無能だと言われ続けた聖女は、自らを封印することにしました

天宮有

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第5話

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リカルド視点

 私は部屋で、封印されたフィーレ様を眺めていた。

「本来なら、護衛の私が陛下や王子達を改心させたかった……」

 平民を見下す陛下や王子達の暴言を聞き、フィーレ様は自らを封印すると決意した。
 自らの無力さを実感して悔しくなるけど、私はこれからを生きる必要がある。

「城にフィーレ様を残すわけにはいきませんし……運ぶ必要がありますね」

 目の前の透明な結晶体に閉じ込められているフィーレ様は、封印された状態だ。
 床ごと運ぶ必要があると考えながら、私はクリスタルに触れて――触れることができた。

「フィーレ様は、干渉を一切受け付けないと仰っていましたが……」

 問題なく触れることができて、持ち上げることもできている。
 これなら問題なく運べそうだと考えていると……扉をノックする音が聞こえた。

■◇■◇■◇■◇■

「……聖女様が、自らを封印したか」

 扉をノックして部屋に入ってきたのは、兵士長ジェノス様だ。
 黒く短い髪をした青年でこの国だと一番強いらしく、城内で数少ない平民でもある。

 私やフィーレ様と違い、功績からジェノス様は陛下や王子達からも評価されているらしい。
 ジェノス様は私が急成長した理由がフィーレ様にあると考え、聞きたいことがあったようだ。

 クリスタルの中にいるフィーレ様を見て、ジェノス様は驚いていた。
 説明を聞くと納得した様子で、私はこれからのことを話す。

「はい。私はローノック王に報告して、この城を出ます」

 ジェノス様はフィーレ様を内心認めているけど、城内の自分の立場を守る為に何もしなかった。
 どうせ陛下に報告して知れ渡ることだから理由を説明すると、ジェノス様が頷く。

「そうか……リカルドが急激に強くなったのは、この日のためか」

「そこまでわかるのですか?」

「力を使いこなせるようになれば、俺より強いだろうぜ……まったく、馬鹿な国王と王子達だ」

 溜息を吐きながら、ジェノス様が話を続ける。

「そろそろこの国を見限る時かもしれねぇな……報告に行くのなら、俺も付き添おう」

 私は陛下から見下されているから、最悪会ってくれないかもしれない。
 ジェノス様が同行してくれるなら話を聞くしかなく、協力してくれることに驚きながら私は尋ねる。

「なにか、理由があるのですか?」

「俺のためだよ。フィーレ様が自らを封印して、リカルドが城を出たことを知っていれば……それが、この国を見限る理由になりそうだ」

 ジェノス様は様々な国で雇われていたようで、聖女様の重要さを知っている。
 陛下や王子の機嫌を損ねないよう詳しく話さなかったようで、最悪ローノック国が終わると考えている様子だ。

「わかりました……それでは、報告に行きましょう」

 ジェノス様が手伝ってくれることに対して、私はお礼を言う。
 私は聖女フィーレ様が自らを封印したと、陛下に報告に行くことにしていた。
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