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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-61 マッチポンプという言葉を

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…準備は万端、自信は十分、計画性はバッチリと、欲望戦隊は満ちたりている中、闇夜の森の中を進んでいた。
 
 彼らの目的であるブラックバットは、基本的に群れで行動するもの。
 超音波による検知のひょっとこ装備があるとはいえ、事前にどのような行動をするかなどの情報を収集しており、油断せずに目指していく。

「超音波検知の範囲は2キロ圏内からか…結構接近しないといけないようだ」
「さらに言えば、蝙蝠のモンスターだけど、羽音がしない飛び方をしており、検知してもすぐに捉えにくく」
「なおかつ群れで過ごしているのであれば、すぐに個体を見分けるのは厳しいが…」
「「「「我らの眼から逃れるすべはぁっ!!なぁぁいっ!!」」」」

 人でだけど人並外れた欲望を持つからこそ、限定された分野とはいえそこに対して注ぐ彼らの欲望は並大抵のものではない。
 過ぎたる欲望は身を焦がすこともあるだろうが、彼らの欲望は、身を爆散させるレベルのモノであり、日夜その欲望に燃え滾っている。

 ゆえに、欲望の力によって日々肉体が鍛え上げられており、こういう時に役に立つのである。


「うぉぉぉぉ!!燃やせよ我らが欲望の炎を!!」
「見つけたるは、ブラックバットの群れ!!」
「その中のさらに、美女プレイヤーの姿を得たというバットのために!!」
「欲望戦隊一同、全力をもって!!」
「「「「何が何でも達成するんだぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」

 過去にも様々なことをやってきたが、同じような目的のものはどれ一つとして成功していなかった。
 ある時はテイム方法を調べたのに期待に沿えず、またある時は卵から得ることが出来ると聞いて向かえば喰われかけ、またある時は条件をせっかく満たしそうだったのにできず、畏れさせてしまったがゆえにテイムさせることが出来なかった。

 そんな数々の失敗を積み重ね、ああでもないこうでもないと試行錯誤を重ね、努力を積み重ねてきた欲望戦隊。
 夢はいつか本気で叶う、そう信じて…全力で、探索を行う。

 その欲望の炎は、闇夜の中でもギラギラと輝けるほどの眩しいものであり、方向性によってはとんでもないことを成し遂げたのかもしれない。
 でも、この欲望戦隊だからこそまだまともな方向に…まともなのか怪しい様な気がしなくもないが、それでも悪しき方向には利用せず、己の心の赴くままに炎をたぎらせる。

 そして、探索を開始して時から数十分後…ようやく、彼らは目的のモンスターがいる群れを見つけだした。


ヒョットコヒョットコヒョコヒョットコ♪
「うぉぉぉぉぉ!!検知器に反応有り!!3時の方向に推定数15体!!」
「目当ての奴がいる群れかは不明だが、ブラックバットの群れなのは間違いない!!」
「総員、至急現地へ向かうぞ!!」
「逃す前に、サーチアンドデストロイ!!」
「「「いや、デストロイじゃなくてテイムだろぉぉぉ!!」」」

 勢いよくツッコミを入れつつ、欲望戦隊は迅速に移動する。
 闇夜の中ゆえに見にくいのだが、それでも目的のために研ぎ澄まされまくった五感がさえわたり、ひょっとこによる感知だけではなく自身の力で感じ取る。

 いくつものブラックバットの群れの中、一つ一つ空気の流れや声色、音波の質など細かい部分を確認し、探ってゆく。
 通常のブラックバットでは意味がない。
 彼らが求めているのは美女のブラックバットであり…その執念は細かい網目のように広がり、そして捉える。


「いたぞ!!目的のブラックバットを発見した!!」
「しかし、群れの数が多くて仲を深めるテイム条件前に、交戦の恐れあり!!既に相手は音波で我々の位置を把握し、戦闘態勢へ移りつつある!!」
「うかつに手を出せば混戦し、やらかす可能性があるが…」
「それでも、目的のためだけに何が何でも成し遂げねばならない!!」

 ならば、どうするのか。
 このまま何もしなければ自然と戦闘となり、この闇夜の混戦の中では目当てのバットも倒してしまう可能性がある。
 
…だが、その可能性を考慮していなかったわけではない。
 いくつものシミュレーションを行い、お互いに話し合い、どのようにすればいいのかということは打合せ済みだ。
 実践するために、この日まで磨きまくった自分たちの腕前を、ここで使うしかないだろう。


「総員、戦闘態勢!!目当てのバット以外の全滅を!!」
「一寸たりとも、傷つけるな!!混戦の中で、流れ弾が出ないように、正確に狙え!!」
「逃亡を防ぐための細工は既に仕込んである!!ひょっとこを外し、戦闘マスクを着用せよ!!」
「いつものように、何度も繰り返したシミュレーションのように、成し遂げるのみ!!」
「「「「そう、我々の目的のためには全力を尽くす、ただ一つの答えを得るために!!」」」」


 普段何かと変態変態大変態などと呼ばれている欲望戦隊だが、その実力に偽りはない。
 己の欲望のために全力投球できるからこそ、正直な力はそのまま威力を発揮して見せるのだ。

 そして今、その力をもって彼らは戦いを挑む。
 その他の者たちをまとめて片づけ、たった一つの宝石を得るために。

「ここでやらねば誰がやる!!欲望、大・解・放!!ミセタインジャーコンビネーション!!ワン!!」
「ツー!!」
「スリー!!」
「フォー!!」

 いつもより人数が少ないとはいえ、阿吽の呼吸でそろっていく。
 掛け声とともに、周囲が良く見えないはずなのに一糸乱れぬ動きで、まるで手に取るようにわかっているがごとく、欲望戦隊は動く。
 その戦いの様は、ある意味芸術と言えるほどの繊細さを持ちつつ、荒ぶる欲望の恐ろしさをにじませているのであった…




「…欲望、怖っ」

…ある程度の想定をしていたが、流石にここまでとは思わなかった女神がドン引くレベルであった。

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