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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~
ver.5.1-41 こういう制御方法は無茶苦茶だけど
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…緊急ワープ。それはロマンの定番でもあり、使用する機会が限られているとはいえ、搭載しておいて損はないもの。
いざという時に逃走する手段として利用でき、迫りくる危機的状況を回避できるだろう。
まぁ、その便利さの反面、ワープ先の設定ができないがゆえにどこに出るかもわからず、しかもかなり強引にワープを行うものだから、船体への負荷も当然大きくかかる。
だからこそ、出来る限り取っておきたいところだが…流石に某宇宙戦艦の決戦兵器レベルのものがやってきたのであれば、使わざるを得なかった。
ドォォォォォン!!
「その影響で、船体制御の部分が壊れたようだけどね!!ロロ、復旧は!!」
【艦内人工重力システム停止、足場不安定な状態なので、修理場所へはすぐに迎えまセン!!現在の状況は、どこかの宇宙空間に飛んだようですが…近くの星の引力に引き寄せられているようデス!!】
「既に外の星の影が見えているからわかるって!!」
「岩肌が見えている星に、かなりの速度で引き寄せられているよ!!」
緊急ワープの負荷によって、グレイ号の制御システムが逝かれたらしい。
操艦がままならず、近くにある星の引力によって、だんだん加速しながら激突する時が近づいているようだ。
「いくらグレイ号が頑丈だとしても、この速度でまともに激突したらそれこそアウトだよ!!」
【一応、計算上はどうにか耐えられそうですが、内部の制御システムが逝かれている今、中身の私たちのほうが危ないですネ】
「具体的には?」
【そうですね…紐が切れた、高層ビルの最上階から墜ちるエレベーターの中身と同じと言って良いでしょウ】
「具体例を出されたことで、よりやばい状況だって理解させられるんだけど!!」
割とシャレにならない状況である。
せめてもの救いとすれば、ここはVRMMOのアルケディア・オンラインの中なので、流石に現実の肉体がつぶれたミンチのようにならないことだろうか。
それでもリアルに接近する恐怖が近づいているのはどうしようもなく、どうにかしないと精神的にやられそうだ。
「あ、そうだ!!制御が出来なくても、エンジンは動いているよね?」
【エネルギーを生み出すのは可能ですネ。ただ、船体制御装置が故障しましたので、各種スラースター部分は稼働できないので、すぐに姿勢制御は不可能デス】
「いや、それが出来なくても、動かせる部分があればいい。ロロ、グレイ号の全砲門を開いて、そこから撃ちだすことが出来るか?」
【可能といえば可能…あ、なるほど、その手がありまシタ!!】
ふと、思いついたことがあったので確認したところ、どうやらロロは僕が言いたいことを理解したらしい。
「え、え、どういうこと?何をするの?」
「主砲をやその他武器でエネルギー弾を射出。普段なら船体制御システムによって反動を打ち消すことで艦の姿勢を保てるけど、システムが動かない今なら、ばっちり反動を受けるから…それを利用して、無理やりコントロールを行うんだよ!!」
戦艦の主砲の威力というのは凄まじいが、当然撃つ際にはその反動が生じる。
ある程度の反動は普段は打ち消せるが、今はシステムが停止しているので打ち消せない状況。
ならばそれを利用して、無理やり制御システム代わりに船の体勢を立て直すのである。
「とはいえ、完全に制御しきれるわけでもないし、計算してやらないと…加速してさらに悲惨な激突になる。ロロ、完全回避が出来なくても、どうにか軟着陸で出来るようにお願い!!」
【了解デス!攻撃システム、自動制御モードからマニュアル操作へ変更。全砲門のコントロール及び反動計算開始!!…計算完了、射出咆哮及びエネルギー量設定完了!!うちーかーたー始メ!!】
艦内のシステムまでもが放棄されたように姿勢がとりにくい中、ロロが砲撃用のシステムを操作し、すぐに船体の各種砲塔が動き始める。
ドカンドカンドカンドカン!!
【主砲及び副砲連続発射!!側面部魚雷砲門2番4番射出、艦艇部焦熱砲噴射、格納中のグランドロブタンクは格闘戦対応形態へトランスフォーム及び側面へ移動しクラブジェット!!】
【メインエンジン出力調整、エネルギーサイクル変更、バルブ5番安全弁開放、7番制御弁閉鎖!!】
【Gエネルギー変換器及び圧縮型核融合電池を使用!!単発から集中光線切り替え部位へ!!】
周辺に他の魔導船とかがいなくてよかっただろう。
いたら確実に、グレイ号の攻撃に巻き込まれて大損害を被っていただろうし、受けるとしても目の前の星ぐらいなので問題はない。
あちこちから砲撃が放たれて、その反動で船体ががくがくと揺れ動きつつもどうにかこうにか真正面からの墜落は避けられそうな状態にまで回復する。
【皆様、激突は避けられますが、不時着時の衝撃は軽減しきれまセン!!吹っ飛んでうっかり窓を突き破って出ないように、各自しっかりとどこかに捕まっていてくだサイ!!】
激突は避けられるが、不時着の衝撃までは軽減しきれない。
念のために艦橋の窓の保護のためのシャッターが下ろされて、外部の様子は上部のモニターに映し出されて、地面が近づく様子が見える。
ロロの言葉に従って僕らは手近な場所にしっかりとしがみつき…そして、船が星へ着陸する。
ズッゴンドッゴンガガガガガガッガガガ!!
2,3回ほど跳ねたような感じがしつつも、地面をえぐり取るような音を立てて振動が伝わってくる。
ブレーキのために前方のほうに何度が砲撃を行い、どうにか数回ほどでだんだん振動が収まり、無事に停船した。
「ふぅ…た、助かったのかな。ロロ、被害状況は?」
【姿勢制御のための無反動状態で動かしたので、全兵装が使用不可能状態になりまシタ。第三艦橋部分がブレーキにもなってますが地面に食い込み、その他エネルギーの過剰熱で溶けたりと…だいぶボロボロですが、修復不可能な状態は避けられましタ】
「場所としてはどこになる?」
【宇宙地図、ERRORコードデス。レーダー系もいかれたようなので、すぐに特定はできないかと…カメラは動きますので、周辺光景を投影いたしマス】
ばちちっと音を立てつつ、どうにか周辺の光景を艦の外部カメラの各所の光景がモニターに映し出される。
どこかの惑星にでも落ちたのかと思ったが、どうやらそこまで大きいわけでもない。
大気はなく、岩肌がさらけ出された光景は何かも滅びた星のようにも見えなくもない。
「いったいどこに堕ちたのやら…まぁ、助かったなら儲けものなのかな?」
【後々の修理費用を考えると、大損害ですけれどネ】
「…そうだよね。機械神のこと、言えなくなりそう」
「あの人よりはマシじゃない?」
何とも言えないが…うん、比べるのも意味はないか。
どこに出たのかもわからないが、とりあえず無事に命だけが助かったのであれば、それを喜ぶべきだろうか。
「ひとまず、周辺調査をしたほうが良さそうか…うっかり落ちた星が、実は人食い惑星でしたーとかいうのはシャレにならないもんね」
「嫌すぎるよ…人食いじゃなくて性癖食いの惑星なら一度遭遇したことあったけどさ」
シャレにならないどころか、下手すれば人生終了の星になるのではなかろうか。
そう思いつつも、まずは現在位置の把握のために、外の確認を行う必要がある。
「とはいえ、今回は大気もない星かぁ…VRMMOの各種惑星は一応何かしらの大気があったけど、今回はどことも知れない星だけに、何もないって…宇宙服装備、あったっけ?」
【ありますヨ。宇宙空間でもプレイヤーが死亡しないように、用意された宇宙服は各種あるのデス。ボディラインが出るタイプや、古典的なもの、宇宙じゃなくて潜水服じゃないかと言えるようなものなど、バリュエーション豊かデス】
「そんなにあるのか…どこの誰が作っているのやら」
船外活動を行うにはちょうど良いので、深く聞く必要もないか。
とにもかくにも、宇宙服を選択して装備し、ロロに修理を任せて僕らは周辺の探索を行うことにするのであった…
「…しかし、何でだろうか」
「どうしたの、ハル?」
「いや、トラブルのせいで初めて訪れた星のはずなんだけど…んー、なんかどこかで見たことがあるような感じがするんだよな」
「ハル、宇宙に出たことあったっけ?」
「生まれてこの方、そんなことしていない。電子空間なら女神でやらかしたことがあったが…んー、何でかな?」
…本当に、名もない見知らぬ星のはずだよね?
いざという時に逃走する手段として利用でき、迫りくる危機的状況を回避できるだろう。
まぁ、その便利さの反面、ワープ先の設定ができないがゆえにどこに出るかもわからず、しかもかなり強引にワープを行うものだから、船体への負荷も当然大きくかかる。
だからこそ、出来る限り取っておきたいところだが…流石に某宇宙戦艦の決戦兵器レベルのものがやってきたのであれば、使わざるを得なかった。
ドォォォォォン!!
「その影響で、船体制御の部分が壊れたようだけどね!!ロロ、復旧は!!」
【艦内人工重力システム停止、足場不安定な状態なので、修理場所へはすぐに迎えまセン!!現在の状況は、どこかの宇宙空間に飛んだようですが…近くの星の引力に引き寄せられているようデス!!】
「既に外の星の影が見えているからわかるって!!」
「岩肌が見えている星に、かなりの速度で引き寄せられているよ!!」
緊急ワープの負荷によって、グレイ号の制御システムが逝かれたらしい。
操艦がままならず、近くにある星の引力によって、だんだん加速しながら激突する時が近づいているようだ。
「いくらグレイ号が頑丈だとしても、この速度でまともに激突したらそれこそアウトだよ!!」
【一応、計算上はどうにか耐えられそうですが、内部の制御システムが逝かれている今、中身の私たちのほうが危ないですネ】
「具体的には?」
【そうですね…紐が切れた、高層ビルの最上階から墜ちるエレベーターの中身と同じと言って良いでしょウ】
「具体例を出されたことで、よりやばい状況だって理解させられるんだけど!!」
割とシャレにならない状況である。
せめてもの救いとすれば、ここはVRMMOのアルケディア・オンラインの中なので、流石に現実の肉体がつぶれたミンチのようにならないことだろうか。
それでもリアルに接近する恐怖が近づいているのはどうしようもなく、どうにかしないと精神的にやられそうだ。
「あ、そうだ!!制御が出来なくても、エンジンは動いているよね?」
【エネルギーを生み出すのは可能ですネ。ただ、船体制御装置が故障しましたので、各種スラースター部分は稼働できないので、すぐに姿勢制御は不可能デス】
「いや、それが出来なくても、動かせる部分があればいい。ロロ、グレイ号の全砲門を開いて、そこから撃ちだすことが出来るか?」
【可能といえば可能…あ、なるほど、その手がありまシタ!!】
ふと、思いついたことがあったので確認したところ、どうやらロロは僕が言いたいことを理解したらしい。
「え、え、どういうこと?何をするの?」
「主砲をやその他武器でエネルギー弾を射出。普段なら船体制御システムによって反動を打ち消すことで艦の姿勢を保てるけど、システムが動かない今なら、ばっちり反動を受けるから…それを利用して、無理やりコントロールを行うんだよ!!」
戦艦の主砲の威力というのは凄まじいが、当然撃つ際にはその反動が生じる。
ある程度の反動は普段は打ち消せるが、今はシステムが停止しているので打ち消せない状況。
ならばそれを利用して、無理やり制御システム代わりに船の体勢を立て直すのである。
「とはいえ、完全に制御しきれるわけでもないし、計算してやらないと…加速してさらに悲惨な激突になる。ロロ、完全回避が出来なくても、どうにか軟着陸で出来るようにお願い!!」
【了解デス!攻撃システム、自動制御モードからマニュアル操作へ変更。全砲門のコントロール及び反動計算開始!!…計算完了、射出咆哮及びエネルギー量設定完了!!うちーかーたー始メ!!】
艦内のシステムまでもが放棄されたように姿勢がとりにくい中、ロロが砲撃用のシステムを操作し、すぐに船体の各種砲塔が動き始める。
ドカンドカンドカンドカン!!
【主砲及び副砲連続発射!!側面部魚雷砲門2番4番射出、艦艇部焦熱砲噴射、格納中のグランドロブタンクは格闘戦対応形態へトランスフォーム及び側面へ移動しクラブジェット!!】
【メインエンジン出力調整、エネルギーサイクル変更、バルブ5番安全弁開放、7番制御弁閉鎖!!】
【Gエネルギー変換器及び圧縮型核融合電池を使用!!単発から集中光線切り替え部位へ!!】
周辺に他の魔導船とかがいなくてよかっただろう。
いたら確実に、グレイ号の攻撃に巻き込まれて大損害を被っていただろうし、受けるとしても目の前の星ぐらいなので問題はない。
あちこちから砲撃が放たれて、その反動で船体ががくがくと揺れ動きつつもどうにかこうにか真正面からの墜落は避けられそうな状態にまで回復する。
【皆様、激突は避けられますが、不時着時の衝撃は軽減しきれまセン!!吹っ飛んでうっかり窓を突き破って出ないように、各自しっかりとどこかに捕まっていてくだサイ!!】
激突は避けられるが、不時着の衝撃までは軽減しきれない。
念のために艦橋の窓の保護のためのシャッターが下ろされて、外部の様子は上部のモニターに映し出されて、地面が近づく様子が見える。
ロロの言葉に従って僕らは手近な場所にしっかりとしがみつき…そして、船が星へ着陸する。
ズッゴンドッゴンガガガガガガッガガガ!!
2,3回ほど跳ねたような感じがしつつも、地面をえぐり取るような音を立てて振動が伝わってくる。
ブレーキのために前方のほうに何度が砲撃を行い、どうにか数回ほどでだんだん振動が収まり、無事に停船した。
「ふぅ…た、助かったのかな。ロロ、被害状況は?」
【姿勢制御のための無反動状態で動かしたので、全兵装が使用不可能状態になりまシタ。第三艦橋部分がブレーキにもなってますが地面に食い込み、その他エネルギーの過剰熱で溶けたりと…だいぶボロボロですが、修復不可能な状態は避けられましタ】
「場所としてはどこになる?」
【宇宙地図、ERRORコードデス。レーダー系もいかれたようなので、すぐに特定はできないかと…カメラは動きますので、周辺光景を投影いたしマス】
ばちちっと音を立てつつ、どうにか周辺の光景を艦の外部カメラの各所の光景がモニターに映し出される。
どこかの惑星にでも落ちたのかと思ったが、どうやらそこまで大きいわけでもない。
大気はなく、岩肌がさらけ出された光景は何かも滅びた星のようにも見えなくもない。
「いったいどこに堕ちたのやら…まぁ、助かったなら儲けものなのかな?」
【後々の修理費用を考えると、大損害ですけれどネ】
「…そうだよね。機械神のこと、言えなくなりそう」
「あの人よりはマシじゃない?」
何とも言えないが…うん、比べるのも意味はないか。
どこに出たのかもわからないが、とりあえず無事に命だけが助かったのであれば、それを喜ぶべきだろうか。
「ひとまず、周辺調査をしたほうが良さそうか…うっかり落ちた星が、実は人食い惑星でしたーとかいうのはシャレにならないもんね」
「嫌すぎるよ…人食いじゃなくて性癖食いの惑星なら一度遭遇したことあったけどさ」
シャレにならないどころか、下手すれば人生終了の星になるのではなかろうか。
そう思いつつも、まずは現在位置の把握のために、外の確認を行う必要がある。
「とはいえ、今回は大気もない星かぁ…VRMMOの各種惑星は一応何かしらの大気があったけど、今回はどことも知れない星だけに、何もないって…宇宙服装備、あったっけ?」
【ありますヨ。宇宙空間でもプレイヤーが死亡しないように、用意された宇宙服は各種あるのデス。ボディラインが出るタイプや、古典的なもの、宇宙じゃなくて潜水服じゃないかと言えるようなものなど、バリュエーション豊かデス】
「そんなにあるのか…どこの誰が作っているのやら」
船外活動を行うにはちょうど良いので、深く聞く必要もないか。
とにもかくにも、宇宙服を選択して装備し、ロロに修理を任せて僕らは周辺の探索を行うことにするのであった…
「…しかし、何でだろうか」
「どうしたの、ハル?」
「いや、トラブルのせいで初めて訪れた星のはずなんだけど…んー、なんかどこかで見たことがあるような感じがするんだよな」
「ハル、宇宙に出たことあったっけ?」
「生まれてこの方、そんなことしていない。電子空間なら女神でやらかしたことがあったが…んー、何でかな?」
…本当に、名もない見知らぬ星のはずだよね?
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