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第二部 オッドアイの行方ー失われた記憶を求めて
対抗意識
しおりを挟む…だが海静様が仲良くされてご一緒に居られる方なのだから決して悪い方では無い筈。今は妹同然に可愛がって居られるジェシカさんの事が心配で、そしてそれを一人で追いかけた海静様が心配なのだから、苛々していて当たり前だ。
どうして私は対抗意識を持ってしまうんだ、一体どうしたのだ…。自己嫌悪にグッと口を噤んだ私を見かねたのか東が間に入った。
東「で、君の事はフィンと呼んで良いのかな?」
フ「あぁ。」
東「じゃぁ、フィン、今から四人で港に行く訳だけど、海静さんは私達が来る何分前位に家を出たのか教えてくれる?」
フ「多分十分位かな?そんなに時間は経ってなかった。俺がぼーっとしてたのは数分だったし…。」
そう言い掛けて彼は顔を真っ赤にした。何だ、何が恥ずかしいんだ?よく分からない。
東「デモをする団体の塊に足止めを喰わなければ海静さんが家を出る前に会えたのに…。
私達がビルのオーナーさんの部屋に居たのが三十分位だから、海静さんに四十分遅れを取ってるわね。港への行き方が同じとは限らないけれど、これが最短コースなら…」
石「そうだな、何とか間に合うかな。」
フィンはよく分からないと言った様子で聞いていた。
染「指定された場所はコンテナヤードと言って、輸出入貿易に利用される船会社が管理する場所だった。通常入り込むのに書類が必要だが、海静様なら数分で入り込める。
しかし今回はジェシカさんが人質に取られているから体力を使わない様にトラックか、コンテナに忍び込んで入る事を選択すると思われる。そうなれば時間が少し掛かるからきっと我々が到着する前に海静様と会えるんじゃないかと睨んでるんだ。」
私がそう説明するとフィンは驚いていた。そうだな、常人では出来ない事が海静様には可能だ。
私達は能力を持ち合わせていないが、その代わり伊集院家という大きな組織を使える。私達は場所を確認すると同時に組織の会社で貿易を行なっている部門へ連絡を入れ、コンテナヤードの見学と称してその場所に入り込める手筈を整えた。
通常事前連絡が必要な見学も大きな会社との契約がチラつけば船会社は二つ返事で承諾を下す。それも無理であれば外務省関連の伝手もある。幸いな事に手段は豊富だ。
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