【完結(続編)ほかに相手がいるのに】

もえこ

文字の大きさ
181 / 224
~変化~

幸福

「… … 大丈夫… …?」

頭上から、彼の優しい声がする…。

「は…はい…」

横抱きにされたまま、杉崎さんの顔を見上げる…。

少し、乱れた髪… 杉崎さんの、肌の匂い…
その、全てが私を魅了する…  ああ… 

「ごめんね…途中から…ちょっと、激しかった…よね…」

「いえ…そんな…」

「…こんなのは初めてで…戸惑ってる… 」

「え… … 」

「…好きで…どうしようもないくらいに…その…君が可愛くて、仕方ない…だから、酷くして、ごめん… 」

私の髪を、何度も優しく撫でる杉崎さん…。

子供に戻ったような、気分だ… 
なんて、心地良いんだろう…。 

「…それは…私も、同じです… す…  す… 」

「… ん… ?」

「…す…好きです…私も… 杉崎さんのことが… 」

「… ん… 俺も… 」

「…あの…今、聞いていいのか、わかりませんが… 拓海は… あの後… 杉崎さんと、どんな話を… 」  

「… ああ… 彼… …」

「拓海…何か、失礼なこと…しませんでしたか…?もし…そうなら、本当に、ごめんなさい…」

「… 大丈夫… 俺がいるから…もう、彼のことは、一切、気にしなくていい…」

「でも… 拓海が… 」

「もう…君が…彼の名前を、そうやって呼ぶのも…あまり、聞きたく、ないかな…」

「 えっ…」
杉崎さんを見つめる…
少し、眉間にしわが寄っている…ような気がする…

「これからは…俺のことを…名前で…呼んで、欲しい… 修哉って、ね…」

「え… …」

名前で…? 修哉… 

修哉って… 私が…林さんのように、杉崎さんを、名前で…? 

想像しただけで…胸がドキドキしてくる…。

「ついでに…差し支えなければ…俺も、君のことを…名前で呼びたい…呼んで、みたい…」

「… 杉崎、さん …?」

少し、顔が…耳まで、赤くなっている杉崎さん… 
ああ…可愛い… 抱き締めたい…

胸が…じんと、熱くなる…。
なんて、可愛い男性なのだろう…。

「今まで…奴が…あの、彼が…君のことを、「葉月、葉月」って呼ぶたびに…多分少し…嫉妬してた…。」

「はい…」 じわりと、嬉しくなる…

「駄目かな…もちろん職場では絶対に名前で呼ばない…こうやって二人でいる時だけ…差支えなければ、で…」

ふわりと笑う杉崎さんの素敵な提案に…
どうやったら、異を唱えられるだろう…。 

「差支えなんて、ありません…呼んでください…名前で… 私も、そうします…」

「…本当…?良かった…じゃあ、早速、練習…」

「れ、練習…」

「葉月… 好き、だよ…  って…なんか普通に、照れるね… 」

「… … …」 葉月… 

杉崎さんが、今…  私を、葉月と呼んだ…
甘くて、セクシーな声…  

こんな声で…杉崎さんに名前を呼ばれるなんて、
最初に出会った時は思ってもいなかった…   

   ああ…  気持ちが溢れ出す…

「… 修哉さん…私も、好きです…大好き…」

私の言葉を受けて…綺麗な顔で笑う杉崎さんに、目を奪われる…。

「よく、できました…葉月…おいで…」
 
再び、ぎゅうと…、抱き締められた後…

「…あ…  また、… したくなってきた…ごめん、やっぱり、離れて…」
慌てて腰を引こうとする杉崎さんに、再び、胸が高鳴る…。

「…いや…です…私はまだ、離れたくない…修哉さんの…好きに…して…」

「…また、君は…そういうこと、さらっと言う… はぁ…じゃあ…今度は後ろから、…して、いい…?」

「後ろ…から…?…」  鼓動が、早くなる…

「そう…後ろ…ここから…いい…?」

杉崎さんの手が…私のお尻にチョンといたずらっ子のように、触れる…

「…はい…、お願いします…」

「お願い、しますって…  …  はあ…君って…」

四つん這いになってと言われた、あの夜…
不意に、出張の夜を思い出す…

その言葉だけで、ゾクゾクが止まらない…私はひょっとして…変態… …なのだろうか… 

「…従順、…なんだね…そのうち…俺、自分を制御できなくなって、本当にケダモノになるかも…いい…?」

「ケダモノ…?」

「そう…荒々しい、欲望だけの…ケダモノ…」
 
紳士ではなく、ケダモノな、杉崎さん…  それも素敵だと、思ってしまった…

ああ…恋は、盲目だ…

「…はい…私、杉崎さんになら…修哉さん…に、なら…何をされても平気です…だから…ケダモノOK、です」

私の真面目な気持ちだった…。 
ただ、ストレートに言い過ぎたかもしれないと、後になって思った…。

「…そ、う…ケダモノOK…か… って…、本当に意味、わかってる…?ああ …とにかく、おいで… もう一度、キス、したい… 」

グイと腕を引かれて…両頬を包まれる…。

「はい… あっ …んんっ … んぅっ… は、ぁン 」

唇を塞がれ…舌を絡められ…

彼の手が、静かに私のささやかな胸に、伸びてくる…指が先端に触れ、びくんと反応してしまう…
それだけで…彼に、求められることで…温かで…幸せな気持ちが、降り注ぐ…。

たとえ、彼氏がいても…彼女がいても… 
長い人生において…
その人以外の、人を好きになってしまうことは、きっと、あることだ…。

罪悪感に苛まれ… 
時に、恨まれ… 
色々、辛い時もあった…嫉妬に苦しむことも… 

だけど…   

だけど…気付いて、よかった…
諦めなくて、よかった… 
なにより…自分自身の気持ちに…嘘をつかなくて、良かった…。

杉崎さんが好き… 
もう、どうしようもないほどに…  

私はこれ以上ないほどに、幸せな気持ちに浸りながら…

   ゆっくりと、目を閉じた…。

      

           





             ~完~






  
 



 


 



























感想 1

あなたにおすすめの小説

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。