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第15章 隼人と生きる光と影

No,174 やっぱ反省会?Part4

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【これは現在のお話】

 こんにちは、現在の理久りくです。

 例によって、この小説の原稿を親友の雪絵に下読みして貰いました。
──隼人との別れの件。
 実は反省会と言うより雑談になった。



↓例によって電話での会話です。

雪「まずは年上である彼を呼び捨てにするご無礼をお許し下さい」
理「あ、それは前回も話したじゃない?隼人については俺自身いつも呼び捨てだったから、雪絵も呼び捨てになるのは当然だよ。当時からそれが自然だった。気にしない気にしない」

雪「で、隼人だけど、これ読んで改めて認識したんだけど5年間も付き合っていたのね?長いわね」
理「そうなんだ。ジュンとの不明確な付き合いが1年弱、亮ちゃんとの交際が丁度1年だった事を思うと、隼人と5年は長かった。
恥もてらいも無く言っちゃえば、やっぱ相当好きだったんだと思う。あのまま隼人が結婚なんて言い出さなければ俺達の付き合いはまだまだ続いたのかな~?なんて思う」

雪「そうね、実はその件では私も思うところがあるのよ。亮さんも隼人も別れを切り出した理由がどちらも同じ。二人とも結婚が理由ね?」
理「そう!そうなんだ。亮ちゃんも隼人も兄弟のいない長男だからだけど、そんなに結婚って大事?
なんなら俺も一人息子の長男だけど、親には悪いけど結婚なんて考えた事もない」

雪「そうね、理久ならそうでしようね」
理「亮ちゃんも隼人も嫌いになった訳じゃないし、ケンカした訳でもない。互いに好き合っているのにどうして別れなくちゃいけない?その不条理は今でも思ってる」

雪「そうね、そして私が感じているのは男女の性差?なのかしら」
理「それはどう言う?」

雪「うん、つまりね、ゲイとレズビアンって、同性愛って日本語にしちゃうと同じになっちゃうけど、その実態には大きなへだたりを感じるわ?
それが性差なのかも知れない」
理「それはつまり?」

雪「つまりね、亮さんや隼人に限らず、多くのゲイの男性が世間への体裁やら親への配慮やらで自分を殺し、結婚に踏み切る。
だけどそこからの長い人生、女性との夫婦関係を円満につつが無く過ごして行けるものかしら?」
理「つまりそれはSEXが出来るか?ってこと?」

雪「まあ、ずばり言えばそう言うことよ」
理「で、性差と言うのは?」

雪「私もそれ程たくさん恋愛してる訳じゃないから自信を持っては言えないけど、少なくても私の知っている限り、レズビアンの女性は全く男性と結婚する意志はないわね」
理「社会の通念や、親や親戚に強く押されても?」

雪「そうよ?だって、女が好きだって同時に男が嫌いだもの。
何がどうであれ、男に抱かれるなんて真っ平ごめんだわ!って人が多い気がする。その点レズビアンってより、女性は潔癖なのかも知れない」
理「なるほど、性差と言えば性差はあるかも。ゲイの男性の中には自分が女と出来るかどうか、やってみないと分からないって思っている人も多いかも知れないし、もし出来れば儲けもんと思う人も多いかも知れない。
バイって区分は別として、とにかくやれるもんならやっちまおう!ってのは男性的発想かも知れない」

雪「そうね、その発想は女性には少ないかも知れないわね」
理「でもさ、実際に出来るものかどうか、如実にはっきりするのはむしろ男の方なんだけどな~。
正直、俺は女とやれる気が全くしない」

雪「それはどうして?」
理「いや、それを言うのはかなり恥ずかしいんだけど、男の例外にもれず俺もAVを楽しむ事はある」

雪「おかずってやつね?」
理「はい、とても恥ずかしいんだけど、要するにそう言う事です」

雪「で?」
理「いまやゲイビデオも多種多様だけど、ゲイの中にはノンケ好きって人達も多くて、あえてゲイ同士のビデオじゃなくて、ノンケが普通に女とやってる動画を好む人も多い。その方が興奮するらしいんだけど、でも俺は無理だわ」

雪「つまり女は見たくないって、単純な話し?」
理「そうだね、男優がいくらタイプでも、そこに女優の映像や音声が混じると途端に萎えるよね。
もっと言うなら気持ち悪い。俺は絶対、女は無理だと自覚せざるを得ない」

雪「それじゃ理久には、やっぱり結婚は無理ね。その点、亮さんや隼人は大丈夫だったのかしら?」
理「そこは今後のストーリーのネタバレに繋がるからここでは話せないけど、ただ俺が思うのは、亮ちゃんも隼人も正真正銘、根っからのゲイだとは思うけどね~」

雪「そうか、ならそれ相応の苦労はあるでしょうね。さっき私は心情の面で女性は潔癖って話したけれど、肉体的な機能では男性の方が辛いんでしょうね、よく分からないけど」
理「そりゃそうだよ。出来ない時は何をどうしたって出来ないのが男の身体だ。
でもそれより辛いのは結婚相手の女性に対する罪悪感だと思う」

雪「それよそれ!同じ女性として、一生をゲイの夫に騙されて生きるなんて気の毒過ぎる!」
理「あ、だめだこの話題。これ以上会話すると多くの人に波紋を投げ掛け、傷付けるかも知れない」

雪「そ、そうね。この件はこれ以上掘り下げない方が無難ね」
理「そうそう。世の中には色々な夫婦の形があるから、ここで俺らがステレオタイプに決め付けるのは良くないね」

雪「んじゃ、ここから先はオフレコと言うことで……」
理「うんうん」

──と言う訳で、俺たちの会話はまだまだ続いたけれど、ご披露出来るのはここまで、と言うことでご理解下さい。
 ムニャムニャ……。


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