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最果ての森・成長編
74. 新しい朝
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朝、眠りから覚める。
あー、ふわふわが気持ちいいなあとぼんやりした頭で考える。もうちょっと、このふわふわを堪能したい。
···ああ、このふわふわは、僕に二度寝をさせようとしているのか。そうか、ならば仕方ない。ふわふわに逆らうなんて、できっこないのだ。
「ウィルくーん、朝だよー」
あれ?ファムの声だ。
「ウィルって朝弱いのか?よく半目になるしよ!ブハハ!」
失礼な。僕のは結果として半目になってしまうだけで、半目にしようとしてるんじゃないのだ。
テムとファムの明るい声で、ようやく目を覚ます。
そういえば、二人は昨日お泊りしたんだった。
「おあおう~」
「あ、ウィルくんやっと起きたー。おはよー!」
「ブハハ!やっぱり半目だぜ!」
むう。寝起きは仕方ないんだ。僕はちょっと拗ねて、二度寝の原因となったふわふわをぎゅっとする。
···あ、そういえば!このふわふわ!新しい家族!
「てぃあ」
僕が呼ぶと、ティアは「キャウッ」と鳴いて尻尾をフリフリする。···ああ、可愛い。
『ご主人、ご主人!昨日は助けてもらえて嬉しかったぞ!これからよろしくなのだ!』
え?
「···てぃあ?」
「あれ、ウィルくんどうしたのー?」
ティアを見ながら首を傾げている僕に、ファムが訊ねる。
「てぃあの、こえ」
「こいつの声?オレには聞こえなかったぞ?」
「ぼくにもー」
あれ?気のせい?
それにしてははっきりと聞こえたと思うのだが。
『ご主人!ワレの声が聞こえるのか?ワレは嬉しいぞ!』
ティアが尻尾をブンブン振ってこちらを見つめる。
やっぱり気のせいじゃなかった!
ご主人って、僕のことでいいんだよね?
「ぼくも、うれしい」
僕はティアを撫でる。ああ、このふわふわ、やっぱり最高だ。
···あ、思わず堪能してしまった。ティアの声は、僕にしか聞こえていないようだ。
「ウィルくんには聞こえるの?うーん、あ、そうだ!ライに聞いてみよー!」
それはいい考えだ。ライなら何か知っていそうだ。
「ジルー!ライー!おはよー!」
ファムの声が響く。
そういえば、ファムの声は思念を魔力で届けていると言っていたな。
ガチャリと部屋のドアが開き、ジルが入って来た。
「おはよう」
「おあおう!」
「疲れは取れたか?」
「あう!」
元気に返事をすると、ジルが僕の頭を優しく撫でてくれる。
「あれ、ライはいないのー?」
ファムは二人を呼んだのにジルだけ来たので疑問に思ったようだ。
「ああ、昨日あの後すぐに帰った。仕事があるんじゃないか?」
「そっかー」
「忙しいんなら仕方ねーな!」
もしかして旅行していた期間分の仕事が溜まっちゃっているのだろうか。ライ、頑張れ。
「ライに用事でもあるのか?」
「うん、あのねー、ティアの声が、ウィルくんにだけ聞こえるんだってー。ライならなんでか分かるかなーと思って」
「···そうなのか?」
「あう」
ジルが僕に確認するので、コクリと頷く。
『ご主人、ご主人!ワレもこの黒いバケモノみたいに強くなりたいのだ!』
え、黒いバケモノってジルのこと?ちょっと笑ってしまいそうになる。
「···こいつが何か言っているのか?」
こういう時、ジルは鋭い。
その察知力をリーナさんに対しても発揮したらいいのにと、ちょっとだけ思ってしまった。
「あうあう」
コクコクと頷く。
「てぃあ、ちゅよく、なりたい」
「えーっと、ティアは強くなりたいって言ってたのー?」
「あう」
「···ほう」
ジルの視線がティアを捉えると、ティアが「キャウッ」と鳴いて僕の前に出る。
『黒いバケモノめ!ワレは今はまだ弱いが、いつの日にかお前を超えてやるのだ!覚悟しておくのだ!』
ジルを魔王か何かだと思っているのかな?まあ、昨日威圧されちゃったみたいだしね。
ティアの非常に勇敢な言葉とは裏腹に、尻尾は下がり、前足はプルプル震えている。
一生懸命なティアには申し訳ないが、めちゃくちゃ可愛い。
よしよし。よしよし。
ティア、可愛いねえ。
「···あまり甘やかすなよ」
ジルが不満気な声で言う。
だってティアはこんなに可愛いんだよ?
「あはは!ジル、かわいいねー!」
「んあ?ジル?ウィルとティアじゃなくてか?」
テムの疑問に僕も同感···しそうになってはっと気づいた。
「あう~」
ジルの方に腕を伸ばす。するとすぐにジルが抱っこしてくれた。
「じる、だいしゅき。いちゅも、あいあと」
僕はそう言ってジルにぎゅっとしがみつく。
「···そうか」
ジルの声が途端に柔らかくなる。
「あはは!ウィルくん、なかなかやるねー!」
僕とジルを見て、ファムが笑い出す。
何のことかな?という顔で僕はジルからのナデナデを堪能する。
『ご主人!ワレも強く大きくなったらご主人を撫でるぞ!ワレの方が、黒いバケモノよりフワフワだぞ!』
な、なんですと···!
大きなモフモフを想像する。ああ、そこが天国か···!
「···ウィル?」
一人幸せな妄想に浸ってニヤニヤしている僕を、ジルが訝しげに見る。
あ、ジルの腕も安心感があって幸せだよ?ほんとだよ?
ちょっとね、幸せが渋滞してて困るくらいなんだよ。
「あはは!ティアも、面白そうな子だねー!」
「こいつが喋ってるの、オレらも聞こえたらいいのによー」
「···念話を習得させるか」
「あ、それいいねー!ぼくが教えるよー!」
念話って、ファムがやってるやつ?
え、ファムが教えるの?
『念話か!それが出来れば、ワレの決意を知らしめることができるのだな!』
ティアがやる気に満ちている。
「あのねー、言いたいことを、届けーって思ったらいいんだよー」
『···何を言っておるのだ?』
うんうん、僕も分からないよ。
ライ、早く来て。
あー、ふわふわが気持ちいいなあとぼんやりした頭で考える。もうちょっと、このふわふわを堪能したい。
···ああ、このふわふわは、僕に二度寝をさせようとしているのか。そうか、ならば仕方ない。ふわふわに逆らうなんて、できっこないのだ。
「ウィルくーん、朝だよー」
あれ?ファムの声だ。
「ウィルって朝弱いのか?よく半目になるしよ!ブハハ!」
失礼な。僕のは結果として半目になってしまうだけで、半目にしようとしてるんじゃないのだ。
テムとファムの明るい声で、ようやく目を覚ます。
そういえば、二人は昨日お泊りしたんだった。
「おあおう~」
「あ、ウィルくんやっと起きたー。おはよー!」
「ブハハ!やっぱり半目だぜ!」
むう。寝起きは仕方ないんだ。僕はちょっと拗ねて、二度寝の原因となったふわふわをぎゅっとする。
···あ、そういえば!このふわふわ!新しい家族!
「てぃあ」
僕が呼ぶと、ティアは「キャウッ」と鳴いて尻尾をフリフリする。···ああ、可愛い。
『ご主人、ご主人!昨日は助けてもらえて嬉しかったぞ!これからよろしくなのだ!』
え?
「···てぃあ?」
「あれ、ウィルくんどうしたのー?」
ティアを見ながら首を傾げている僕に、ファムが訊ねる。
「てぃあの、こえ」
「こいつの声?オレには聞こえなかったぞ?」
「ぼくにもー」
あれ?気のせい?
それにしてははっきりと聞こえたと思うのだが。
『ご主人!ワレの声が聞こえるのか?ワレは嬉しいぞ!』
ティアが尻尾をブンブン振ってこちらを見つめる。
やっぱり気のせいじゃなかった!
ご主人って、僕のことでいいんだよね?
「ぼくも、うれしい」
僕はティアを撫でる。ああ、このふわふわ、やっぱり最高だ。
···あ、思わず堪能してしまった。ティアの声は、僕にしか聞こえていないようだ。
「ウィルくんには聞こえるの?うーん、あ、そうだ!ライに聞いてみよー!」
それはいい考えだ。ライなら何か知っていそうだ。
「ジルー!ライー!おはよー!」
ファムの声が響く。
そういえば、ファムの声は思念を魔力で届けていると言っていたな。
ガチャリと部屋のドアが開き、ジルが入って来た。
「おはよう」
「おあおう!」
「疲れは取れたか?」
「あう!」
元気に返事をすると、ジルが僕の頭を優しく撫でてくれる。
「あれ、ライはいないのー?」
ファムは二人を呼んだのにジルだけ来たので疑問に思ったようだ。
「ああ、昨日あの後すぐに帰った。仕事があるんじゃないか?」
「そっかー」
「忙しいんなら仕方ねーな!」
もしかして旅行していた期間分の仕事が溜まっちゃっているのだろうか。ライ、頑張れ。
「ライに用事でもあるのか?」
「うん、あのねー、ティアの声が、ウィルくんにだけ聞こえるんだってー。ライならなんでか分かるかなーと思って」
「···そうなのか?」
「あう」
ジルが僕に確認するので、コクリと頷く。
『ご主人、ご主人!ワレもこの黒いバケモノみたいに強くなりたいのだ!』
え、黒いバケモノってジルのこと?ちょっと笑ってしまいそうになる。
「···こいつが何か言っているのか?」
こういう時、ジルは鋭い。
その察知力をリーナさんに対しても発揮したらいいのにと、ちょっとだけ思ってしまった。
「あうあう」
コクコクと頷く。
「てぃあ、ちゅよく、なりたい」
「えーっと、ティアは強くなりたいって言ってたのー?」
「あう」
「···ほう」
ジルの視線がティアを捉えると、ティアが「キャウッ」と鳴いて僕の前に出る。
『黒いバケモノめ!ワレは今はまだ弱いが、いつの日にかお前を超えてやるのだ!覚悟しておくのだ!』
ジルを魔王か何かだと思っているのかな?まあ、昨日威圧されちゃったみたいだしね。
ティアの非常に勇敢な言葉とは裏腹に、尻尾は下がり、前足はプルプル震えている。
一生懸命なティアには申し訳ないが、めちゃくちゃ可愛い。
よしよし。よしよし。
ティア、可愛いねえ。
「···あまり甘やかすなよ」
ジルが不満気な声で言う。
だってティアはこんなに可愛いんだよ?
「あはは!ジル、かわいいねー!」
「んあ?ジル?ウィルとティアじゃなくてか?」
テムの疑問に僕も同感···しそうになってはっと気づいた。
「あう~」
ジルの方に腕を伸ばす。するとすぐにジルが抱っこしてくれた。
「じる、だいしゅき。いちゅも、あいあと」
僕はそう言ってジルにぎゅっとしがみつく。
「···そうか」
ジルの声が途端に柔らかくなる。
「あはは!ウィルくん、なかなかやるねー!」
僕とジルを見て、ファムが笑い出す。
何のことかな?という顔で僕はジルからのナデナデを堪能する。
『ご主人!ワレも強く大きくなったらご主人を撫でるぞ!ワレの方が、黒いバケモノよりフワフワだぞ!』
な、なんですと···!
大きなモフモフを想像する。ああ、そこが天国か···!
「···ウィル?」
一人幸せな妄想に浸ってニヤニヤしている僕を、ジルが訝しげに見る。
あ、ジルの腕も安心感があって幸せだよ?ほんとだよ?
ちょっとね、幸せが渋滞してて困るくらいなんだよ。
「あはは!ティアも、面白そうな子だねー!」
「こいつが喋ってるの、オレらも聞こえたらいいのによー」
「···念話を習得させるか」
「あ、それいいねー!ぼくが教えるよー!」
念話って、ファムがやってるやつ?
え、ファムが教えるの?
『念話か!それが出来れば、ワレの決意を知らしめることができるのだな!』
ティアがやる気に満ちている。
「あのねー、言いたいことを、届けーって思ったらいいんだよー」
『···何を言っておるのだ?』
うんうん、僕も分からないよ。
ライ、早く来て。
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