紛い物でも愛してる

無名ノ作家

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プロローグ

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「えっ……なん、で……?」
「よお、黎斗あきと……その、ただい、ま?」
 
 噎せ返るような酷暑日、俺の大嫌いな、死んだはずの元親友が帰ってきたのは……四十九日が過ぎた日だった。
 地元には山があって普段立ち入りは禁じられているが親友はその山へ入ったきり帰って来なかった。ただ血塗れの服と靴、日聖ひじりの携帯が見つかり、近くには急流で有名な川があった為誤って滑落し流されたのではないかと決定づけた。遺体がないまま葬式はした。
 俺は日聖を含むクラスメイトに馬鹿にされ蹴られ殴られ、サンドバッグとして生きてきた為あいつが嫌いだった。弱虫だと毎日言われて、小さい頃は仲良しだったのに……。だから死んだかもしれないと聞かされた時は正直嬉しかった。
 それなのに──。
「な、なんでお前……し、死んだんじゃ……」
「えっ、あー……まあ死んだと言えば死んだけどそうじゃないって言えばそうかも? 悪い、今は上手く説明出来そうにないや。ああでも、またこれからよろしくな? 黎斗?」
「……っざけるな……ふざけるなっ!! こっちはお前が死んで喜んでたってのに、生きてるなんて……そのまま死んでいれば良かったんだ、帰って来なくて良かったのに!!」
 またあの憂鬱がやって来る、そう考えただけで身の毛がよだつ。けど目の前の日聖は大層目を丸くして驚いている。
「そんな言い方……あるかよ……あんな、仲良く……」
「は? 仲良く? あれが? 人を蹴ったり馬鹿にしたり殴ったりすんのが仲良しって事か? ふざけるなっ!! もう一回死んで来いよ、俺の前に二度とその面見せんな!!」
 そう怒鳴りつけた時、日聖は困った顔から頭に置いた手を力なく下ろし俯いた。まるで……そんな事をしていた自分に驚いているようにも見える。
「うそ……だ……なら、この記憶は……なんだ……そんな……」
「何ブツブツ言ってんだよ、キモいぞ。さっさと消えろよ」
 日聖はどこか悲しげなショックを受けた顔で俺を見ると力なく笑った。
「ごめん、分かった。また、来るよ」
「二度と来んな」
 日聖が玄関を出た後、俺は戸を閉め鍵をかけた。あいつの態度に心底腹が立つ。何も覚えてないみたいな、自分が被害者みたいな顔しやがって……くっそ腹立つ。
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