オッドアイの守り人

小鷹りく

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Chapter 5: 乾杯

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「どうした?染谷?お前今日飲み会じゃないのか?」


俺の誘われていない飲み会には染谷は今日出席すると聞いていた。


「その予定だったんだけど、中野も突然来るって言うし、行くの気が引けたんだ。飲みたい気分だから、ワイン買ってきたんだ。一緒にどう?」


手に持っていたアルコールとつまみが入っているであろうビニール袋を持ち上げて言う。


「いいね!俺も飲みたかったんだ。」


俺も同じ類のものが入っている袋を持ち上げてにこりと笑った。


染谷が俺んちに来るのはあの時以来だ…。


鍵を開けて彼を部屋へと誘導し、後ろ手に鍵を閉め、染谷の残り香の中を歩く。染谷はいい香りがする。何か良いことが起こりそうな予感のする匂い、俺はこの香りが好きだ。


「お邪魔します。相変わらず小綺麗にしてるね。」


「飾るセンスが無い奴には物を置かないと言う選択肢でしか綺麗に見せる方法がない、とも言う、わはは!」


 自虐的に話す俺にふふっと疲労の色の見える顔で、でも少しホッとしたように振り返って彼は笑った。

 
 二人で買ってきたものをソファ前のテーブルに開け、俺はグラスを二つ出す。客の来ない俺の部屋に、客用のグラスはないから、ワイングラスは一個だけ。俺はワイングラスを染谷の前に置き、自分のところには普通のグラスを置いた。


グラスに注がれるワインとビール。俺はこの瞬間が好きだ。やっと仕事から解放される!土日に何も用事がないのに俺は怠惰だ。


乾杯をして一口飲んだ染谷がぽそりぽそりと話し出す。


「今日帰国してた中野と打合わせだったんだ。帰国直後だから来ないと思ってたのに、参加予定の飲み会に、彼も来るっていうから、ドタキャンして申し訳なかったんだけれど、断ってしまった。」


「いいんじゃないか?その代わりに俺は染谷と飲めるんだから!」


染谷は少し照れくさそうに嬉しそうに微笑んだ。そして訝しげに俺の顔を覗きこんで唐突に聞いてきた、


「ところでさ、鹿波のその目の力は僕しか知らないんだよね?他の人には話してないんだよね?」


飲みかけていたビールをぶほっと吹き出してしまった。


「う、うん、染谷以外に話した事はない。俺は染谷しか友達いねぇからな。はは…。」


空笑いをして誤魔化すが、染谷はまだ何か聞きたそうだ。
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