平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました

第８６話

　その後、私は屋敷に戻ることとなっていた。
　夜になって、部屋で私は思案する。

　ミレサの正体を知り、ニコラスが私を助けてくれた。
　私を狙った盗賊団は捕らえることは成功したけど、ミレサとラドンは行方不明だ。

「ダビルの発言的に……今日で全て終わらせるつもりで行動したはずだから、もう姿を現さないかもしれません」

　ラドン王子が盗賊団を雇ったと、ダビルは私に話した。
　それが事実なら処刑になってもおかしくなくて、ラドン達を捜索するようだ。

　こうなればもう、ラドンとミレサは国外逃亡する以外に道はない。
　私達の前に姿を現すのは、危険だと考えるはずだ。　

「これでもう……ラドンとミレサに関わることは、なさそうでしょうか」

　私は呟くけど、今までのことを思い返す。
　ミレサの行動力、私に対する執着は異常で――まだ、諦めないかもしれない。

　それが少し不安になるけど、ミレサ達はもう何もできないはずだ。

「ニコラス様がいてくれて、本当によかった」

　今日のニコラスの行動を思い返して、私は嬉しくなる。
　そして数日後――ニコラスが、私の屋敷に来てくれた。