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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.1-47 恐竜帝国…国?

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…恐竜帝国。それはティラリアさんの手によって作られてしまった、恐竜たちによる帝国。
 いや、正確に言えば恐竜に近い見た目をしたモンスターを集めていった結果、自然と作られて行き、最初は村、次は都市、続けて国へと変貌を成し遂げていったらしい。
 また、彼女だけじゃなくて同じようなテイムモンスターをテイムしちゃったプレイヤーたちも集まって一種のギルドに近い状態にもなっていたようだが…いつしかそれは、一つの国家といっていい規模にまでなってしまったようである。

「そのうえとどまることは知らず、星そのものもALを稼ぎに稼ぎまくって購入してしまい、帝国という言葉にとどまらず星間国家申請も…いや、どれだけ色々とやっているんですかティラリアさん!?」
「HAHAHAHAHA!!つい、やり過ぎてしまっただけなのデース!!まぁ、新品の高い惑星は無理だったので、中古のちょっとした小惑星を改造しただけなので、まだまだなところもある感じデースね」
「それでも規模がおかしいんですが!?」


 恐竜帝国もとい、現在は星間国家の名称の申請も行われている惑星『ダイナソロン』。
 その星の帝国の入り口として開放されている宇宙港にて、待ち合わせをしていたのだが、何をどうしてここまで至ったのかというこの星で製作された歴史書を読んで、思わず僕はそうツッコミを入れていた。

 なお、既にこの宇宙港の時点で活気があふれまくっているというか、ちょっとしたリアルジュ〇シックパークと化している光景は物凄いものがある。
 そのほとんどがティラリアさんのテイムしたモンスターから、さらに子供が増えたり眷属になったり等々とした結果出てきた臣民と言える者たちらしく、コミュニケーションも人と大差がないほどの立派な恐竜人と言っていいような人たちばかりだったりするのだ。

 うん、こっちも神域でロロがしでかしてくれたSF化してしまった妖精郷があるから人のことが言える立場ではないが、それでもここまでの規模にはツッコミを思わず入れてしまうだろう。
 いつもならあきらめて放置したいところなのだが、恐竜というちょっとした少年心をくすぐるようなロマンもあったせいで、完全に無視することはかなわなかったのである。

「まぁまぁ、落ち着いてほしいのデース。このアルケディア・オンライン、隠し要素としてプレイヤーの努力次第では村や町が作れたりするようにはなっているのデース。その規模がちょっと大きくなって、星々をまたにかけた国家になっただけなのデース」
「ちょっとという言葉の意味の辞書を、今すぐ調べてきてくれませんかね!?」

 アルケディア・オンラインで、一般向けに堂々と公表されているわけではないが、確かに村や町づくりといった要素があることに関しては間違いではないらしい。
 とはいってもそう簡単に作れるようなものではなく、交流を深めたNPCたちから依頼されたり集ったり信頼関係を高めたりしてようやくやり始めることができるそうで、手を出すのはたやすいことではない。
 だが、この星の恐竜女帝にまで上り詰めてしまったティラリアさんのコミュニケーション能力は高かったようで、色々とこなしているうちにこんな国を作り上げてしまったそうだ。

「ひとまず、港で話すのもなんデースし、落ち着いて話せそうな場所へ移動するのデース」
「そんな場所、あるんでしょうか?」
「Yes、星の中央に作った城の客間に案内するのデース。そこまではこの、『バスザウルス』に乗って向かうのデース」

 そう言いながらティラリアさんがぱんっと手をたたくと、どこからともなく猫バ…いや、ステゴサウルスのような顔をした恐竜のバスが現れた。
 足の部分はしっかりとタイヤになっているようで、速度もそこそこ出るらしい。

 内部に全員乗り込んでも大丈夫なほど中はゆったりとしたつくりになっており、座り心地も悪くはないのは良いだろう。

「それじゃ、道中でも軽く説明するのデース。バスザウルス、安全運転で頼むのデース」
【ガオォォォウ!】

 ティラリアさんにこたえるように鳴き声をあげ、進み始めるバスザウルス。
 こんな生き物と機械を合成させたような奴がいていいのかと思ったが、一応これはちゃんとした機械のほうで、見た目が恐竜よりなだけらしいという説明を聞くことができた。

「さすがに本物を魔改造するのは無理だったのデース。空を行くプテラコプターもあったのデースが、全員乗せてくつろいでできるのはこれだったのデース」
「なんだよそれ…もう色々とツッコミどころしかないんだけど」
【ピュィィィ…】

 ちょっと姿は違うけど似ているような恐竜の参考になればと思ったが、ドラゴンとしての姿の参考には少しばかりきつかったようで、シアも困惑の声を上げている。
 爬虫類のようなカテゴリでいえば蛇のマリーも似たようなものなのだが、彼女は彼女でこの光景を見て、めちゃくちゃひきつった顔で困惑しまくっているようだ。
 あ、違う。全員この光景に困惑しまくっているな。さすがに規模がヤバすぎるのは刺激が強すぎたのだろうか。

 まだここに来たばかりのところなのに、最初からインパクトがあり過ぎて、僕らの情報処理が追い付いていないようなのであった…

「とはいえ、これでもまだまだ発展途上デース。なので、機械関係のアドバイスなど『機械神』のなを持つ人と交流して得ているのデース」
「他にもその専門家っぽい人に声をかけているのかよ…」

…素人だけじゃうまくいかないからということで、できる限りその手の分野に強い知り合いに声をかけて、アドバイスも積極的に受けるようにしているようである。
 だからこそ、より早い発展ができたのだろうが…その人たちに、もうちょっと加減してもらいたかったなぁ。











…ハルたちが恐竜帝国の規模に対して困惑しながらも内部へ進んでいたそのころ。
 星から離れたとある地点にて、一隻の船で待つ者がいた。

「確かこのポイントで…ああ、あれか」

 指定された宙域に置かれた郵便物を受け取るために、できる限り他の船のレーダーに察知されないように潜伏しつつ、先へ進み、目的の品が浮いていることを確認した。
 事前に指定された分だけのALを口座に振り込んでいるので、ここに置かれたものを受け取りに向かえばいいだけだが、姉に察知されるのを避けるために何重ものダミーを用意して隠れながら作業していたのである。


 浮いていた郵便物を船内に回収し、彼は…行方不明扱いになっていた中三病は、しっかりと予定していたものかどうかと中身の確認を行う。

【グギョゴゲェ?】
「ああ、こいつは対姉専用特殊兵器の素体に良いかなと思って購入したものだ。あの姉は最強最凶最悪災害厄災など言い尽くせないほどのものがあるが、唯一の弱点といっていいようなものがあるからな」

 同乗していたテイムモンスターが疑問の声を上げたので、そう答える中三病。
 色々と計画を立てていたのだが、その際にどうしても足りないものがあるので探しまくった結果…ついこの間とある企業がつぶれてしまったが、そこからこのアイテムを購入していたのだ。
 違法ギリギリかもしれないが、それでも何とか獲得したもの。
 潰れたことをニュースで知ったので、支払ったALは無駄になっただろうが、その前にやっていたことなのでギリギリの状態で確保に成功できたようだ。
 また、数日前には足りなさそうなデータも、偶然ネット上で見つけて拾うことに成功しており…あとは、これらを組み合わせてしまえばいいだけのことだった。

「単純に逃げるだけではダメだろう…だからこそ、人知れず姉を仕留めるのだ。だが、本人の戦闘力もさることながらその周囲の恐竜たちの戦闘力や兵器もばかにできないのであれば…内部から狙えばいい話だ」

 そう口にして、中三病は荷物の中身をいったん整理して収納し、急いでこの宙域から去って隠れ家へ向けて船を進める。
 今ここに一つの企みが進行しつつあるのだが…その計画に、どう運命の神は微笑むものか、誰も知る者はいなかったのであった……

「…しかし、あとはこれをどうカスタムするかが問題だな。可愛いもの好きなのが分かるが、範囲が広いからな…むぅ、ストレートもありだが、清楚さだけじゃなくてこう、ゴスロリ的なものとかも使えないだろうか…」


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