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最果ての森・成長編
80. テイムスキル
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「そういえば、ウィル君にだけティアの声が聞こえるんだって?」
少し落ち着いたライが僕に訊ねる。
「あう」
僕が頷くと、ライの目が輝く。
「ウィル君、ちょっと鑑定させてもらうね。···あ、やっぱり!『テイム』スキルを取得しているよ!」
おや。そういえば最近、ステータスの確認をしていなかった。
ライはこのスキルを予想していたようだ。やはり、博識なライは頼りになる。
「ティアがウィル君の従魔になったということだよ。魔物をテイムするとね、その魔物の感情が伝わってくるんだ。主従の繋がりができるためだと言われているよ」
なるほど。いつの間にか僕はティアをテイムしていたのか。
「テイムは、もともとテイムスキルを持っている人が自分よりレベルの低い魔物に名前を付けて、魔物がそれを受け入れると成立すると言われているんだ」
ほうほう。ティアは生まれてからそんなに日数が経っていないようだし、僕の方がレベルが高かったのだろう。···マンティコアを倒して、随分レベルが上がったしね。
「でもウィル君の場合は、ティアの方からそう望んだことで、ウィル君にテイムスキルが芽生えたのかな?もしくは名付けのときにウィル君が自力で取得したのかもしれないね」
ふむふむ。その辺りは今となっては分からないが、いずれにしてもティアのおかげでテイムスキルを取得できたんだ。
「あと、通常の場合、従魔から伝わってくるのは感情なんだ。でもティアの場合は声が聞こえるんだよね?これはおそらく、ティアの知力が高くてこちらの言葉を完全に理解しているからだと思うよ」
おお!ティア、すごい!
「従魔のレベルが上がると会話ができるようになる個体もいるけど、もともとの知力にもよるからね。前世の記憶を持っているからかもしれないけど、最初から会話ができるティアはすごいよ!」
ティアを褒められると僕も嬉しい。
隣を見ると、期待に満ちた視線が送られてきた。
よしよし。よしよし。
ティア、すごいぞ。
期待に応えて、ティアを撫でる。
ティアの満足気な表情に、僕の頬も緩む。
「ふふ、もうすっかり仲良しになったね」
そう、僕達は仲良し家族なのだ。
『ワレはご主人の家族だからな!当然なのだ!』
あ、ティアも同じことを考えていたみたいだ。考えがシンクロすると、なんだか嬉しくなる。
「ふふ、本当は今すぐにでも念話の練習をしたいけど、そろそろ寝る時間かな?また明日来るから、明日から始めようね」
ライが微笑んで、僕とティアの頭を撫でる。
もうそんな時間か。そう言われると、なんだか眠たくなってくる。
「ぼくも、今日は帰ろうかなー。またいつかお泊りしてもいい?」
「オレもまた泊まりたいぜ!」
テムとファムなら、僕はいつでも大歓迎だ。
ジルを見ると、ちょっと頷いて僕の頭を撫でる。
「ああ、いつでも泊まりに来てくれ」
「わーい!ありがとー!」
「やったぜ!」
喜んでもらえて、僕も嬉しい。
「ふふ、それじゃあ私はそろそろ帰るよ。みんな、おやすみ」
「ああ、忙しいのに来てもらって助かった」
ジルがお礼を言うと、ライが爽やかな笑顔を見せる。
「ふふ、私の大事な弟子に関することだからね。何かあればいつでも飛んで来るよ」
か、かっこいい···!
そろそろ慣れたと思っていたが、やはりイケメンはイケメンだ。
『何かあればいつでも飛んで来るよ』は、僕の将来カッコよく決めたいセリフ集に追加するとしよう。
「りゃい、あいあと。おあしゅみ」
「ふふ、おやすみ」
最後にライが僕の頭を撫でて、家を出る。
「オレらも帰るか!んじゃ、またな!」
「おやすみー!」
ライに続いて、テムとファムも帰る。
「おあしゅみ!」
ばいばいと手を振って、テムとファムを見送る。
「お前達も、もう寝るか?」
やはり人が減ると、寂しくなるものだ。三人になった部屋で、ジルが僕達に訊ねる。
僕は眠いけど、ティアはどうなのだろうか。
『ご主人が寝るなら、ワレも一緒に寝るぞ!』
尻尾をフリフリしているティアを、思わず抱きしめてそのまま抱っこする。
「てぃあと、ねる」
「そうか」
ティアを抱えた僕を、ジルが抱える。そのまま僕の部屋に連れて行ってくれて、寝る準備をする。
「じる、あいあと。おあしゅみ」
パジャマへのお着替えを手伝ってくれたジルにお礼を言って、おやすみの挨拶をする。
『おやすみなのだ!』
ティアも尻尾をパタパタさせながら言う。もうジルに対する怖い気持ちはないのかな?
「おやすみ」
ジルが僕とティアの頭を撫でて、部屋を出る。
ティアにもおやすみの挨拶をしようと思ったら、ティアから声が聞こえた。
『ご主人、改めて、ワレを受け入れてくれてありがとう。ご主人の仲間も、みんないい奴なのだ。ワレはご主人と出会えて幸せなのだ』
こうやって自分の気持ちをきちんと相手に伝えられるのは、ティアの美点だと思う。
「ぼくも、しあわちぇ」
ティアをぎゅっと抱きしめる。
僕も、ティアと出会えて良かったと思っているよ。
僕達はそのまま、幸せな気持ちで眠りに落ちた。
このとき僕は、明日、ライによる事情聴取が行われることをすっかり忘れていた。
そのおかげか、この日見た夢はとても平和で幸せだった。
少し落ち着いたライが僕に訊ねる。
「あう」
僕が頷くと、ライの目が輝く。
「ウィル君、ちょっと鑑定させてもらうね。···あ、やっぱり!『テイム』スキルを取得しているよ!」
おや。そういえば最近、ステータスの確認をしていなかった。
ライはこのスキルを予想していたようだ。やはり、博識なライは頼りになる。
「ティアがウィル君の従魔になったということだよ。魔物をテイムするとね、その魔物の感情が伝わってくるんだ。主従の繋がりができるためだと言われているよ」
なるほど。いつの間にか僕はティアをテイムしていたのか。
「テイムは、もともとテイムスキルを持っている人が自分よりレベルの低い魔物に名前を付けて、魔物がそれを受け入れると成立すると言われているんだ」
ほうほう。ティアは生まれてからそんなに日数が経っていないようだし、僕の方がレベルが高かったのだろう。···マンティコアを倒して、随分レベルが上がったしね。
「でもウィル君の場合は、ティアの方からそう望んだことで、ウィル君にテイムスキルが芽生えたのかな?もしくは名付けのときにウィル君が自力で取得したのかもしれないね」
ふむふむ。その辺りは今となっては分からないが、いずれにしてもティアのおかげでテイムスキルを取得できたんだ。
「あと、通常の場合、従魔から伝わってくるのは感情なんだ。でもティアの場合は声が聞こえるんだよね?これはおそらく、ティアの知力が高くてこちらの言葉を完全に理解しているからだと思うよ」
おお!ティア、すごい!
「従魔のレベルが上がると会話ができるようになる個体もいるけど、もともとの知力にもよるからね。前世の記憶を持っているからかもしれないけど、最初から会話ができるティアはすごいよ!」
ティアを褒められると僕も嬉しい。
隣を見ると、期待に満ちた視線が送られてきた。
よしよし。よしよし。
ティア、すごいぞ。
期待に応えて、ティアを撫でる。
ティアの満足気な表情に、僕の頬も緩む。
「ふふ、もうすっかり仲良しになったね」
そう、僕達は仲良し家族なのだ。
『ワレはご主人の家族だからな!当然なのだ!』
あ、ティアも同じことを考えていたみたいだ。考えがシンクロすると、なんだか嬉しくなる。
「ふふ、本当は今すぐにでも念話の練習をしたいけど、そろそろ寝る時間かな?また明日来るから、明日から始めようね」
ライが微笑んで、僕とティアの頭を撫でる。
もうそんな時間か。そう言われると、なんだか眠たくなってくる。
「ぼくも、今日は帰ろうかなー。またいつかお泊りしてもいい?」
「オレもまた泊まりたいぜ!」
テムとファムなら、僕はいつでも大歓迎だ。
ジルを見ると、ちょっと頷いて僕の頭を撫でる。
「ああ、いつでも泊まりに来てくれ」
「わーい!ありがとー!」
「やったぜ!」
喜んでもらえて、僕も嬉しい。
「ふふ、それじゃあ私はそろそろ帰るよ。みんな、おやすみ」
「ああ、忙しいのに来てもらって助かった」
ジルがお礼を言うと、ライが爽やかな笑顔を見せる。
「ふふ、私の大事な弟子に関することだからね。何かあればいつでも飛んで来るよ」
か、かっこいい···!
そろそろ慣れたと思っていたが、やはりイケメンはイケメンだ。
『何かあればいつでも飛んで来るよ』は、僕の将来カッコよく決めたいセリフ集に追加するとしよう。
「りゃい、あいあと。おあしゅみ」
「ふふ、おやすみ」
最後にライが僕の頭を撫でて、家を出る。
「オレらも帰るか!んじゃ、またな!」
「おやすみー!」
ライに続いて、テムとファムも帰る。
「おあしゅみ!」
ばいばいと手を振って、テムとファムを見送る。
「お前達も、もう寝るか?」
やはり人が減ると、寂しくなるものだ。三人になった部屋で、ジルが僕達に訊ねる。
僕は眠いけど、ティアはどうなのだろうか。
『ご主人が寝るなら、ワレも一緒に寝るぞ!』
尻尾をフリフリしているティアを、思わず抱きしめてそのまま抱っこする。
「てぃあと、ねる」
「そうか」
ティアを抱えた僕を、ジルが抱える。そのまま僕の部屋に連れて行ってくれて、寝る準備をする。
「じる、あいあと。おあしゅみ」
パジャマへのお着替えを手伝ってくれたジルにお礼を言って、おやすみの挨拶をする。
『おやすみなのだ!』
ティアも尻尾をパタパタさせながら言う。もうジルに対する怖い気持ちはないのかな?
「おやすみ」
ジルが僕とティアの頭を撫でて、部屋を出る。
ティアにもおやすみの挨拶をしようと思ったら、ティアから声が聞こえた。
『ご主人、改めて、ワレを受け入れてくれてありがとう。ご主人の仲間も、みんないい奴なのだ。ワレはご主人と出会えて幸せなのだ』
こうやって自分の気持ちをきちんと相手に伝えられるのは、ティアの美点だと思う。
「ぼくも、しあわちぇ」
ティアをぎゅっと抱きしめる。
僕も、ティアと出会えて良かったと思っているよ。
僕達はそのまま、幸せな気持ちで眠りに落ちた。
このとき僕は、明日、ライによる事情聴取が行われることをすっかり忘れていた。
そのおかげか、この日見た夢はとても平和で幸せだった。
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