お祭りは三日間に渡って続いた。
街にはリーナさんが披露した水龍を模した絵があちこちに飾られていて、中には大きな模型を展示しているお店もあった。
広場では大きな水龍を獅子舞みたいに数人で動かしながら舞っていたり、水の魔法を使ったショーなんかもやっていた。
お祭りの間はさすがにリーナさんも忙しそうで、何度か見かけても声をかけることはできなかった。
フランクさんのおにぎり屋さんは繁盛しているようで、見る限り客足が途絶えることはなかった。お店にはフランクさん以外の店員さんもいて、忙しいけど楽しそうだ。
カフェで話していたとき、「ありがたいことに儂のもとで働いてくれる者達がたくさんいるからの、独り身でも寂しくないんじゃ」とフランクさんが言っていたことを思い出す。
あの温かい笑顔と人柄に惹かれてフランクさんを慕う人はたくさんいるのだろう。つらい経験をしたけど、今は幸せそうで本当に良かった。
そしてお祭りの最終日。なんとなく寂寥感が募る。こんな賑やかな催しも、今日で終わりだ。
「どうした、ウィル?」
寂しさが顔に出ていたのだろうか。ジルが少し心配そうに聞いてきた。
「···しゃみちい」
ぽつりと呟いた僕の頭をジルが撫でる。
「···来年もここに来るか?」
来年?いいの?
僕は目を輝かせて力強く頷く。
「あう、くりゅ!」
「そうか。来年、また来よう」
さっきまで寂しかったのが嘘みたいにわくわくする。それに、一年先の約束もできた。一年後もジルと一緒にいられるんだ。
あ、僕達は家族だから、本当はこんな約束をしなくても一緒にいられるんだけどね。家族って、そういうものだよね。
急にニコニコ顔になった僕を見て、ライがプフッと吹き出す。
「ウィル君、ご機嫌だね」
「あう!」
そりゃご機嫌にもなるよ。大好きな家族と未来の約束をできることが、こんなに嬉しいことなんだって分かったからね。
「ウィルくんとジルが来るなら、ぼくも来年ここに来たいなー」
「あっ、オレもそう言おうと思ってたぜ!」
「ふふ、私もだよ」
三人が期待に満ちた目で僕を見る。
「いっしょ、くりゅ!」
僕の答えはこれ一択だ。
「わーい!」
「やったぜ!」
「ふふ、楽しみだね」
三人が喜んでくれるのが嬉しい。
僕の大事な家族と師匠と友達。これからも楽しいことを共有したいし、悲しいことがあっても分け合いたい。そしてこんな風に、一つずつ思い出を積み重ねていきたい。
「あ、そろそろリーナさんの挨拶があるみたいだよ」
ライの言葉で、人々が広場に集まっているのに気づく。僕達もその流れに乗って広場へ行く。
ステージの向こう側に見える棚田は夕日で真っ赤に染まっていて、幻想的でとても美しい。
『それでは、田植え祭りの閉会に際しまして、ヴァーテマリーナ様よりお言葉をいただきます』
アナウンスが聞こえ、リーナさんがステージに登場する。
「皆さん、田植え祭りを楽しんでいただけたでしょうか」
リーナさんの質問に、広場にいる人々がワァーッという歓声で答える。
「楽しんでいただけたようで嬉しく思います。···これから田植えなど、忙しい時期が始まります。私も協力は惜しみません。皆さん、今年も美味しいお米を育てましょう」
再び広場が歓声に包まれる。
「こうして無事に閉幕を迎えられたのも、準備に協力してくださった皆さん、お祭りに参加してくださった皆さん、そして地域の皆さんのおかげです。本当にありがとうございました。···簡単ではありますが、閉会の挨拶とさせていただきます」
みんな一斉に拍手をする。もちろん僕もリーナさんにぱちぱちと拍手を送った。
本当にいいお祭りだった。そしていい街だと思った。
なんというか、リーナさんの優しい人柄が街の特徴として反映されているような、そんな感じがした。
宿に戻って寝る準備をする。
「明日、米を買って、リーナに挨拶したら家に帰ろう」
ジルの言葉に、この旅行の終わりを感じる。家に帰るって、実はあんまり好きな言葉じゃなかったんだ。
でも今は違う。家が恋しいと思えることが嬉しい。僕は、ジルがいて、ライやテム、ファムが遊びに来てくれるあの家が大好きだ。
「あう!」
家に帰ったら何をしようかな。そう考えながら、僕は眠りに落ちていった。
街にはリーナさんが披露した水龍を模した絵があちこちに飾られていて、中には大きな模型を展示しているお店もあった。
広場では大きな水龍を獅子舞みたいに数人で動かしながら舞っていたり、水の魔法を使ったショーなんかもやっていた。
お祭りの間はさすがにリーナさんも忙しそうで、何度か見かけても声をかけることはできなかった。
フランクさんのおにぎり屋さんは繁盛しているようで、見る限り客足が途絶えることはなかった。お店にはフランクさん以外の店員さんもいて、忙しいけど楽しそうだ。
カフェで話していたとき、「ありがたいことに儂のもとで働いてくれる者達がたくさんいるからの、独り身でも寂しくないんじゃ」とフランクさんが言っていたことを思い出す。
あの温かい笑顔と人柄に惹かれてフランクさんを慕う人はたくさんいるのだろう。つらい経験をしたけど、今は幸せそうで本当に良かった。
そしてお祭りの最終日。なんとなく寂寥感が募る。こんな賑やかな催しも、今日で終わりだ。
「どうした、ウィル?」
寂しさが顔に出ていたのだろうか。ジルが少し心配そうに聞いてきた。
「···しゃみちい」
ぽつりと呟いた僕の頭をジルが撫でる。
「···来年もここに来るか?」
来年?いいの?
僕は目を輝かせて力強く頷く。
「あう、くりゅ!」
「そうか。来年、また来よう」
さっきまで寂しかったのが嘘みたいにわくわくする。それに、一年先の約束もできた。一年後もジルと一緒にいられるんだ。
あ、僕達は家族だから、本当はこんな約束をしなくても一緒にいられるんだけどね。家族って、そういうものだよね。
急にニコニコ顔になった僕を見て、ライがプフッと吹き出す。
「ウィル君、ご機嫌だね」
「あう!」
そりゃご機嫌にもなるよ。大好きな家族と未来の約束をできることが、こんなに嬉しいことなんだって分かったからね。
「ウィルくんとジルが来るなら、ぼくも来年ここに来たいなー」
「あっ、オレもそう言おうと思ってたぜ!」
「ふふ、私もだよ」
三人が期待に満ちた目で僕を見る。
「いっしょ、くりゅ!」
僕の答えはこれ一択だ。
「わーい!」
「やったぜ!」
「ふふ、楽しみだね」
三人が喜んでくれるのが嬉しい。
僕の大事な家族と師匠と友達。これからも楽しいことを共有したいし、悲しいことがあっても分け合いたい。そしてこんな風に、一つずつ思い出を積み重ねていきたい。
「あ、そろそろリーナさんの挨拶があるみたいだよ」
ライの言葉で、人々が広場に集まっているのに気づく。僕達もその流れに乗って広場へ行く。
ステージの向こう側に見える棚田は夕日で真っ赤に染まっていて、幻想的でとても美しい。
『それでは、田植え祭りの閉会に際しまして、ヴァーテマリーナ様よりお言葉をいただきます』
アナウンスが聞こえ、リーナさんがステージに登場する。
「皆さん、田植え祭りを楽しんでいただけたでしょうか」
リーナさんの質問に、広場にいる人々がワァーッという歓声で答える。
「楽しんでいただけたようで嬉しく思います。···これから田植えなど、忙しい時期が始まります。私も協力は惜しみません。皆さん、今年も美味しいお米を育てましょう」
再び広場が歓声に包まれる。
「こうして無事に閉幕を迎えられたのも、準備に協力してくださった皆さん、お祭りに参加してくださった皆さん、そして地域の皆さんのおかげです。本当にありがとうございました。···簡単ではありますが、閉会の挨拶とさせていただきます」
みんな一斉に拍手をする。もちろん僕もリーナさんにぱちぱちと拍手を送った。
本当にいいお祭りだった。そしていい街だと思った。
なんというか、リーナさんの優しい人柄が街の特徴として反映されているような、そんな感じがした。
宿に戻って寝る準備をする。
「明日、米を買って、リーナに挨拶したら家に帰ろう」
ジルの言葉に、この旅行の終わりを感じる。家に帰るって、実はあんまり好きな言葉じゃなかったんだ。
でも今は違う。家が恋しいと思えることが嬉しい。僕は、ジルがいて、ライやテム、ファムが遊びに来てくれるあの家が大好きだ。
「あう!」
家に帰ったら何をしようかな。そう考えながら、僕は眠りに落ちていった。
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