紛い物でも愛してる

無名ノ作家

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第1章 終焉への第1歩

繋がる

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 日聖と愛の告白? みたいな事をやったあの日から数日、学校での俺達は前より雰囲気が変わったと言われる事が多くなった。
 俺に対する男子の視線、女子の視線は共に好奇なものを見るようなものに変わっていた。理由はやっぱり……。
「黎斗は俺のもんや、誰も取んなよ」
 周りに威嚇するようにけれど和やかに日聖がアピールしてるせいだろう。嬉しい気持ちの方が大きいけど恥ずかしさもあって素直に人前で好きとかイチャイチャなんて事は出来ない。
 だけど日聖は、。だから俺の頭の中に直接色んな事を話しかけてくる。『×××した時の顔みたいなあ?』とか『今日も可愛いなあ、大好きや黎斗』なんて語尾にハートマークでも付きそうな口調で語りかけてくる。俺にしか聞こえない分、反応を取ってると周りに怪しまれるし、日聖はそれも含めて楽しんでいるのが見てわかる。
 でも迷惑なんて思わない、寧ろ嬉しい。日聖とは別の人物となったものでも、俺は今隣にいる日聖だけが本物だと思っている。

 そんな平和な日が過ぎてから3日目の事だった。いつもみたいに日聖と他愛ない話をしている時だ。
「2年5組、飯沼黎斗さん。2年5組飯沼黎斗さん。至急職員室まで来てください」
 突然放送がかかりギョッとする。今まで校内放送で呼ばれた経験なんかない。日聖は……昔の日聖は呼び出されていたけど。
「な、なんやろ……俺何かしたんかな」
「テスト赤点とか?」
「あほ、テストは2ヶ月も前に終わっとるやろ。ちょっと行ってくるわ」
「……俺も、着いて行こうか?」
 真剣な眼差し、だけど瞳の奥に敵意や殺意が隠れている。
「大丈夫、大したことないはずやし、俺一人で行くし。日聖は待ってて」
 俺は1人教室を出て職員室へ向かう。やけに静まり返った廊下が不気味だ。放課後で部活生の声が聞こえてきてもいいと思うけど……。
「失礼します」
 扉を開けると教師が一斉に俺を見る。その中に年配で1番長くいる歴史の先生が俺の方へ近寄り肩を鷲掴んできた。後ろの方でガチャリと音がする。
「な、なんですか……怖い、ですよ?」
「あなた沼地日聖さんと付き合うのは今日限りで止めなさい。あれは、良くないわ」
「……は? あの、言ってる意味が……」
 凄さに圧倒され視線を逸らす。日聖の正体に気付かれたんか? でも誰にも言ってないのに、なぜ?
「あなたも分かってるんでしょ!? 日聖さんの正体が……人間じゃないって事。いきなりごめんなさいね、私のよ。ちょっと急病で一年以上休んでいたんだけど、里の近くにある立ち入り禁止区域の森があるわね。あそこには古来から人知の域を超えた決して関わってはいけない化け物がいるの。その気配は結界を張った森の中でだけうごめいていたのに、今同じ気配があなたのそばから感じる。それも大きな力となってね。このままじゃ、この里いいえ外部の人にまで危険が及ぶ。人類が半数以上滅ぶ事にもなる。飯沼さん、悪い事は言わない。沼地日聖さんとはもうこれ以上関わらない方が身のためよ」
 あいつが化け物なのは明かされたから知ってる、人の記憶を弄れるんだ、人類を滅ぼせるのも多分嘘じゃない。でも日聖はその可能性があるというだけ、憶測だ。だって彼は俺の……大事な大切な……親友こいびとだ。離れるなんて無理に決まってる。
「先生はあいつの正体を詳しく知ってる訳じゃないんですよね、だったら下手に動かない方がより身のためだと思います。余計な事をしたらそれこそ、殺されますよ?」
「やっぱり知って……それだけじゃない、あいつに気に入られたらへ引きずり込まれるの。人間として生きられなくなるのよ!!」
「……でも俺は──」
「でもも何も無いんです!! とにかく沼地さんと今後関わるのは止めて。対処法は私たち教師で探すわ。いいわね、絶対よ!?」
 職員室を追い出される。ムカつく、と苛立っていると肩に腕を回されビクッとする。
「よ、黎斗。話は聞いた、愚かだな人間は。なあ……教師全員の頭ん中、弄っていいか?」
 俺の頭の中に直接語り掛けてくる。日聖の手を引き多目的トイレに駆け込み人目を遠ざけた。
「弄るって、何をどうするん? あんなに大勢の人数相手、下手したらお前が殺られんで」
「ばーか、んな事にはならへんよ。全員一気にやんねん。ただこの力はお前も飲み込まれてまう……防ぐにはただ1つしか方法がない」
「な、なんやの……」
「俺と……もっと深くリンクすんねん。そうすればお前の体内に俺の力が残留するから、お前は飲み込まれへん」
 日聖のいう深くリンクする、それがどうすればいいのか俺はわかる気がした。だからなのか、心拍が途端に跳ね上がる。
「……っ、リンクして……その後、先生達の頭ん中……弄るんか?」
「ああ。あんまりもたもたしてると、見つかんで?」
 ニヤッと笑った彼の顔に息が出来なくなる。
「わか……った」
「……ええ子、物分りがええ奴は大好きや、お前はほんま可愛ええな。いくで──っん」
「ん……」
 触れるだけの優しいキス、けれど挟むような口付けから『口開け、黎斗』そんな囁くような声色にドキドキしながら口を開けると、顎をグイッと持ち上げられ口を覆われる。そのまま細い何かの束みたいな物が口の中、喉奥を通って体の中へ入っていくのがわかる。
 ヒューヒューと鳴る喉奥、苦しくは無い、ただ体内を通り過ぎていく度体がビクビクする。敏感な所を触られているみたいだ。
「んーっ……」
 その時、何をしたのか分からないけど体から何かが解き放たれたような感覚と快楽が襲って俺は激しく痙攣した。
 そして日聖は俺の中から
「やっぱお前最高……もっかいしたいぐらい気持ち良すぎた。お前も気持ち良さげやったな」
「っ……あんなん、知らん……なんやあれ」
「人間にはな、核ってあんねん。それは体内の中心にあってな、俺はお前の核に触れただけや。お前の痙攣は俺との相性が1億倍にええって事やで」
 まだ呼吸が速い、心臓だって……キスよりずっと深くてハマりそうなぐらい気持ち良かった。まだ快楽の余韻が残ってる。
「黎斗……そんな惚けた可愛ええ顔して俺ん事見んといて。今度は性的に食ってまうやん」
「なっ……って、別にええよ。お前になら何されてもええ。愛し尽くされたい。愛してや、嫌んなるまで、そんな日来んやろうけど言葉で表されへんけど……愛して、愛してや日聖」
「分かった分かった、分かったからちっと落ち着きなや黎斗。ほらな、やっぱり俺と深く深くリンクした方がええねん。その方がもっと俺ん事好きなったやろ、これがお前を襲えへん理由になんねや。これが繋がり、絆や」
 日聖の甘い声がする。声だけでビクビクする、耳に息がかかると呼吸が速くなり体が熱を持って胸がきゅうううと締め付けられる。日聖になら本当に何されたって……殺されてもいい。ああ好きだ、堪らなく好きだっ、この男が。いや……日聖を模した化け物、それでも俺には日聖なんや。一生大切な恋人なんや。
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