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第4章ファーストキスはいつ?
No,51 SEXフレンドは楽しい?
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【これは高校1年のお話】
初めて知ったゲイ雑誌の衝撃は大きかった。俺はそれが原因で、しばらくジュンの部屋へ行くのを避けていた。
今の見識で分析をすれば、あの頃の自分の迷いを解説する事も出来るだろうけれど、それは止めとく。
──ただ一言。
「この先に踏み込むのが恐かった」
そんな俺を見透かしたように、ジュンは無理やり俺を誘ったりはしない。ただ、優しげにいつものように笑っているだけ。
そして結局──沈黙に耐えきれず、答えを求めて近づいたのは俺だった。
二人きりのジュンの部屋──
俺の方から口火を切った。
「あの雑誌を見て驚いたよ。で、俺、まだ圭のことが好きだけど、あれ見て色々知って、どうしたらいいのか分からない……」
顔を赤らめ、下を向きながらオドオドと語る俺に向かって、ジュンはいとも簡単に、思い掛けない事を言い出した。
「理久、僕としよ?すごく気持ちよくしてあげる。その彼のこと、忘れられるよ?」
「え?あんなこと出来ない……」
俺は雑誌で知った特殊な挿入の事を言った。そしてその答えも意外だった。
「ああそれ、それは僕もやらない」
「え?やらなくてもいいの?」
「嫌なら別に、無理してやる事でもないんじゃない?実は僕もね、どうしてあんな事するのか良く分からない」
「え?そうなんだ……」
「今のところはあんな事しなくても十分に気持ちいいし、それにね、そうだな、まだそこまでは開き直れないのかな?」
「ジュン……」
「ほら、男女の仲でもA・B・Cってあるじゃない?僕らにも段階があっていいと思うよ?」
そしていつもの満面の笑み。
「不愉快な事なんてする必要ない。楽しい事だけすればいいのさ」
A・B・Cって、ある程度の年代の方なら分かると思う。SEXの段階をそう表現した時代があった。
「だから理久、僕としよ?理久の嫌な事は絶対にしない。僕は初めて会った時から、理久としたいなって思ってた……」
「え?え?あの、それは…」
いつもとは違う、妙に真剣な顔のジュンが近づいて来る。
「まずは気持ちを盛り上げるため、キスからね……」
ジュンが俺の頬っぺたを両手で包んで、ゆっくりと唇を近づけて来る。
「あ!待って!」
「ん?どした?」
俺はまたぞろ真っ赤になった。この頃このパターンが多すぎる。ジュンといると赤面ばかりだ。
ジュンの顔を覗き込み、思い切って気持ちを聞いた。
「ジュンは、俺の事が好きなの?」
ジュンはクスッと笑った。
「ああ、そう来た?んん~ん。
好きっちゃー、もちろん好きだよ。何てったって可愛いし。でも理久の言う好きが、愛しているか?って事なら、そこまではどうかなぁ?」
「だよな。だろうな。でも……愛していない相手とキスなんて出来るの?」
「理久、実は僕、愛って言うのがよく分からないんだ。理久から圭君の話を聞いたよね。それが理久の初恋だって言うなら、もしかすると僕の初恋はまだなのかも知れない」
「え?ジュンは、今まで人を好きになった事はないの?」
「だから、いま僕は理久のことが好きさ。ここまで話せばキスを許してくれるのかな?」
いつもの優しい微笑みが、今の俺にはふざけているようにも見えてしまう。
「ジュン、あのね?ジュンの言ってる事はキスする理由になってない。俺が思うのはね、つまりね、その……」
しどろもどろの俺の言葉を遮って、ジュンがいきなり質問をかぶせて来た。
「理久は、SEXフレンドって知ってる?」
「え?あ、北欧あたりのフリーSEXから起因して欧米に広まった自由で新しい性の概念……」
「あはっ!笑う。まるで百科事典のような」
ずばり、女性週刊誌からの受け売りだった。
「SEXフレンド」
=考えようによっては、
全てを許容する便利な言葉だ──。
初めて知ったゲイ雑誌の衝撃は大きかった。俺はそれが原因で、しばらくジュンの部屋へ行くのを避けていた。
今の見識で分析をすれば、あの頃の自分の迷いを解説する事も出来るだろうけれど、それは止めとく。
──ただ一言。
「この先に踏み込むのが恐かった」
そんな俺を見透かしたように、ジュンは無理やり俺を誘ったりはしない。ただ、優しげにいつものように笑っているだけ。
そして結局──沈黙に耐えきれず、答えを求めて近づいたのは俺だった。
二人きりのジュンの部屋──
俺の方から口火を切った。
「あの雑誌を見て驚いたよ。で、俺、まだ圭のことが好きだけど、あれ見て色々知って、どうしたらいいのか分からない……」
顔を赤らめ、下を向きながらオドオドと語る俺に向かって、ジュンはいとも簡単に、思い掛けない事を言い出した。
「理久、僕としよ?すごく気持ちよくしてあげる。その彼のこと、忘れられるよ?」
「え?あんなこと出来ない……」
俺は雑誌で知った特殊な挿入の事を言った。そしてその答えも意外だった。
「ああそれ、それは僕もやらない」
「え?やらなくてもいいの?」
「嫌なら別に、無理してやる事でもないんじゃない?実は僕もね、どうしてあんな事するのか良く分からない」
「え?そうなんだ……」
「今のところはあんな事しなくても十分に気持ちいいし、それにね、そうだな、まだそこまでは開き直れないのかな?」
「ジュン……」
「ほら、男女の仲でもA・B・Cってあるじゃない?僕らにも段階があっていいと思うよ?」
そしていつもの満面の笑み。
「不愉快な事なんてする必要ない。楽しい事だけすればいいのさ」
A・B・Cって、ある程度の年代の方なら分かると思う。SEXの段階をそう表現した時代があった。
「だから理久、僕としよ?理久の嫌な事は絶対にしない。僕は初めて会った時から、理久としたいなって思ってた……」
「え?え?あの、それは…」
いつもとは違う、妙に真剣な顔のジュンが近づいて来る。
「まずは気持ちを盛り上げるため、キスからね……」
ジュンが俺の頬っぺたを両手で包んで、ゆっくりと唇を近づけて来る。
「あ!待って!」
「ん?どした?」
俺はまたぞろ真っ赤になった。この頃このパターンが多すぎる。ジュンといると赤面ばかりだ。
ジュンの顔を覗き込み、思い切って気持ちを聞いた。
「ジュンは、俺の事が好きなの?」
ジュンはクスッと笑った。
「ああ、そう来た?んん~ん。
好きっちゃー、もちろん好きだよ。何てったって可愛いし。でも理久の言う好きが、愛しているか?って事なら、そこまではどうかなぁ?」
「だよな。だろうな。でも……愛していない相手とキスなんて出来るの?」
「理久、実は僕、愛って言うのがよく分からないんだ。理久から圭君の話を聞いたよね。それが理久の初恋だって言うなら、もしかすると僕の初恋はまだなのかも知れない」
「え?ジュンは、今まで人を好きになった事はないの?」
「だから、いま僕は理久のことが好きさ。ここまで話せばキスを許してくれるのかな?」
いつもの優しい微笑みが、今の俺にはふざけているようにも見えてしまう。
「ジュン、あのね?ジュンの言ってる事はキスする理由になってない。俺が思うのはね、つまりね、その……」
しどろもどろの俺の言葉を遮って、ジュンがいきなり質問をかぶせて来た。
「理久は、SEXフレンドって知ってる?」
「え?あ、北欧あたりのフリーSEXから起因して欧米に広まった自由で新しい性の概念……」
「あはっ!笑う。まるで百科事典のような」
ずばり、女性週刊誌からの受け売りだった。
「SEXフレンド」
=考えようによっては、
全てを許容する便利な言葉だ──。
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