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第68話

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 仮面で顔が隠れたダリアが、殺意を剥き出しにして私に迫る。

 平原で隠れる場所はなくて、私は魔法で対処するしかない。

 暴風の魔力による攻撃を、私は魔力で盾をイメージして防ぐ。
 それでもダリアの方が上で……私は吹き飛ばされてしまう。

「なんて力……本当に、ダリアなの!?」

 全力の魔法で威力を抑えたから、痛みはない。
 それでも後ろに吹き飛んで、迫るダリアに恐怖するしかない。

「驚いているけど、シエル如きが私に勝てるわけないのよ!!」

「ダリアの言うとおりだ。そして倒れたシエルは支配の仮面を着け、ロランを消す道具となってもらう!」

 バルターがダリアの後ろで楽しそうな笑顔を浮かべて、顔が半分隠れる仮面を見せつける。

 また――私はバルターに仮面を着けられて、従わされるのか。
 それも今度は、愛している、恋人のロランを消すために利用するつもりのようだ。

 絶対に嫌だと考えた時――私の頭の中に、対処するための魔法が閃く。
 私は風の魔法を使い、それを閃いた魔法で強化するだけで――ダリアが大きく吹き飛んでいた。

「そんな――」

 ダリアは咄嗟に魔力で防ごうとしたけど、私の魔法の威力が高すぎる。
 吹き飛んで地面に叩きつけられたダリアは意識を失い、バルターが唖然とした声を漏らす。

「なっ……馬鹿な!?」

 ロランは魔法を指輪に籠めていて、私の護身のためだと言っていた。

「まさか……シエルは、ロランの魔法が扱えるというのか!?」

 マクスウェルが驚き、バルターが叫ぶ。

「マクスウェルよ! どういうことだ!?」

「ロランの魔法を扱えるようになるのは知っていた……私が誤算だったのは、シエルがその魔法を扱えたことにある!」

 マクスウェルは――私がロランの魔法を使いこなせないと考えていたようだ。

「ロランは強すぎた。シエルでは不可能なのに、できると想っていたことが敗因になるはずだったのに……」

 実際は違って――ずっと傍にいたからこそ、私はロランの魔法を扱うことができていた。
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