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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.1-79 アスレチック・土管工事

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 公園の範囲内に設置されている、アスレチックコース。
 流石に鬼畜レベルのは厳しいが、きちんと初心者でも優しい道のりもあるようで、楽しみながら先へ進めるように作られていた。

「でも中級者向けなのも面白そうかな…世界一有名な配管工のおっさんが走るような感じになっているよ」
「あれはあれで、ふさわしいレンタル衣装があったら着用して挑んでみたいよね」

 まぁ、本日の目的としては無理に動く必要性もないので、初心者でも安心して先へ進めるコースの方を選択しており、道中順調に進めている。
 グラグラ動くつり橋に、柔らかいクッションがどついてくる崖に、マシュマロのような柔らかいボールの落石ゾーンなど、ある程度配慮はされている様子。
 仮に落下してもいい様にクッションやら衝撃吸収のボールが流れるプールのようになっており、どんぶらこどんぶらこと最初へ流されるようにもなっているようだ。

「急流下りじゃなくて、ボールでできた川下りもあるのか」
「ボートが舟形だけじゃなくて、桃型とか色々とあるよ」
「先へ足を使っていくのも良し、使えないなら別の道を選ぶこともできる…色々と面白いな」

 こういうのをアルケディア・オンラインの中で出てきてもいいが、現実世界だからこそリアルに感じ取りたいところもある。
 今の道のりとしては地を歩むが、機会があればそっちの方を遊ぶのもいいだろう。安全性が確保されているのならばやってみたい。




 とにもかくにも、お互いにレンタルジャージに着替えてアスレチックコースを進み始めて十数分ほど経過したが、普通に進むだけでもなかなか運動になるし楽しい。
 超上級者向けとかは流石に無理だったので選択せずに、無難に初心者向けのほうにしてよかっただろう。

「とはいえ、疲れてきたあたりで小休憩できる場所があるのはありがたい」

 公園の水飲み場のような給水ポイントや、腰を掛けて休むためのベンチなど、適所に配置されているようでタイミングのいいところで体力回復のために休めるようにもなっている。
 
 ここらへんで少し一息つこうということで、僕らは休むことにした。


「んー、まだまだ走れそうだけど休むのも大事かなー」
「ミーちゃんは余裕ありそうだよね」
「余裕余裕。このぐらい、お母さんに連れられたある国で徹夜マラソンしたよりも楽だもん」
「何があったの?」

 ツッコミどころがあるが、あの自称凄腕スパイとかいろいろ言っている伯母さんならやりかねないような…うーん、気にしないほうがいいか。昔、別件でわさびプリン…思い出す意味もない。


 そんな昔のことを振り払いつつ、軽めの休憩をとったが体力的にはまだ進んでも大丈夫そうだ。
 コースの長さを考えると、帰るころ合いまで十分持つだろうし、問題はない。

「これでまだ先行って、終わったら帰宅…明日は屋内の方でのプール…運動メインな過ごし方が多いかも」
「健康的だから、問題ないと思うよ」
「そっかー」


 引きこもりしまくるよりも、外に出て活発に動く方が健康的だ。
 いや、そもそもミーちゃんと僕の場合、昔からよく外に出て遊ぶことが多かったから、単純にその時と同じようにすごしているだけだろう。 
 やっぱりこう、一緒に活動しまくって楽しみを共有するというのは嬉しくも思える。

「ふふ、ミーちゃんとこうやって遊ぶの、やっぱり楽しいね」
「うん、私も春と一緒にやるのは楽しいよ!」

 お互いに笑いあいつつ、少しストレッチして再始動し始める用意をする。

「っと、その前にちょっとトイレ。待っててね」
「わかったよー」

 ちょっと昼食時のショップで、飲んだ分が来たのだろうか。
 なんとなくもよおし、ささっとトイレのほうに駆け込むのであった。










「…ふむ、頃合いかな」

 春がトイレに入ったところを見て、ベンチに座って待っていたミントはすくっとたちがあり、周囲を見渡してそうつぶやいた。
 春は気が付いていなかったようだが、ゲームセンターの時と似たようなものたちが潜んでいるようで、流石に先ほどの撃退で学習したのですぐに姿を見せるような真似もしていないようだ。

「ここですぐにではなく、もっと別の隙を狙ってだろうが…楽しんでいる中での水を差してくるのはやめてほしいな」

 自分が襲われているだけの瞬間であれば、すぐに消し去ることもできるだろう。
 だが、今はまだ春がちょっと用を足しているだけなので、すぐに行動に移すには少々時間が足りない。

 来ると分かっているのに、その場で対処しづらくて厳しいが…ならば、先にもうやってしまうのも手だろう。 
 ここでどうにか潰しても、また翌日狙ってこられるのも気分が悪いし、やるならば雑草の根をがっつり引き抜くどころか焼き払うぐらいまでやっておいたほうが良い。

「…なら、少しだけ使うのも手か」

 日夜母のそばに付き従って各国を回りつつ、その中で各種研究機関の知識も身に付けた。
 色々な論文も書くが、特許もいくつか取得しており、大企業に使われるものだってある。
 知り合いに滅茶苦茶メリットデメリットがすごい発明家もいるので、その師事も受けつつ、自分なりに改善を施し…小型化・軽量化・携帯可能なものにまで仕上げたものも用意しているのだ。


「超小型工作機…『ピコピコマシン部隊』、行っておいで」

 ポケットの中に入れておいた、携帯カプセルの発明品。
 人が飲むようなカプセルをあけるが、中身は一見空っぽのように見えるだろう。
 でも、その中身は実は肉眼で確認できないほどの物凄く小さな機械が存在しており、自分の指示を出した後に自立稼働ができる優れものなのだ。

 ある程度の任意の動きを入れつつ、あとは相手がどうなっていくのか任せるだけ。
 終わった後は軽く自爆して証拠も残すこともなく、消え去っていく。


「こんなものを作ったりするから、目を付ける輩がいるんだろうけれども…彼との時間を、邪魔しないでほしいなぁ」

 カプセルのほうも自然に優しく溶けるタイプなので、水と共に流してなかったことにする。
 
 ある程度は自業自得なことは理解しているが、それでも大事なこの時間を邪魔するようであれば容赦はしない。
 というか、これはこういう目的で作ったわけではないのだが…ほかにも用意しているから、別にここで切っても支障はないはず。
 
 そう思いながらも、ミントは春がトイレから出てきたところで声をかけて、アスレチックコース巡りを再開するのであった…


「えっと、次のものは…ターザンロープみたいなやつか」
「これ、ああああああって叫びながら使うのが様式美なのかな?」
「そんなの、あるっけ?」
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