250 / 284
第19章 スピンオフ・夏生物語「今明かされる夏生の愛と苦悩の真実」って、おい理久ふざけんな!オレのこと勝手に書くなよ!SP
No,249 夏生、前途多難を感じる
しおりを挟む
「だから僕が悪かった。亮ちゃんに当て付けて、急いで彼氏を作ろうだなんて本当にバカだった。ごめんねルカ?もうしないから」
(ん?……もう、しないから?)
オレはあせった。
「え?あ、そうだね。
ええっと……つまり、さっきのあれは、本気じゃなかったってこと?」
(え?オレ、会って直ぐに誘惑されて、そいでもって速攻振られるってパターンなの?)
奴は涙目で笑顔を見せた。
「あ、それは、ルカが綺麗で魅力的だと思ったのは本当だよ。
でも、やっぱり僕はまだ亮ちゃんの事が吹っ切れないでいるみたい、だから……」
おいおい待てよ!
明らかに振られる流れだ!
初めて見付けた本物の姫なのに、そう簡単に逃げられてたまるか!
オレは慌てて言葉を被せた。
「さっきキノちゃんが立ち去ろうとした時、とっさに僕は引き留めた。あのまま別れたら、きっとそれっきりなのかな?……と思ったから」
「え?」
奴が意外そうな顔をした。
(オレは上京してから、なぜか自分を僕って言ってる。気取ってるのか?まあいいや。姫はオレを綺麗って言ってくれた。それならオレも、可愛いキャラを演じよう)
オレは柄にもなく、目一杯に可愛い子ぶった。
「同年代の人にあんな風に大接近されたの初めてだったから、ちょっとドキドキした」
──って、オレにしたら精一杯の告白だ。そしてあまりの恥ずかしさにまたもや顔を赤らめてそっぽ向く。
奴はハッとした顔を見せ、慌ててオレに謝ってきた。
「それは、本当にごめん!的外れな同年代から言い寄られて、不愉快な思いをしたよね。迷惑かけてごめん」
(ん?んんん?!)
「え?そうじゃなくて……」
オレは思わず奴の方へ振り返り、困った顔を見せてしまった。
「でも、ルカは大人好みなんだよね?さっきはフケ専?なんて極端な事を言っちゃったけど、どんなタイプが好きなの?頭に入れといて何かの時には協力するから!」
「それは……」
ここまでのやり取りでオレは悟った。
(こいつ!とんでもなく鈍感だ!)
本来ずっと年上の大人好きだった筈のオレを誘惑しといて、こいつには全くその自覚が無い!
そうか!
そうなんだ!
この浮世離れした福々しさ?
これこそが生まれながらの姫なんだ!苦労知らずのお姫様が他人の気持なんておもんばかれる筈もない。
──そして奴の話はどんどん見当違いな方向へと進んで行く。
「僕は本来、年配の人が好きだろうが何だろうが、他人の好みをとやかく言う気はさらさら無いんだけど、さっきはルカに弾みで失礼なことを言っちゃった。本当にごめん」
「それは、別に……」
オレは、伏せ目がちそう答えるしかなかった。
「あ、そうだ、タッチの彼氏も大人の人だから、誰かルカにお似合いな大人の知り合いがいるんじゃないかな?」
「え?キノちゃん、それはちょっとお節介……て言うか、ルカちゃんこんなに可愛いんだから、もうすでに彼氏なんているんじゃない?」
「ホントだ!なんでそんな事に気付かないんだろ?これだから僕はだめなんだ……」
奴がオレの方へ向き直る。
「ルカ、おっちょこちょいで本当にごめん。彼氏いるの?って聞いてもいい?」
「それって、もう聞いてるよね?まあ、今はいないけど……」
「ホント?じゃ、これからはルカに素敵な彼氏が出来るよう、全面的に協力するから!」
「あ、だから、それはもういいから……」
(オレの方から話を終息させるしかなかった)
何だか、もはや諦め顔のオレだった。
(あ~あ、何だかこの金髪姫には、とことん振り回されそうな嫌な予感…………!)
オレの片想いは前途多難だ。
その後、金髪姫ことキノちゃんは時々 Blue night へ顔を出すようになった。
初めての時に一緒だったタッチって地味な子はあまり来なくて、キノちゃんが一人で来ることが多かった。
Blue night は、オレにとってキノちゃんと会える大切な場所になった。
キノちゃんとは、連絡先を交換したりとか、はっきり次を約束したりとかは一切無かった。
当時はそんなに気軽な時代ではなかったし、オレは人との距離を縮めるのが苦手だった。
(ん?……もう、しないから?)
オレはあせった。
「え?あ、そうだね。
ええっと……つまり、さっきのあれは、本気じゃなかったってこと?」
(え?オレ、会って直ぐに誘惑されて、そいでもって速攻振られるってパターンなの?)
奴は涙目で笑顔を見せた。
「あ、それは、ルカが綺麗で魅力的だと思ったのは本当だよ。
でも、やっぱり僕はまだ亮ちゃんの事が吹っ切れないでいるみたい、だから……」
おいおい待てよ!
明らかに振られる流れだ!
初めて見付けた本物の姫なのに、そう簡単に逃げられてたまるか!
オレは慌てて言葉を被せた。
「さっきキノちゃんが立ち去ろうとした時、とっさに僕は引き留めた。あのまま別れたら、きっとそれっきりなのかな?……と思ったから」
「え?」
奴が意外そうな顔をした。
(オレは上京してから、なぜか自分を僕って言ってる。気取ってるのか?まあいいや。姫はオレを綺麗って言ってくれた。それならオレも、可愛いキャラを演じよう)
オレは柄にもなく、目一杯に可愛い子ぶった。
「同年代の人にあんな風に大接近されたの初めてだったから、ちょっとドキドキした」
──って、オレにしたら精一杯の告白だ。そしてあまりの恥ずかしさにまたもや顔を赤らめてそっぽ向く。
奴はハッとした顔を見せ、慌ててオレに謝ってきた。
「それは、本当にごめん!的外れな同年代から言い寄られて、不愉快な思いをしたよね。迷惑かけてごめん」
(ん?んんん?!)
「え?そうじゃなくて……」
オレは思わず奴の方へ振り返り、困った顔を見せてしまった。
「でも、ルカは大人好みなんだよね?さっきはフケ専?なんて極端な事を言っちゃったけど、どんなタイプが好きなの?頭に入れといて何かの時には協力するから!」
「それは……」
ここまでのやり取りでオレは悟った。
(こいつ!とんでもなく鈍感だ!)
本来ずっと年上の大人好きだった筈のオレを誘惑しといて、こいつには全くその自覚が無い!
そうか!
そうなんだ!
この浮世離れした福々しさ?
これこそが生まれながらの姫なんだ!苦労知らずのお姫様が他人の気持なんておもんばかれる筈もない。
──そして奴の話はどんどん見当違いな方向へと進んで行く。
「僕は本来、年配の人が好きだろうが何だろうが、他人の好みをとやかく言う気はさらさら無いんだけど、さっきはルカに弾みで失礼なことを言っちゃった。本当にごめん」
「それは、別に……」
オレは、伏せ目がちそう答えるしかなかった。
「あ、そうだ、タッチの彼氏も大人の人だから、誰かルカにお似合いな大人の知り合いがいるんじゃないかな?」
「え?キノちゃん、それはちょっとお節介……て言うか、ルカちゃんこんなに可愛いんだから、もうすでに彼氏なんているんじゃない?」
「ホントだ!なんでそんな事に気付かないんだろ?これだから僕はだめなんだ……」
奴がオレの方へ向き直る。
「ルカ、おっちょこちょいで本当にごめん。彼氏いるの?って聞いてもいい?」
「それって、もう聞いてるよね?まあ、今はいないけど……」
「ホント?じゃ、これからはルカに素敵な彼氏が出来るよう、全面的に協力するから!」
「あ、だから、それはもういいから……」
(オレの方から話を終息させるしかなかった)
何だか、もはや諦め顔のオレだった。
(あ~あ、何だかこの金髪姫には、とことん振り回されそうな嫌な予感…………!)
オレの片想いは前途多難だ。
その後、金髪姫ことキノちゃんは時々 Blue night へ顔を出すようになった。
初めての時に一緒だったタッチって地味な子はあまり来なくて、キノちゃんが一人で来ることが多かった。
Blue night は、オレにとってキノちゃんと会える大切な場所になった。
キノちゃんとは、連絡先を交換したりとか、はっきり次を約束したりとかは一切無かった。
当時はそんなに気軽な時代ではなかったし、オレは人との距離を縮めるのが苦手だった。
応援ありがとうございます!
35
お気に入りに追加
30
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる