オッドアイの守り人

小鷹りく

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第二部 オッドアイの行方ー失われた記憶を求めて

心の闇

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前のシャツをナイフで破られて、胸元が露わになると、前にいる男は興奮した息を吐く。俺の体は俺の意思に反して震え出した。


「へぇ…。綺麗な体してんなぁ…怯えてんのか?震えてるぞ、コイツ。」


 倉庫の暑さに汗をダラダラ掻くその男はビリビリに破れたシャツの裾を両手で開いて囚われた俺の体を見る。男の後ろから体を覗き込む男達。その視線の類を俺は知っている。



 ——心の中に黒い雫が一滴落ちた。


『…コロセ…』


 早くコイツらを洗脳してジェスを助けてしまわなければ。

 欲望に染まる視線を受け、はぁはぁと悍ましい吐息が近くなると黒い雫はボタボタと音を立てて次々に俺の中に落ちて来る。そして直ぐに黒い水溜りを作った。




 ——黒い水溜りに最後の一滴が落ちると、俺の闇は目を覚ました




 頭の中で声が響く…



『コロセ…ヒトリノコラズ…オマエハタダシイ…』



 嫌だ、もう殺さない、誓ったんだ



『ヤラナキャ…ヤラレル…オモイダセ…オマエノ…クルシミヲ…』


 小さな少年の泣き叫ぶ声が遠くに聞こえる


『ヤメテ…いやだッ…ウ"ッワァアアアーー!!』


 やめろっ!もう過去の事だ…!



『…ダレカタスケテ…クレタノカ?…』



 殺さずに済む方法で…



『…ダレモ…タスケテ…クレナカッタ…ダレガ…オマエナド…アイスルトイウノダ』



 黙れ!…黙れ!


 もう痛むはずのない左手首がジクジクと痛み出す。


『…サミシィ…』


 うるさい!



『…タスケテ…』



 助けて———

 何度もそう願った———


『アイツノチカラヲツカエ』


 嫌だっ!もう暗闇の中で生きていたくない…



 一人はもぅ、嫌だ…



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