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夏も過ぎ去り、最後の学園生活で章

272話

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『錬金術』
魔導書グリモワールによって使えるようになる魔法とは異なるもの。
多種多様な薬品や強力な電気刺激などによって、行われる技でもある。
金属を別の金属に変えるなどと言った技術がありそうだと思われるが……

――――――――――――――――――――――

「実際には、何かしらの物体に変えるだけなのが一般的だったりするな」
「何かしらの物質?」
「ああ、正体不明、似て非なる物に変換するだけ……そもそも、そう言った金属などに変えたとしても、その金属を理解しているモノからすれば、まったく違う‥別の物を生み出してしまう、ちょっと危ない類の方法だな」

 エルモア先生からその方法を聞き、ルースたちは首をかしげる。

 「錬金術」と言うからには、その名の通り「金(金属)を錬成する術」のようなイメージがあったのだが‥‥それとは色々と違うらしい。

「まぁ、専門外な分野なのでそこまで説明できないな。とは言え、簡単な例なら挙げることはできるな」
「その例とは何ですか?」
「料理でスライムを作るような、そんな行為が錬金術の例となるかな」

……それは単純に、料理下手が何かを生み出したという事ではないだろうか。

 しかし、これはこれである意味わかりやすい例えなのかもしれない。

 そう、つまりは某ガキ大将の料理とかがその例になるのだろう。



 何にしても、錬金術とやらの話を聞いたのは良いが、これがどう液体人間に作用するのか?」

「その錬金術で今、何かを生み出すと言ったよな?」
「ええ」
「で、その何かを生み出す技術で、その液体人間の身体を生み出せばいいのじゃないかなと思ったんだよな」
「……はい?」







「…‥‥と言う訳で、結局エルモア先生からそのために必要な材料を集めるようにという事で、材料リストを貰ったけどさ……結局、この方法でうまくいくのだろうか?」
「正直言って、見当つきませんわね……」

 話をある程度聞き、その錬金術とやらをルースたちは試すことにした。

 ただ、専門外な事らしく、そのための必要最低限の材料をまずは集めてみると良いという事で、そこで話を終えて帰路についたのだが……これは本当にうまくいくのだろうか?

「なんというか、眉唾物の話に近いなぁ……」
「魔法とも違うって、今一つわからないしね」
―――――全然理解デキナイヨ。

 材料集めは休日にすればいいとして、こんな方法でうまくいくのか、少々信じがたい。

 だが、エルモア先生の知識でもあるし……可能性があるのならば、試す価値はあるだろう。

 いや、不安しかないと思うが…‥‥謎の物体を生み出すという話でもあるし、下手をすると飛んでもない何かを生み出す可能性もある。

……考えてみれば、あのフェイカーと言う組織も、もしかしたらこの錬金術とやらに手を出していたのではないだろうか。
 
 
 何にしても、不安が色々とあふれ出るが、液体人間を人間に戻す方法を一つ得たと言って良いだろう・・・・どうしよう、今までにないほど、自信が持てない。

 とにもかくにも、休日には材料集めをしようと、ルースたちはそう決めるのであった……



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