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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.1-61 こういう時に、人手もありつつ

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…超強力爆音殺虫剤『ムシコロリ』は、今回の侵略者イベントに非常に効果的だった。
 相手がポイズンワーム星人という宇宙人だとしても、カテゴリーとしては虫にしっかり入っていたようで、殺虫剤は効果が抜群だったらしい。

 だが、使用するたびに爆音が鳴るので、やり過ぎたら相手もばかではないので警戒される可能性あり、たやすく殺虫討伐ができなくなってくるかなと思われたが…そこは、別の工夫を混ぜることによって、補うことができていた。

ブシュウウウウウウウ!!
【ジュベェェェ!!】
【ジュルベェェェ!!】

「RMPのスキルで、マリーの毒の力を借りて、あっちこっちに一緒に毒の霧を巻いているけど、これが良い撒き餌になるね」
【シャゲシャゲェ】

 爆発させて焼却処分を狙ったが、まさかの毒を食べる相手には効果を発揮できなかった毒の霧。
 だが、攻撃に使用する方向性はダメでも、相手をおびき寄せる餌としては上質なものだったようで、あちこちで引っ掛かりまくっている様子がある割には、ほぼすべてのワームが食らいつきまくっている様子がうかがえるだろう。

「そしてそんなところを!!」
「これを投げてほいっと!!」
ドカァァァアン!!

 おびき寄せられたところには、ちょっとした地雷仕掛けのムシコロリが用意されており、集まってきたその重みで起爆し、中身の殺虫剤をぶちまけるようになっている。
 毒の霧でいいカモフラージュにもなっており、次々にかかっていくので、中々楽に討伐ができているだろう。

「でも、倒すたびにドロップアイテムもたまっていくけど…討伐率がそろそろ60%超えるか。結構な数をやってきたけど。80%あたりが怖いなぁ」

 そう、こんなに楽に討伐で来ていても、今回生じている緊急クエストは最後のほうで仕掛けがある。
 80%の討伐を切った時点でレイドボスが出現するのだが…そのボス相手に、こんな楽な討伐方法が使えるとは限らないのだ。

「そもそも何が出るんだろうか、このレイドボス」
「うーん、やっぱりボスだけあって、あのポイズンワーム星人の親玉とか?」
「それだとちょっと、単純すぎるのよねぇ。あいてが侵略性の宇宙人だから討伐しているけれども、このゲーム、そんな単純な相手を出すのかしら?」
「「いやいや、そんなことはしないとは思う…たぶん?」」

 妹と声が重なったが、ここの運営がどういうものを用意しているのか予想しづらい。
 単純にあのワームたちのボスとしてキングとかクイーンとかの名がつくようなものならばまだわかりやすいが、そんなものがレイドボスに出てくるだろうか?

 レイドボス扱いになるようなものだと、もっとこう強大なものが多くて、単純な唇シンプル毒虫なやつらが大きくなっただけのようなものが出てくることはないとは思う。
 それに、一応僕はレイドボス経験あるしなぁ…討伐側じゃなくて、やる側で。
 それを考えると、案外どこかで虫マニアなプレイヤーがボスとして出てきてもおかしくはないだろう。案外、いつぞやかネアの件で知り合ったハクロさんとかあたりがボスとして出てきてもおかしくはないのかもしれない。

 そんなことも考えつつも、あちこちで殺虫討伐作業をしていく中…ふと、あるプレイヤーたちを見かけた。


「うぉぉわぁぁぁぁぁぁぁ!!やめろやめろ!!」
「ぎゃああああああ!!毒虫のリップがぁぁぁぁぁ!!」
【プモワォォォォォォ!!】

…気のせいかな、なんか物凄く聞き覚えのある悲鳴なような。

 そう思いつつ、一応関係のない何の変哲もなさそうな無害な一般プレイヤーが襲われているのかもしれないという望みをかけつつ、声のした方向を見れば…盛大にやらかしている者たちを見つけた。

(うわぁ、やっぱりというかなんというか…欲望戦隊か)

 声には出さず、心の中でそうつぶやく。
 声が似ているだけの赤の他人と思いたかったが、その期待は裏切られたようだ。

 既に多くのプレイヤーにもその名は悪名の方向性で広がっているようだ、欲望戦隊。
 最近数がちょっと増えたりしたが…本日は少数精鋭のようで、いつものメンツではないことがうかがえた。

「あ!!あそこにいるのはハルさんじゃ!!」
「ちょうどよかった、助けてくれぇぇぇ!!」

「…気が付かれたくなかったなぁ、こんな時に」

 黄色と赤の戦隊衣装を着たミートンさんとタローンさん…あとは苦労人オークのマッチョン…ん?

「あれ?違う?」

 あの欲望戦隊、マッチョンというなぜそこに入ってしまったのかと物凄く問いたくなるような苦労人でありつつも常識人かつ有能なテイムモンスターがいたはずである。
 だが、そこで豚の鳴き声を上げているモンスターはマッチョンではない。
 
 見た感じ、羽の生えた小さな子豚を彼らは抱えており、その後方からは何をどうしたのかめっちゃお怒りの様子のポイズンワームたちが迫ってきていた。

 いつものメンツはどうしたのか、何をしでかしてこんなことになっているのか、マッチョンじゃないやつをテイムしたのか色々と気になるところがあるだろう。

「うーん、トーカ、母さん。彼ら助けていいかな?」
「あれ、確か欲望五人衆にいたような…でも、困っているならそうしたほうが良いのかも?」
「あの人たちよりも、抱えている子豚のほうを優先して助けたほうが良いような、そんな感じに勘が働く気もするわねぇ」

 間違ってもない、正しい勘だとは思う。
 ただ、それでもセットになっている様子であれば救助したほうが良いということで、僕らはすぐにいつもよりも人数がいない欲望戦隊たちの元へ、救援の手を差し伸べるのであった…
 
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