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2 追放
しおりを挟む「彼女はルジエル伯爵の娘、マリアだ。マリアは炎の魔力の持ち主で、魔力量も高い。神具に魔力を注ぐことも可能であろう!!! つまり、お前は用済みだ。今日からマリアがこの神殿の聖女となる!!!」
「.....ですが「えぇい!!!うるさい!!!また奴隷に戻るのが恐ろしいのか知らないが、しつこいぞ!!!お前達、こいつをさっさと縄につなげ!!!」
ヨハネス様は私の言葉に全く耳を傾けてはくださいませんでした。
彼はこの領地のキャンメル侯爵の息子で聖女の婚約相手だというのに、聖女に関して全くの無知だったのです。
神殿にある神具に魔力を注ぐことは確かに聖女の役割ですが、誰でもそれができる訳ではありません。
........神具に魔力を注げるのは、神具に選ばれた者だけ。
彼らはその事実を知らないようでした。
私は馬車につながれた荷台の棒に、身体を括り付けられ身動きが取れなくなってしまいました。
そんな私を見て、マリアがほくそ笑んでいるのが見えました。
「こいつは領地の外のどこかの森にでも捨てるぞ! 神官どもには見つからないようにな!!」
そのヨハネス様の言葉で馬車が動き出しました。
領地で一番栄えている街を通り過ぎる時、ヨハネス様とその取り巻き達は街の住民に向けてこう叫びました。
”コイツはニセ聖女だ!!!”
”今まで俺らは騙されていたのだ!!!”
”本当はただの人間、おまけに奴隷の身分だ!我らから飽食していたんだ!!!”
キャンメル侯爵領は昔から神への信仰が深く、中でも聖女ラン様伝説を重要視していました。
彼らは聖女を神と同じくらい崇拝しているのです。
そんな彼らが、このような言葉を聞いて黙っているわけはありませんでした。
住民達は怒号とともに、私に石を投げ始めました。
それを見てヨハネス様は楽しそうに笑い、馬車のスピードを緩めるように指示を出したのです。
「私はキャンメル侯爵の息子ヨハネスだ!!!私は愛するマリアと共に、皆をこの悪魔フリージアから救う救世主となろう!!!」
そのヨハネス様の言葉に民達からは歓声が上がりました。
私は唇を噛み締め、ただ耐えるしかありませんでした。
怒る狂った住民達はまるで本当の悪魔のようでとても恐ろしく直視することができませんでした。
ゴツンッ
ひときわ大きな石が私の額にぶつかりました。
視界が赤に染まったことで、自分の額から血が出ていることがわかりました。
頭がくらくらして倒れそうになりますが、棒に縛り付けられているため座り込むこともできません。
「ほら!!!見ろ!!アイツは自分の傷を治せない!!!ニセ聖女なのだ!!!」
ヨハネス様とマリア様の高笑いが響いた後、住民達も笑い出しました。
痛みからか.........悲しさからか..........涙がこぼれました。
......................”決して涙をこぼしてはいけない”と神官様に言われていたのに...........。
ポツッポツッポツッッ.........
先程まで快晴だった空から、突然雨が降り始めました。
空が一瞬にして厚い雲に覆われ、日光が通らなくなりました。
地上は薄暗くなり、住民は不安そうに顔を見合わせました。
それもそのはずです。
このキャンメル侯爵領は一年中天気に恵まれていて、このような厚い雲に覆われることなどないからです。
”洗濯物が!”と一人の住民が叫び、踵を返して家に向かった後、他の住民達もあっという間に家に戻って行きました。
ヨハネス様と側近達も浮かない表情で、先を急ぎ始めました。
暑い雲から水滴が落ち始めてから10分もすると、あたりの天気は大雨へと変わりました。
遠くからは雷鳴も轟き、灰色だった空はさらに暗く...............黒くなって行きました。
「マリア、これ以上雨が強くなるとぬかるんだ道のせいで馬車が動かなくなる。先に帰っていてくれ」
「そんな!!マリア、ヨハネス様を置いて帰るなどできません!!」
「大丈夫だマリア。私の乗馬のセンスは知っているだろう?先に帰って、休んでいてくれ」
「ヨハネス様..........どうかご無事で。愛しております。」
「ああ、私もだ。マリア」
そんな会話を交わした後、マリア様と取り巻き達は馬車に乗って帰って行きました。
馬車に乗る前、マリア様は私の足をわざと踏みつけ耳元でこう囁きました。
”ばあぁ~か”
彼女は満面の笑みを浮かべながら、馬車の中に乗り込み私の前から消えました。
そして私は、腕を縛られたまま森の奥へと連れていかれました。
大雨のせいで足元はぬかるんでいて、歩くのはとても大変でした。
私は何度も転び、縛られているため手をつくことができず、毎回顔まで泥を浴びました。
なかなか私が立ち上がらないと、今度は縄で引き摺られるように立たされました。
「ヨハネス様、侯爵領を抜けるためには川を渡らねばなりませんが増水しているため厳しそうです。」
「そうか。まあ、街からは遠い。女の足じゃ戻ることなどできないだろう。それに、戻りたくもないだろう、なぁフリージア」
彼は私の髪を引っ張り、私の顔をあげさせました。
私の瞳を覗き込む、彼の瞳が嫌で、目をそらせば、今度は顎を捕まれ無理やり彼の方を見るように強制されました。
「お前は顔だけは良いからな。俺の妾となりたい、と乞うのならこのまま別邸に連れて行って死ぬまで飼ってやらんこともないぞ?」
「........っ!?」
「聖職者のジジイどもはうるさかったからなあ。今ここで、お前を味わってみるのも良いな???」
そう言って、彼は私の衣服に手をかけてきました。
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