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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~
ver.4.2-113 機械の命と生身の命と
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機械都市トリプルアイアンズの中を、滑って進むこと数分ほど。
スケートのように滑りつつ転ばない未知の楽しさをじっくりと味わっていたが、思いのほか速度がそこそこ出たおかげで、スムーズにたどり着くことができた。
「トリプルアイアンズの中にある施設、『ボルドンの酒場』か…ここで、MACのスキルを得られるクエストが受注できるようだね」
「酒場でクエストを受注するって、これはこれで王道の方法だよなぁ」
何かと今まで、誰かの頼み事だったり連鎖的に出てきたものだったりと、様々なクエストをこなしてきたことがあったが、こういうまともそうな方法をとるのは新鮮な体験かもしれない。
ちなみにミーちゃんのほうは、牧場の製品を卸したりする中でクエストを受けることばかりだったようで、酒場でのクエスト受注は初体験のようだ。
見た目的に酒場というよりも工場っぽく見えるのだが…中に入ってみれば、その理由に納得した。
ドクドクドクドク…
コポコポコポコポ
プシュープシューププププシュー!!
「…なるほど、この星のNPC…主に機械の体を持つ人用の酒場みたいなものか」
「酒というよりも、オイルとかなんか見たことない液体とか多いね」
【オォォン】
【ピヤァァ、ジュル】
アリスのほうは興味深そうに見ており、シアのほうは一応飲める体でもあるせいなのか、ちょっとよだれをすするような音が聞こえた。
おいしいのだろうか、あれ…いやまぁ、流石にプレイヤーも訪れたりする場所だから、飲食不可能なものがないとは思わない。
味の良しあしとか飲食の可否とかよりも、今はクエストの受注のほうを狙うことにして、周囲を差探すと、すぐに目当てのものを見つけることができた。
「鋼の大地を突き破り~♪現れたるのはウニの巨神~♪その身のトゲはドリルとなる~♪」
「…なんだろう、あの歌。あれが、目的の『機械詩人ヌゥドゥル』さんかな?」
「意味不明な歌に見せかけて、実在するモンスターの特徴を歌っているらしい…って情報はあるけど、多分そうじゃないかな?」
酒場の一角で歌っているのは、この酒場にいるという特殊NPCの機械詩人ヌゥドゥルさん。
人型ではなく様々な機械触手を全身から生み出してその先で持っている多種多様な楽器を演奏している様子だが、緑色かつ細かい触手のために全身緑色の苔むした姿…マリモの全身に楽器がへばりついているようにしか見えないだろう。
ただし、NPCと言ってもどこぞやののじゃロリとかと違って特殊なNPCではなく、どちらかといえばRPGでよくあるような、一定の言葉しか話さないキャラっぽいそうだ。
情報を思い出しつつ近づき、歌の合間に延ばされている触手を確認する。
このNPCがここで演奏し歌っているのは働いているからであり、延ばされた触手の一つにはALを入れるためのひっくり返しただけの段ボール箱があり、その中にALを投げ入れることができるらしい。
そこにプレイヤーが一定の数だけALを入れると…その量に応じた特殊なクエストを発生させてくれるそうなのだ。
情報集めの中で確認できた特殊なクエストはいくつかあるが、その中にMACのスキルを得ることができるクエストも存在している。
決められた料金…300ALを入れたところで、ヌゥドゥルさんの歌が切り替わった。
「金~♪ありがたい~♪特別な歌を歌いましょ~♪」
ずぬっといったん全身の楽器を緑の機械触手の中にひっこめ、改めて取り出したのはかなり大きなオカリナ。
普通は手にもてる程度のお手軽サイズをイメージできるはずだが、ヌゥドゥルさんが取り出したのは人の頭ほどのサイズもありそうな大きさのオカリナ。
そんなものを吹けるほどの息や穴を押さえるための指はあるのかと思ったが、どうやら機械触手が全て補ってくれるようで、オカリナが一瞬にして藻に包まれたような状態になったかと思えば、演奏をし始めた。
「燃え上がる!!♪燃え上がる!!♪星の命の噴き出す場所にて他を奪う山♪」
「煮~~えたぎる岩石♪溶け~~る鋼♪相手の体を~変えてしまえ♪」
「でも気を付けろ~~♪奴らは光♪影あれば生まれる~♪」
―――――
>…特殊演奏『隠し歌③』を確認。特殊クエストか解放されました。
>特殊クエスト『参上!炎上!!即退場!!豪炎影の鳥の謎』を受注できます。
>受注いたしますか?
『参上!炎上!!即退場!!豪炎影の鳥の謎』
他に隠された、機械惑星で目撃された未知のモンスターの探索クエスト。
目撃、討伐、捕獲などによって、達成可能。ただし、成功報酬はその条件によって異なるので要注意。
―――――
「よし、出たけど…これが目的のだよね?」
「間違いないと思う。まぁ、達成条件が色々とあるようだけど…受注させすれば、MACのスキルを覚えるイベントが発生するらしいからね。このままやって問題ないはずだ」
そう、目的のスキルはクエストの達成報酬ではない。
クエストが発生している中で、いくつもある達成条件のうちの一つを満たす方法として出現し、獲得することができるイベントを起こすものにあるのだ。
つまり、受注させすればクエストを覚えるための道が開け…そのまま利用すればいいだけの話。
ただし、色々な達成手段があるようだが、クエストが完了するまでは獲得しきれるものではないようで、MACのスキルを得た段階でクエストを放棄してしまうと、一緒に消えてしまうそうである。
まぁ、放棄する気はないので問題はないけど、このままうまくいけばの話。
この惑星の難易度は既に道中でしっかり学んでいるので、失敗しないように気を抜かずに受注して進めることにしたのであった…
「荒ぶる炎♪潜る影に飛び出す爆炎~♪水の加護を忘れるな~♪」
「…それにしても、歌詞がヒントになっているらしいけれども、普通に歌がうまいなこのNPC…」
「アイドル惑星から流れてきたNPCって話もあるようだよ。そう考えると納得だけど…何を思って、こんなマリモなボディになったんだろう」
…確かに、それは謎である。いくつもの触手で同時に演奏できそうだけど、それでもなぜマリモっぽい機械の体になったんだろうか。
スケートのように滑りつつ転ばない未知の楽しさをじっくりと味わっていたが、思いのほか速度がそこそこ出たおかげで、スムーズにたどり着くことができた。
「トリプルアイアンズの中にある施設、『ボルドンの酒場』か…ここで、MACのスキルを得られるクエストが受注できるようだね」
「酒場でクエストを受注するって、これはこれで王道の方法だよなぁ」
何かと今まで、誰かの頼み事だったり連鎖的に出てきたものだったりと、様々なクエストをこなしてきたことがあったが、こういうまともそうな方法をとるのは新鮮な体験かもしれない。
ちなみにミーちゃんのほうは、牧場の製品を卸したりする中でクエストを受けることばかりだったようで、酒場でのクエスト受注は初体験のようだ。
見た目的に酒場というよりも工場っぽく見えるのだが…中に入ってみれば、その理由に納得した。
ドクドクドクドク…
コポコポコポコポ
プシュープシューププププシュー!!
「…なるほど、この星のNPC…主に機械の体を持つ人用の酒場みたいなものか」
「酒というよりも、オイルとかなんか見たことない液体とか多いね」
【オォォン】
【ピヤァァ、ジュル】
アリスのほうは興味深そうに見ており、シアのほうは一応飲める体でもあるせいなのか、ちょっとよだれをすするような音が聞こえた。
おいしいのだろうか、あれ…いやまぁ、流石にプレイヤーも訪れたりする場所だから、飲食不可能なものがないとは思わない。
味の良しあしとか飲食の可否とかよりも、今はクエストの受注のほうを狙うことにして、周囲を差探すと、すぐに目当てのものを見つけることができた。
「鋼の大地を突き破り~♪現れたるのはウニの巨神~♪その身のトゲはドリルとなる~♪」
「…なんだろう、あの歌。あれが、目的の『機械詩人ヌゥドゥル』さんかな?」
「意味不明な歌に見せかけて、実在するモンスターの特徴を歌っているらしい…って情報はあるけど、多分そうじゃないかな?」
酒場の一角で歌っているのは、この酒場にいるという特殊NPCの機械詩人ヌゥドゥルさん。
人型ではなく様々な機械触手を全身から生み出してその先で持っている多種多様な楽器を演奏している様子だが、緑色かつ細かい触手のために全身緑色の苔むした姿…マリモの全身に楽器がへばりついているようにしか見えないだろう。
ただし、NPCと言ってもどこぞやののじゃロリとかと違って特殊なNPCではなく、どちらかといえばRPGでよくあるような、一定の言葉しか話さないキャラっぽいそうだ。
情報を思い出しつつ近づき、歌の合間に延ばされている触手を確認する。
このNPCがここで演奏し歌っているのは働いているからであり、延ばされた触手の一つにはALを入れるためのひっくり返しただけの段ボール箱があり、その中にALを投げ入れることができるらしい。
そこにプレイヤーが一定の数だけALを入れると…その量に応じた特殊なクエストを発生させてくれるそうなのだ。
情報集めの中で確認できた特殊なクエストはいくつかあるが、その中にMACのスキルを得ることができるクエストも存在している。
決められた料金…300ALを入れたところで、ヌゥドゥルさんの歌が切り替わった。
「金~♪ありがたい~♪特別な歌を歌いましょ~♪」
ずぬっといったん全身の楽器を緑の機械触手の中にひっこめ、改めて取り出したのはかなり大きなオカリナ。
普通は手にもてる程度のお手軽サイズをイメージできるはずだが、ヌゥドゥルさんが取り出したのは人の頭ほどのサイズもありそうな大きさのオカリナ。
そんなものを吹けるほどの息や穴を押さえるための指はあるのかと思ったが、どうやら機械触手が全て補ってくれるようで、オカリナが一瞬にして藻に包まれたような状態になったかと思えば、演奏をし始めた。
「燃え上がる!!♪燃え上がる!!♪星の命の噴き出す場所にて他を奪う山♪」
「煮~~えたぎる岩石♪溶け~~る鋼♪相手の体を~変えてしまえ♪」
「でも気を付けろ~~♪奴らは光♪影あれば生まれる~♪」
―――――
>…特殊演奏『隠し歌③』を確認。特殊クエストか解放されました。
>特殊クエスト『参上!炎上!!即退場!!豪炎影の鳥の謎』を受注できます。
>受注いたしますか?
『参上!炎上!!即退場!!豪炎影の鳥の謎』
他に隠された、機械惑星で目撃された未知のモンスターの探索クエスト。
目撃、討伐、捕獲などによって、達成可能。ただし、成功報酬はその条件によって異なるので要注意。
―――――
「よし、出たけど…これが目的のだよね?」
「間違いないと思う。まぁ、達成条件が色々とあるようだけど…受注させすれば、MACのスキルを覚えるイベントが発生するらしいからね。このままやって問題ないはずだ」
そう、目的のスキルはクエストの達成報酬ではない。
クエストが発生している中で、いくつもある達成条件のうちの一つを満たす方法として出現し、獲得することができるイベントを起こすものにあるのだ。
つまり、受注させすればクエストを覚えるための道が開け…そのまま利用すればいいだけの話。
ただし、色々な達成手段があるようだが、クエストが完了するまでは獲得しきれるものではないようで、MACのスキルを得た段階でクエストを放棄してしまうと、一緒に消えてしまうそうである。
まぁ、放棄する気はないので問題はないけど、このままうまくいけばの話。
この惑星の難易度は既に道中でしっかり学んでいるので、失敗しないように気を抜かずに受注して進めることにしたのであった…
「荒ぶる炎♪潜る影に飛び出す爆炎~♪水の加護を忘れるな~♪」
「…それにしても、歌詞がヒントになっているらしいけれども、普通に歌がうまいなこのNPC…」
「アイドル惑星から流れてきたNPCって話もあるようだよ。そう考えると納得だけど…何を思って、こんなマリモなボディになったんだろう」
…確かに、それは謎である。いくつもの触手で同時に演奏できそうだけど、それでもなぜマリモっぽい機械の体になったんだろうか。
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