いずれアヤメかカキツバタ

あわつき

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泥酔

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朱音はイヤホンをしながら仕事に集中していた。聴いているのは注目している歌手の歌。蒼凰には劣るが声質が魅力的で朱音は好きになっていた。


「……お」


少しだけ音量を上げる。そうでもしないと綾瀬の部屋から喘ぎ声が聴こえてくるのだ。構わない筈だったが、男の性は欲が深い。だから気付かないフリをして仕事に集中する。



「……りょうら……」


淫らな姿の結多はまた彼の名を呼んだ。その瞬間、アナルに入れられたローターが振動し、ビクビクと身体が震える。


「先輩、かわいー。もっとおれの事呼んで」 
「……っ、や……」


編集者達との飲み会から帰宅した綾瀬は珍しく酔っており、結多が出迎えするなりすぐに自室へと連れ込み行為に至った。酔っているからか、テンションも高く欲求も激しい。


「おれの名前呼ぶ度にーローターのスイッチ入れちゃお」


小道具も使われ、軽いノリでローターを入れられ、今の状況に至る。


「もうイキそうですか?振動強くしていい?」
「……やめ……」 
「1番強いのはぁ、強強かぁ。漢字だけで凄そー。じゃあ、先輩。ファイト!」
「あっ……」


一際強い振動が中から伝わる。前立腺を刺激され、鼓動が早まる。


「凄い。イキっぱなしってやつですか。溢れ出てきますよ」
「やっ……触んな……」
「気持ちよさそうに勃てちゃって。このまま入れても大丈夫そうですね」
「ぬ……いて……。ローター……取ってから……っ」
「まぁ、大分味わったし辛そうなんで抜きますね」
「んっ……!」


ビッと一気に抜かれたのでその反動で身体がビクッとした。熱くなった身体は冷めることを知らない。


「指もすんなり入る。先輩、今から挿入れます。ちゃんと息して下さいね」
「うん……」


バテている結多はされるがまま。綾瀬はゆっくりと結多のアナルに挿入した。入れただけなのに中はとても熱くビクビクしている。


「気持ちいい……。中に出したいな」
「綾瀬……」
「奥まで突いてやるよ」


耳元で囁かれ、衝撃が走った。バチンと思い切り動かれ、これでもかというくらいに前立腺を責められる。先程のローターでイキまくっていた結多はもう抑制が効かずずっと痙攣していた。


「中も痙攣して……やらしーね」
「やぁ……っ……!お、奥やだ……そこやだって……!」
「嫌がる割には抵抗しませんね。本当は気持ちいいんでしょ」
「違っ……!イキっぱなしで……もう……」
「いきたくない?まだ出そうだよ」 
「だめ……!ちんこ触んないで……!」
「弄ったらどうなるの?潮吹きそう?」


コリコリっとペニスの先端を爪で弄られ、射精が止まらない。


「も……無理……。りょうらぁ……」
「ヤバい……興奮してきちゃいました」
「っ……」
「ねぇ、先輩。朝までもちそう?」
「……無理だって……」
「締め付けて離さないのは先輩の方だよ」
「んっ……!」
「本当、先輩とのセックスは気持ちいいなぁ。このまま寝てもいい?」
「だ、ダメだよ……抜いて……」
「やだー。おれまだ満足してないし」
「も……本当無理なんだって……。やだ……」
「怖い?」
「っ……辛い……身体……熱い……」
「あまりやると熱出すかな」


結多の額に触れるといつもより熱かった。行為のせいもあるが、無理をさせて負担になっているかもしれない。


「ごめん、先輩。お巫山戯が過ぎたね」


綾瀬はゆっくりと自分のペニスを抜き、結多を起こしながら抱きしめた。


「綾瀬……」
「やり過ぎました。すみません……」 
「……今日はもう……無理……だから……」
「もうしませんよ。ゆっくり身体休めて下さい」
「……うん」
「最後にキスしていい?」
「……ん」


落ち着かせるように優しく唇を重ね合う。それでほっとしたのか、結多の呼吸も整ってきた。


「先輩、動ける?お風呂まで運びましょうか?」 
「大丈夫……一人で……」
「無理しないで下さい」


ひょいっと軽く腕に抱かれ、結多は理解に遅れた。こんなに綾瀬が力持ちだったとは意外だ。


「着替え後で用意しておくので」
「……うん。ありがと……」


浴室まで運ばれた結多は促されるままだった。よたつきながらも身体を洗い、さっさと終わらせる。


 
綾瀬が出てきたのに気付いた朱音はイヤホンを取り、音量を下げた。


「朱音、煩かった?」
「平気。構わないって言ったし、仕事に集中出来たし」 
「そう……」
「ラブラブだね」
「当然」
「酔いは冷めたの?」
「うん……。最初の方記憶なくて……」
「飲みすぎも程々に」
「そうだね……。抑えなきゃ 」 


冷えた麦茶を飲むと身体中に浸透していくのが分かる。それ程喉も乾いていたのか。


「綾瀬」
「ん」
「姫のこと、大切にしてね」


改めて言われると、認められているのだと言うことを実感する。理解頂ける人達に恵まれてよかったと思えた。


「誰にも渡さない。先輩はおれのものだから」


朱音はほっとしたみたいに微笑んだ。


「幸せ者だな、姫は」
「朱音は……もう恋しないの?」
「……さっぱり忘れて他の誰かを好きになれたら、今よりは素直になるかもね」
「……ごめん。軽率な質問だった」
「いいよ。こういう話も参考の一つ」


然程気にしていない様子で朱音は手を動かしていく。


「姫が出たら、先生入っていいよ」
「朱音、最後でいいの?」
「うん。今中途半端だから終わらせてから入る」
「分かった」
「歌詞の方は順調?」
「それなりに。滞ってはないよ」
「流石。姫も心強いだろうね」
「オレの話?」
「あ、姫~。湯上り姿も素敵」


不意に闖入してきた結多にも動じずに朱音はラフに触れた。


「先輩、身体大丈夫ですか?」
「うん。お湯で癒された」
「……すみません。もう飲みすぎない様にします」
「綾瀬が酔うなんて珍しいもんね」
「強めのものを飲んだので……」
「えっ……ストレス?」
「違います!気分でなんか飲みたくて……」
「そっか」
「……お風呂入ってきますね」


綾瀬はそそくさと浴室へ向かった。


「愛されてるね、姫」
「羨ましい?」


朱音の隣に座りながら結多は髪を拭いた。


「誰にも渡さない、なんて言われたら凄い愛されてるって思うよ」 
「綾瀬がそう言ってたの?」
「うん」
「嬉しいな……」
「大事にされてるんだね」
「いいでしょ~」 
「姫も、先生のこと大事にしてあげてね」
「もち!」


結多は穢れのない綺麗な笑みで頷いた。
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