神さまの下請け ーー 神を辞めた元・神さまは人間になりたいらしいけど俺を振り回さないでほしい。 ーー
ー 俺は好奇心を抑えきれなかった。でも後悔していない。“地獄”を描けたから。それ以上を見れるというから。“契約”を交わした。 ー
かつては、何者かになりたかった。でも諦めた。それでも結局、職を失い全てがどうでも良くなった。
だから“別に死んでもいい”。けれど、“正体不明の怪異に殺されるのは癪だ”。
神社も寺も拝み屋も当てにならなかった。変な噂を耳にして、俺は診察のついでくらいの感覚で精神科医を頼ってみた。すると処方箋に加えてなぜか、御守りと新しい仕事の紹介までされた。そしてすでに、話は通してあるという。事前通告なしで。
怪異の対処は、イチオシの酒を持ってけばやってくれるらしい。
ただ、紹介先は喫茶店。名前と場所しかわからない。
胡散臭いが、他に当てもない。御守りも効いてしまった。だから渋々、向かった。そして、出会ってしまった。
赤い羽織りを纏った銀髪の女。出会い頭に「君を待ってた」と、遅刻以外の理由があるように話し出す。
見た目は神秘的だが、距離がおかしい。口調や一人称がコロコロ変わり、声に出す前の思考へ勝手に返事をする。それでも本人は平然と「人間ですよ」と言い張るのだった。
でも俺は、“契約”のせいで、こいつの正体を知ることができなくなった。まぁ、それくらいはしょうがない。
ナギが、仕事を手伝えば特別な光景を見られると言ったから。
その言葉が、俺のかつて諦めた欲求を強く刺激したから。
怪しい“契約”だったけれど、怪異の対処を二の次にするくらいに焦がれたから。
何者かになりたい人間。【千葉 詩生】《チバ ウタキ》
人間として生きたい元・神さま。【ナギ】《 》
消えかけた神、残された記憶、古い契約、、、
神や怪異にまつわる厄介事へ関わる日々。
さまざまな依頼を通し、千葉の‘絵“を描く目的は、見えないものを人へ届ける手段に変わっていく。ナギは千葉との関わりを通し、人間への視点が、知らず知らずのうちに変わっていく。
怪異の不穏さと、癖の強い者たちの可笑しい掛け合い、そこに紛れる世界の裏側。
例えるならば、元・神さまと人間の業務日誌。或るいは、未来へと続く道程の俯瞰。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
人も、人ならざるものも、神だって、どなたでも!お気軽に!“対人関係”や”契約関連”、“対処”に“引っ越し”なんでもござれ。
相談先はこちら【猫も小判も】まで
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