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不協和音
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「こっちだアカネちゃん」
ドローンに取り付かれ、彷徨う様に歩くアカネちゃんに俺は叫んだ。
「ああ、トーゴ先輩……私、死ぬみたい……」
アカネちゃんの声はか細く、目は虚ろだ。
ドローンのセグは7を表示している。
俺達とアカネちゃんの距離はだいたい30m。
猛ダッシュすれば届く……。
だけど、届いたとしてどうする?
近づいて爆破に巻き込まれたら?
死なないまでも大怪我を……。
今日知り合ったばかりの赤の他人のために……。
くそっ、考える時間が無駄だ。
「アカネちゃん、こっちに走って」
向こうからも走れば考える時間が稼げる。
「もう、無理だよ」
「無理じゃないっ、走れ」
「ごめんね、みんな……」
「なんで謝るんだよ、いいから走れ」
「だってみんなの賞金が……」
こんなときにみんなのお金のことを?
バカか、絶対に助けてやる。
「おんなぁ、服を脱げぇ」
ホンマが併走しながら叫んだ。
こいつも、こんなときに何を……。
いや、これは。
一緒に走るサトシさんと目が合い、互いに頷いた。
「お父さん、お母さん……ごめんね」
「「「うぉぉぉぉ」」」
ホンマがアカネちゃんの制服のブラウスの胸元を掴み、思いっきり両サイドに引っ張った。
いくつかのボタンが吹き飛び、下着が露になる。
そして、俺とサトシさんがアカネちゃんの両サイドに走り込み、破れたブラウスの襟と袖口を掴んで無理矢理脱がした。
「ひっ」
驚いたアカネちゃんは反射的に胸を両腕で隠して座り込んだ。
「投げるぞトーゴくん」
「はいっ」
ブラウスに張り付いたドローンのセグは1を表示していた。
息を合わせ、ブラウスの両方の袖を引き、その反動でドローンと一緒に天井に向かって投げた。
バンッ。
ドローンは空中で大きな音を立てて落下していった。
「よっしゃーーーー」
ホンマが雄叫びを上げた。
良かった、みんな助かった。
アカネちゃんも無事だ……。
「ごめんアカネちゃん、これ着て」
俺はしゃがみ込んでいるアカネちゃんに自分の制服のシャツをかけてあげた。
「ううう、ありがとうござぁぁぁぁぁ、うわぁぁぁん、怖かったぁぁっぁ」
アカネちゃんは泣き叫んだ。
「あぶねー、1億マイナスされるとこだったぜ」
ガッツポーズをしたホンマ。
目的は邪だけど、それで助けられたのは事実だ。
「よかったねトーゴくん」
サトシさんもそう言って俺の肩に手を乗せた。
「はい、みんなナイスでした」
俺たちは泣いているアカネちゃんを背に一息ついた。
これでゲームクリアだ。
助かった。
誰も死ぬことなく、ここから……。
そう安堵した矢先だった。
ブブォォーーーーンン。
その不気味なプロペラ音が頭上に鳴り響いた。
それらは不協和音を伴いながら俺達の目の前に降り立つ。
「ちっ、今度は2機かよ」
ホンマの言葉にアカネちゃんが絶望の表情で俺を見上げる。
1機でも手に余るのに、どうすれば……。
ドローンに取り付かれ、彷徨う様に歩くアカネちゃんに俺は叫んだ。
「ああ、トーゴ先輩……私、死ぬみたい……」
アカネちゃんの声はか細く、目は虚ろだ。
ドローンのセグは7を表示している。
俺達とアカネちゃんの距離はだいたい30m。
猛ダッシュすれば届く……。
だけど、届いたとしてどうする?
近づいて爆破に巻き込まれたら?
死なないまでも大怪我を……。
今日知り合ったばかりの赤の他人のために……。
くそっ、考える時間が無駄だ。
「アカネちゃん、こっちに走って」
向こうからも走れば考える時間が稼げる。
「もう、無理だよ」
「無理じゃないっ、走れ」
「ごめんね、みんな……」
「なんで謝るんだよ、いいから走れ」
「だってみんなの賞金が……」
こんなときにみんなのお金のことを?
バカか、絶対に助けてやる。
「おんなぁ、服を脱げぇ」
ホンマが併走しながら叫んだ。
こいつも、こんなときに何を……。
いや、これは。
一緒に走るサトシさんと目が合い、互いに頷いた。
「お父さん、お母さん……ごめんね」
「「「うぉぉぉぉ」」」
ホンマがアカネちゃんの制服のブラウスの胸元を掴み、思いっきり両サイドに引っ張った。
いくつかのボタンが吹き飛び、下着が露になる。
そして、俺とサトシさんがアカネちゃんの両サイドに走り込み、破れたブラウスの襟と袖口を掴んで無理矢理脱がした。
「ひっ」
驚いたアカネちゃんは反射的に胸を両腕で隠して座り込んだ。
「投げるぞトーゴくん」
「はいっ」
ブラウスに張り付いたドローンのセグは1を表示していた。
息を合わせ、ブラウスの両方の袖を引き、その反動でドローンと一緒に天井に向かって投げた。
バンッ。
ドローンは空中で大きな音を立てて落下していった。
「よっしゃーーーー」
ホンマが雄叫びを上げた。
良かった、みんな助かった。
アカネちゃんも無事だ……。
「ごめんアカネちゃん、これ着て」
俺はしゃがみ込んでいるアカネちゃんに自分の制服のシャツをかけてあげた。
「ううう、ありがとうござぁぁぁぁぁ、うわぁぁぁん、怖かったぁぁっぁ」
アカネちゃんは泣き叫んだ。
「あぶねー、1億マイナスされるとこだったぜ」
ガッツポーズをしたホンマ。
目的は邪だけど、それで助けられたのは事実だ。
「よかったねトーゴくん」
サトシさんもそう言って俺の肩に手を乗せた。
「はい、みんなナイスでした」
俺たちは泣いているアカネちゃんを背に一息ついた。
これでゲームクリアだ。
助かった。
誰も死ぬことなく、ここから……。
そう安堵した矢先だった。
ブブォォーーーーンン。
その不気味なプロペラ音が頭上に鳴り響いた。
それらは不協和音を伴いながら俺達の目の前に降り立つ。
「ちっ、今度は2機かよ」
ホンマの言葉にアカネちゃんが絶望の表情で俺を見上げる。
1機でも手に余るのに、どうすれば……。
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