603 / 673
Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~
ver.6.0-17 どこかの騒動はここにでも
しおりを挟む
…月の一部が壊れて修復中なことは、隠されている模様。
しっかりと代わりのものが置かれ、数日経過してもバレる気配はない。
まぁ、修復自体もそう長くかかるものではないそうで、すぐに月は綺麗に直るらしい。
同じような崩壊が起きないように、内部に色々と強化改造を施すらしいが、そんなにまじまじと中身のほうを見る機会なんてものは無いだろうし、気にしなくていいだろう。
今はそんなことよりも、現実の方の…しっかりと、会社での業務に集中すべきだ。
「しかし、もうすぐで納期に余裕をもって出せると思っていたのに…」
「まさかの、根幹部分の方の仕様変更のお知らせが来た上に」
「そこの修正をすると、次から次へと問題が出てくるとは」
「「「やるまえにもっと早く、言ってほしかったぁぁぁあ!!」」」
思わず泣き叫ぶ同僚たちだが、その気持ちは他の社員たちも同じだろう。
うん、こちらとしても嘆きたくなるというか、これが悲しい現実である。
できればこういう作業もロロに任せたくなるが、現実の会社員としての作業。
流石にそんなことはせずに、自力で向き合わなければいけないのだが、それでも理不尽さは極まれない。
いくらホワイトな働きの会社だとしても、周囲に影響を受けるのは避けられず、こういうことも本当にたまにあるのが厳しいところ。
解決したくとも、大事な部分とかが直しにくいというのは、難しい問題だろう。
「とりあえず、この辺りはどうにか終わったようだが…そっちはどうだー」
「なんとか、出来たぞ。テストを繰りかえしたが、問題ない」
「よし、次はこっちだ」
「うわぁ、こっちもこっちでずぶずぶだ…」
嘆いていても仕方が無いので真面目に取り組んでいくのだが、人手が少々足りない気がする。
流石にちょっときついし…さっき使用人を使わないといったけど、自分の力だけならいいよね。
仕事をしている中で、こっそりとトイレの個室へと移動する。
前の妖精の時の経験で、周囲への警戒を怠らずに確認をしてから携帯を取り出す。
「会社のネットに私用携帯はNGだけど、会社用の携帯なら…黒き女神、特殊形態のエレクトロニック・デストラクションへと…」
ばちっとした音と共に、他の形態とは異なる電子世界用の黒き女神の力を行使する。
とはいえ物理的に離れると不味いので、中身だけ…女神の力を指先から流し込むようにして動かす。
例えるならば、
会社の携帯から、ネット内へ。
ハッキングに似ているが…悪いことに使うのではない。
女神の力のうち、この特殊形態はネットならではの強さを誇る力がある。
プログラミング言語だろうと何だろうと、ネットに関係するものならばどれでも対応可能。
ゆえに、現在会社内でのプログラム関係も閲覧し、改善を施すことが可能であり…流石に全員分をやるとそれこそ大騒ぎになってしまうので、申し訳ないが自分の部分だけ少し手を加える。
少し作業量を減らすことが出来れば、他の人の手伝いもしやすいし…このぐらいならそこまで負担もかかるまい。
ささっと動かし、手早く終える。
女神の力で物理的に葬ることが多かったが、こればかりは他の女神の力でもやれないこと。
限定的な場面しか役に立たないが、こういうのが一番力の使い方としては平和的なものだと…
(…ん?なんだ、これ)
もう終えて、後はさっさとトイレから出て仕事場へ戻ろうとした時だった。
ふと、何か視線のようなものを感じたのである。
現実ではなく、電子の世界の中で…誰も、いないはずなのに。
何かと思って、周囲への感知を強めてみたが、すぐにその気配は失せた。
「何だったんだ、今の…?」
一瞬の出来事とはいえ、確かにいたはず。
それなのに、瞬時にいなくなるとはどういうことなのか。
気になりはするが、ここで確かめるすべはない。
後で、ロロに頼んで…違う。
「ここだ!!」
瞬時に特殊形態から、第一形態へ身を転じ、現実世界のほうで後方に体を捻って手を突っ込む。
ずぶん!
女神の勘が冴えていたようで、何もないはずの場所に突っ込む感触があった。
流石に無策の状態で突っ込んだら不味いのは理解しているので、女神の力を覆ってガードしており、何か感触があっても侵食されるようなことはない。
それに、この感覚は前のピンクダイヤに近いが…アレとは別の、悪意のようなものがある。
青白い汁のようなものが見えるが、ピンクじゃなくて青い何かがいるのだろうか。
「アレと同じように何か取り込もうとしたようだけど、残念だったね。対策済みだよ」
同じようなもので、同様の技が使える可能性はある。
そう考えて警戒しつつ、第一形態の時に身に纏う黒い靄を動かし、見えない相手を内側から貫いて拘束する。
ここ最近は第三形態を扱っていたが、第一形態の靄も色々と変えられるので使い勝手も良く、今回のように相手を拘束する手段にも利用できるのだ。
外からではなく、内側から無理やりだが…それでも固めて動けなくさせる。
相手の抵抗を一切できないようにしたうえで、もう片方の空いた手で携帯を操作し、ロロに回収のお願いをするために電話をかけるのであった…
「もしもし、ロロ。すぐに来れるかな?」
【大丈夫ですが、何があり…ふむ、大体察しまシタ。すぐに、向かいマス】
…説明せずとも、彼女は状況を理解したようだ。
ここで滅しても良かったけど、あの宝石獣に関してどういうものか、より詳しく分析するための材料として使えそうだからなぁ…しっかりと、利用させてもらおう。
あと、出来れば早く来てほしい。トイレで長時間拘束されたら、ちょっと社会的な部分で不味い。
しっかりと代わりのものが置かれ、数日経過してもバレる気配はない。
まぁ、修復自体もそう長くかかるものではないそうで、すぐに月は綺麗に直るらしい。
同じような崩壊が起きないように、内部に色々と強化改造を施すらしいが、そんなにまじまじと中身のほうを見る機会なんてものは無いだろうし、気にしなくていいだろう。
今はそんなことよりも、現実の方の…しっかりと、会社での業務に集中すべきだ。
「しかし、もうすぐで納期に余裕をもって出せると思っていたのに…」
「まさかの、根幹部分の方の仕様変更のお知らせが来た上に」
「そこの修正をすると、次から次へと問題が出てくるとは」
「「「やるまえにもっと早く、言ってほしかったぁぁぁあ!!」」」
思わず泣き叫ぶ同僚たちだが、その気持ちは他の社員たちも同じだろう。
うん、こちらとしても嘆きたくなるというか、これが悲しい現実である。
できればこういう作業もロロに任せたくなるが、現実の会社員としての作業。
流石にそんなことはせずに、自力で向き合わなければいけないのだが、それでも理不尽さは極まれない。
いくらホワイトな働きの会社だとしても、周囲に影響を受けるのは避けられず、こういうことも本当にたまにあるのが厳しいところ。
解決したくとも、大事な部分とかが直しにくいというのは、難しい問題だろう。
「とりあえず、この辺りはどうにか終わったようだが…そっちはどうだー」
「なんとか、出来たぞ。テストを繰りかえしたが、問題ない」
「よし、次はこっちだ」
「うわぁ、こっちもこっちでずぶずぶだ…」
嘆いていても仕方が無いので真面目に取り組んでいくのだが、人手が少々足りない気がする。
流石にちょっときついし…さっき使用人を使わないといったけど、自分の力だけならいいよね。
仕事をしている中で、こっそりとトイレの個室へと移動する。
前の妖精の時の経験で、周囲への警戒を怠らずに確認をしてから携帯を取り出す。
「会社のネットに私用携帯はNGだけど、会社用の携帯なら…黒き女神、特殊形態のエレクトロニック・デストラクションへと…」
ばちっとした音と共に、他の形態とは異なる電子世界用の黒き女神の力を行使する。
とはいえ物理的に離れると不味いので、中身だけ…女神の力を指先から流し込むようにして動かす。
例えるならば、
会社の携帯から、ネット内へ。
ハッキングに似ているが…悪いことに使うのではない。
女神の力のうち、この特殊形態はネットならではの強さを誇る力がある。
プログラミング言語だろうと何だろうと、ネットに関係するものならばどれでも対応可能。
ゆえに、現在会社内でのプログラム関係も閲覧し、改善を施すことが可能であり…流石に全員分をやるとそれこそ大騒ぎになってしまうので、申し訳ないが自分の部分だけ少し手を加える。
少し作業量を減らすことが出来れば、他の人の手伝いもしやすいし…このぐらいならそこまで負担もかかるまい。
ささっと動かし、手早く終える。
女神の力で物理的に葬ることが多かったが、こればかりは他の女神の力でもやれないこと。
限定的な場面しか役に立たないが、こういうのが一番力の使い方としては平和的なものだと…
(…ん?なんだ、これ)
もう終えて、後はさっさとトイレから出て仕事場へ戻ろうとした時だった。
ふと、何か視線のようなものを感じたのである。
現実ではなく、電子の世界の中で…誰も、いないはずなのに。
何かと思って、周囲への感知を強めてみたが、すぐにその気配は失せた。
「何だったんだ、今の…?」
一瞬の出来事とはいえ、確かにいたはず。
それなのに、瞬時にいなくなるとはどういうことなのか。
気になりはするが、ここで確かめるすべはない。
後で、ロロに頼んで…違う。
「ここだ!!」
瞬時に特殊形態から、第一形態へ身を転じ、現実世界のほうで後方に体を捻って手を突っ込む。
ずぶん!
女神の勘が冴えていたようで、何もないはずの場所に突っ込む感触があった。
流石に無策の状態で突っ込んだら不味いのは理解しているので、女神の力を覆ってガードしており、何か感触があっても侵食されるようなことはない。
それに、この感覚は前のピンクダイヤに近いが…アレとは別の、悪意のようなものがある。
青白い汁のようなものが見えるが、ピンクじゃなくて青い何かがいるのだろうか。
「アレと同じように何か取り込もうとしたようだけど、残念だったね。対策済みだよ」
同じようなもので、同様の技が使える可能性はある。
そう考えて警戒しつつ、第一形態の時に身に纏う黒い靄を動かし、見えない相手を内側から貫いて拘束する。
ここ最近は第三形態を扱っていたが、第一形態の靄も色々と変えられるので使い勝手も良く、今回のように相手を拘束する手段にも利用できるのだ。
外からではなく、内側から無理やりだが…それでも固めて動けなくさせる。
相手の抵抗を一切できないようにしたうえで、もう片方の空いた手で携帯を操作し、ロロに回収のお願いをするために電話をかけるのであった…
「もしもし、ロロ。すぐに来れるかな?」
【大丈夫ですが、何があり…ふむ、大体察しまシタ。すぐに、向かいマス】
…説明せずとも、彼女は状況を理解したようだ。
ここで滅しても良かったけど、あの宝石獣に関してどういうものか、より詳しく分析するための材料として使えそうだからなぁ…しっかりと、利用させてもらおう。
あと、出来れば早く来てほしい。トイレで長時間拘束されたら、ちょっと社会的な部分で不味い。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,941
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる