オッドアイの守り人

小鷹りく

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第二部 オッドアイの行方ー失われた記憶を求めて

嫌がらせ

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「…実は最近ずっと俺達の店舗に嫌がらせが続いていたんだ。始めは店前に生ゴミが散らかされていたり、動物の死体が置いてあったり…。そんなの片づけりゃ済む話だからお前には言わなかった…。お前仕事で忙しそうだったし…。」

「なんで黙ってたんだ、いつから始まった?」

「ワンさんから立ち退きの契約をしないから嫌がらせかも知れないって聞いていたから尚更無視する必要があったんだ。ごめん、カイ、お前を巻き込みたくなかったんだ。嫌がらせ受けてたのは一階の店舗だけだったし…。すぐに飽きるだろうって鷹をくくってた。

 だけど嫌がらせはどんどんエスカレートしていってて…ガラの悪い連中が店荒らし出して…もっと早くに対処すべきだったんだがまさかここまでするなんて…。

 俺達の店には火炎瓶が投げ込まれたんだ、一つの店に何個も…。バイクに乗った男達が店全部に…。」

 思い出しながら話すフィンは眉根を寄せて苦しそうな顔をした。恐怖に染まる彼の心の痛みが俺に流れ込んでくる。

「そいつら…投げる前に何度もこの建物の周りをグルグルバイクで走ってたんだ。どうせつまらない嫌がらせかと思って気にせずに居たら…まさかあんな物を投げ入れるなんて…。そいつら、俺達の店を襲う前に…ワンさんの…ジェス達の部屋に火を放ってた。まだジェスが見当たらないんだよ…。」


「消防士は何て言ってるんだ?部屋の中は確認出来ないのか?ワンさんは?!」


「…ワンさんは丁度出掛けてて居なかったんだ、ほら今あそこで警察と話してる。」

 指さす方を見ると泣きながらワンさんが警察官と話している。

「ジェスに電話は?今日は学校だろ?まだどこかでふらついてるだけかも知れない。」

「…いや、ワンさんが帰って来て電話を掛けたんだが繋がらないんだ。友人達にも聞いて見たんだが駅近くで別れた後、家に帰ったって言ってて…。」

 そこまで話すとフィンはその場で座り込んでしまった。



「俺、ジェスの部屋が燃えてるなんて気付かなくて…自分の店の火を消すのに手一杯で…。」



 ススだらけの顔に涙の筋が出来ていく…怖かっただろうにこんな時にまで自分を責めている。お前が悪い訳じゃ無いのに…。



 赤い怒りが身体の真ん中から湧き上がってきた。なぜ悪い奴らはいつも罪もない人達を巻き添えにするんだ。必ずと言っていいほど犠牲を被るのは弱者だ。





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