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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.2-122 火口の戦いは足元注意

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…勇者×2というかなり大きな戦力を得たが、真・エンプレ…長いので略して普通にエンプレスと呼ぶだけにして、相手の様子を見る限りまだやる気はあるらしい。

【ゲエエエエエエエエエエエエン!!】

 攻撃が容易く通じないと先ほどのやり取りでわかっているのか、何か策を練ったかのような顔色を見せ、物凄く強烈な雄たけびを上げた。

【【【ケェェェン!!】】】

―――――
>『女帝の咆哮』が発動!!効果によって、支配しているシャドウフェニックス(オス)たちが呼び集められました!!
―――――

 雄たけびと共に影の中から、次々と大量のシャドウフェニックスが飛び出し、火口の上空が真っ暗な炎の鳥籠のようになり、僕らを囲んだようだ。
 どうもまともに相手をしていては意味がないと思い、仲間を呼び出しまくったようで、中々厄介な相手となっている。

「相手は単純に一撃の威力では攻撃不足だと思っているようだ!!数で攻めてくるぞ!!」
「マッチョンと玉五郎三世はエンプレスを集中攻撃!!我々で他のシャドウフェニックスを相手にして、攻撃を拡散させるんだ!!」
「「「了解!!」」」

 周囲を取り囲んでの数の暴力による殲滅を企んでいるようだが、こちらだって人数としては先ほどよりも増えており、対抗はできるだろう。
 このシャドウフェニックスたちはあのエンプレスに付き従っている逆ハーレムメンバーならば…エンプレスの攻撃を勇者たちに任せ、僕らは彼らが攻撃に集中できるように、この群れを相手にすればいい。

「ひゃっはぁぁ!!全体攻撃ならばこちらの得意ぶんやだーぜ!!『ウルトラロックハザード』!!」
「僕の方も、全体攻撃手段あるからね!!ルトの電撃を借りての、『大放電』!!」
「全てのロリっ子の力よわが手に!!燃え上がる心は指先から光線を放てるのだ!!『フィンガーボンバー』!!」

 一部おかしい様な攻撃が混ざったようだが、相手の数が増えたところで各自得意な攻撃でシャドウフェニックスたちを攻撃していく。
 勇者たちがエンプレス相手に集中できるように、降りかかる火の粉を振り払うだけの作業だ。

「守りは任せろ!!タンクマンの防御力は伊達ではない!!」
「その通り!!我らが欲望は鉄壁の盾と化し、火で溶かし尽くせるほどのものではないのぅ!!」
「個人的にはそのまま焼却処分されてほしいところもあるのじゃが、そうはいかんしぶとさをしっかりわかっているのじゃ!!相性最悪じゃが、壁ぐらいにはなる『フォレストデストロイヤー(小)』を召喚してやるのじゃ!!」
「目には目を、歯には歯を!!数に対抗するならば数をということで、スキル発動『子子子ねこのこ子子子こねこ子子子ししのこ子子子こしじ』!!大量の猫と獅子の雨あられにうたれてしまえ!!」

 相手に対抗するための範囲攻撃や、降りかかる炎から守るための盾、呼び出されていく木々や猫とかその他など入り混じったカオスな状況になるが、それでも対応できているから良しとしよう。
 相手が鳥のモンスターというのもあって、猫ならば相手としては相性がいいようだし、マッチョンのほうを見ると豚だけど勇者としての覚醒を経たからか炎に対しての耐性も高いようで、この様子ならばそうたやすくやられることはない。

「みんな頑張れぇ!!応援の舞を踊ってあげるわぁ!!」
【オォォォン!!】
「相手の火を利用して、野菜が上手く美味い料理へ早変わり!!すぐに配ってバフをかけてやるべぇ!!」

「シア、ミサイルを放出!相手が火だから爆発とかに耐性はあるようだけど、爆風で飛ぶバランスを崩してしまえ!!」
【ピャァァィ!!】
「ふふふ、私の鍬もこの岩場の火口なら役立ちまくる!!掘って掘って岩石を蹴り上げてぶつけてあげるよ!!」
「あまりやり過ぎないように!!こちらの足場もなくなるからね!!」

 ドッカンドッカン猫や岩やミサイルなどが飛び交いつつ、順調に相手の攻撃に僕らは対応できているだろう。
 うまいこと勇者としての力を活かしまくっている玉五郎三世やマッチョンたちの攻撃も、エンプレスに対してじわじわとダメージを蓄積させていく。

【ニャァァァゴォォォ!!】

 玉五郎三世が素早く宙に舞った岩を利用して飛び移りながら接近し、エンプレスへ切り込みまくる。

【ブモォォォォォォ!!】

 マッチョンはそこまで身軽にできないが、それでも攻撃力だけは非常に高く、口から光線を吐いたりするなど、勇者の役目を持っているはずなのにちょっとばかり悪役に見えなくもないだろう。

【ゲェェェン!!】

「ちっ、地道に削れるがやっぱりフェニックスの名を持っているだけあって、中々しぶといな」
「攻撃の合間に影に隠れて、MACで引きずり上げられるけど、入るたびに体力が回復しているな」


 しばらく戦う間にわかってきたことなのだが、攻撃をガンガン積み重ねていき体力を削っていくが、シャドウフェニックスとしての種族ゆえか、影の中や炎の中に入ると体力が回復していく様子を見せるエンプレス。
 引きずり上げるだけのスキルを全員が有しているようで、すぐに回復を中断させることができるが、それでも多少回復されるだけでも動きがすぐに復活するから中々やりにくいだろう。

「いっそ、影も炎もまとめて消せればいいんだが…火口だからこそ、下のマグマの熱と光が、どちらも有利に働きかけるか」
「火山そのものを消し飛ばせるような攻撃でもあれば、やれそうだけど…そんなもの、都合よくないからなぁ」
「というか、そんなことをやったらここで戦っている我々も巻き添えになるからな?」

 地道に回復してくるボスというのは厄介なことで、攻撃自体を勇者側のほうにどうにか向けることはできているが、こちら側の攻撃を受けてもすぐに回復してくるのは厳しいものがある。
 細くなったとはいえあの巨体分の体力がそもそもかなりあったようだし、決定打が欲しいところだが、身軽に動く相手だから入れにくい。

「いや、待てよ?ここは火口で、相手は火に包まれていたり、スキルで機械のボディにさせることができるけど、鳥のモンスターで…えっと、ボルナックさんの資料で確か…」

 襲い掛かってくるシャドウフェニックスたちの攻撃をかわし反撃しつつ、ふと、あることを思いついた。
 黒き女神のスキルは封じられているような状態だし、そもそもこの欲望戦隊の前で変身すること自体を避けたいのでやる気はないのだが、それでもやりようがある。

「…行けるか?」
「お?ハル、何か思い浮かんだの?」
「うん」

 さっきまで集中的に狙われていた分の鬱憤もあるが、それを晴らすのにちょうどいいだろう。
 このメンツであれば、可能だとは思うが…しいて問題を上げるならば、ちょっと度胸が必要になることだろうか。

 とにもかくにも、確実な一撃を狙うために攻撃の合間に皆へ素早く話して合意を得るのであった…

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