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第二十九話 婚約の許可
しおりを挟む説明を聞いたナサヤ子爵は怒りで拳を震わせていた。
「ですが、1つだけ安心して下さい。エレネ嬢のことはこちらで保護しています」
ナサヤ子爵はその言葉に直ぐに反応し、俺の目を見てきたのだ。
「それは、本当か?」
「ええ、本当のことです。この問題を解決した後にこちらに連れて来ます」
「それはそうだな。こんな状況だと安心して、エレネが帰ってこれないからな」
そう言いながら、ナサヤ子爵はベッドから立ち上がった。
流石に驚いた。
精神力とは凄いものだ。
1年間寝ていた初老の男が直ぐに立ち上がることが出来るなんて。
それからの行動は早かった。
エレネの兄弟を全員集め断罪をした。
最初は余裕そうだったが真実の鏡という魔法具で真実を明かされて、流石に焦っていた。
ある者はこの魔法具は偽物だと言っていたが俺がランガン侯爵家の当主のビリー・ランガンと伝えると黙った。
その時、ナサヤ子爵も驚いていたが。
断罪の結果、エレネの兄弟はエレネとエレネと1つしか歳が変わらない兄を残して、有罪になった。
エレネと1つしか変わらない兄は他の元兄弟達に、軟禁されていたからだ。
有罪になった者は地下牢に入れられた。
これで、ナサヤ子爵家は元の姿を取り戻した。
問題解決が終わったので、エレネを連れてくることにした。
俺は魔法袋から転移石に似た魔法具を出した。
その魔法具を使うのと同時に、転移魔法を使って、ベンネット伯爵家の屋敷に戻った。
エレネに解決したことを伝え、エレネと一緒にナサヤ子爵家の屋敷に戻った。
エレネはナサヤ子爵との再会を喜んでいた。
再会を喜んでいるとナサヤ子爵がエレネが着けているネックレスに気が付いたのだ。
「エ、エレネ、もしかしてだが誰かと婚約しているのか?」
エレネは顔を赤くしながら、頷いて答え、俺の方を見た。
ナサヤ子爵に説明を求められたので座って、説明することにした。
エレネは俺の隣に座った。
まず、俺はエレネのことを助けたことを話して、保護したことを話した。
次は今王立学院に通っていることとベンネット伯爵家の屋敷に住んでいることを話した。
最後にエレネと婚約を結んだことを伝えた。
そして、俺が王命で第2夫人を娶るということになったことを。
第1夫人はエレネが今住んでいるベンネット伯爵家の長女だということも伝えた。
流石にナサヤ子爵は難色を示した。
「ランガン侯爵にはナサヤ子爵家を救っ貰った恩とエレネを助けて貰った恩がある。もし、エレネのことを第1夫人としての婚約だったら受け入れたでしょう。ですが、第2夫人は難しいです」
それを聞いたエレネは覚悟を決めた表情を浮かべ、ナサヤ子爵の方を向いた。
「お父さん、ビリーとの婚約を許して欲しいの。僕はビリー以外の人と結婚したくないの。もし、ビリーとの婚約を許してくれないなら僕は誰とも結婚しない」
ナサヤ子爵は娘の覚悟を見た驚きの表情を浮かべた後、安堵の表情を浮かべていた。
「そうか、そこまでなのか。分かった。ランガン侯爵、どうか娘のことをよろしく頼む」
「お任せ下さい。改めまして、ナサヤ子爵貴殿の大切な娘さんを任せて頂けませんか?」
「ランガン侯爵なら構いません」
今日俺はエレネの親からの許可を貰えたので正式の婚約が出来た。
エレネが俺の2番目の婚約者になってくれた。
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