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4.ハードモードなハイキング
ハイキング②
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班の出発時刻ギリギリになって急いで集合場所に戻ると、さいわい黒崎くんたちはまだ誰も来ていなかった。
ホッとしてベンチに座り、みんなを待つ。だけど、10分経っても20分経っても、彼らはひとりも現れなかった。
その間に他の班は次々に出発して行く。あっという間に、残っているのは私と数人のみになった。
おかしいな……。
集合時間も出発時刻も、すでに30分以上すぎている。チェックポイントでは点呼があるし班行動が基本だから、置いていかれることはないはずだ。
なにかあったのかな。
心配になって何度も探しに行こうかと考えたけれど、もしすれ違いになったらと思うと集合場所を離れることができなかった。
「あれ? 北野ちゃん、どうしてここにいるの?」
まわりを確かめながらベンチで立ったり座ったりを繰り返していると、長谷くんたちがキャンプ場の方から歩いてきた。
聞けば、班の男の子が靴ずれを治療してもらっていて、遅くなったらしい。
「あ、あの、班のみんなを待ってて……」
そう答えると、長谷くんはちょっと首をかしげて、私を覗き込んだ。
「あれ? 班って、黒崎たちと一緒じゃなかった?」
「う、うん」
距離が近くて、つい一歩後ずさりしてしまう。黒崎くんと話すときも近いから、きっと長谷くんにとっては普通の距離なんだろう。
長谷くんは困ったようにわずかに眉を下げて、
「言いにくいんだけど、アイツらもう出たと思うよ」
「えっ」
「北野ちゃんが先に行ったから追いかけるって、聞いたんだけど。すれ違っちゃった?」
びっくりして、しばらく返事ができなかった。
どうりでみんな来ないはずだ。だけど、どうしてすれ違っちゃったんだろう。
ぐるぐると頭の中を疑問符がまわる。でも、考えるよりまず、みんなを追いかけなきゃいけない。
「ひとりだと寂しいし、俺の班と一緒に行こうよ」
長谷くんはそう言って誘ってくれたけれど、丁寧にお礼を言って断った。
このまま私が歩いて行けば、みんなは最初のチェックポイントで止められてかなり待つことになってしまう。これ以上黒崎くんたちに迷惑をかけたくなかった。
「えー、大丈夫? 心配だなぁ」
長谷くんが言うと、あまり心配していないように聞こえるから不思議だ。前に由真ちゃんが彼のことを『いいヤツだけどチャラい』と言っていたことを思い出す。その理由がわかったような気がして、ちょっと笑ってしまった。
「大丈夫、です。あ、あの、ありがとう」
「ん、気をつけてね。しんどかったら途中で待っててよ」
長谷くんや班の女の子たちが心配してくれたことに感謝して、私は走り出した。
ホッとしてベンチに座り、みんなを待つ。だけど、10分経っても20分経っても、彼らはひとりも現れなかった。
その間に他の班は次々に出発して行く。あっという間に、残っているのは私と数人のみになった。
おかしいな……。
集合時間も出発時刻も、すでに30分以上すぎている。チェックポイントでは点呼があるし班行動が基本だから、置いていかれることはないはずだ。
なにかあったのかな。
心配になって何度も探しに行こうかと考えたけれど、もしすれ違いになったらと思うと集合場所を離れることができなかった。
「あれ? 北野ちゃん、どうしてここにいるの?」
まわりを確かめながらベンチで立ったり座ったりを繰り返していると、長谷くんたちがキャンプ場の方から歩いてきた。
聞けば、班の男の子が靴ずれを治療してもらっていて、遅くなったらしい。
「あ、あの、班のみんなを待ってて……」
そう答えると、長谷くんはちょっと首をかしげて、私を覗き込んだ。
「あれ? 班って、黒崎たちと一緒じゃなかった?」
「う、うん」
距離が近くて、つい一歩後ずさりしてしまう。黒崎くんと話すときも近いから、きっと長谷くんにとっては普通の距離なんだろう。
長谷くんは困ったようにわずかに眉を下げて、
「言いにくいんだけど、アイツらもう出たと思うよ」
「えっ」
「北野ちゃんが先に行ったから追いかけるって、聞いたんだけど。すれ違っちゃった?」
びっくりして、しばらく返事ができなかった。
どうりでみんな来ないはずだ。だけど、どうしてすれ違っちゃったんだろう。
ぐるぐると頭の中を疑問符がまわる。でも、考えるよりまず、みんなを追いかけなきゃいけない。
「ひとりだと寂しいし、俺の班と一緒に行こうよ」
長谷くんはそう言って誘ってくれたけれど、丁寧にお礼を言って断った。
このまま私が歩いて行けば、みんなは最初のチェックポイントで止められてかなり待つことになってしまう。これ以上黒崎くんたちに迷惑をかけたくなかった。
「えー、大丈夫? 心配だなぁ」
長谷くんが言うと、あまり心配していないように聞こえるから不思議だ。前に由真ちゃんが彼のことを『いいヤツだけどチャラい』と言っていたことを思い出す。その理由がわかったような気がして、ちょっと笑ってしまった。
「大丈夫、です。あ、あの、ありがとう」
「ん、気をつけてね。しんどかったら途中で待っててよ」
長谷くんや班の女の子たちが心配してくれたことに感謝して、私は走り出した。
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