小さなベイビー、大きな野望

春子

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目覚め

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無理矢理魔法を壊したので、中々、目覚めないリーサは、眠り姫のようにずっと寝ていた。
キンバリーの話では、幼いため、体力がなく、回復するために、寝ているだけだから大丈夫だという。
忌々しいあの蜘蛛の糸は、綺麗サッパリ、無くなり、元通り。

「ここからは、お子さん抜きで話しますが、一通り済めば、この術の元を解剖します。」
キンバリーは瓶に入ったもの見ながらニヤニヤと、話す。
「極秘中の極秘ですが、アレックス様には、随分。お世話になったので、お伝えしますね。うちの兄貴が、禁述取締りにいますが、今回、重く見た上は、エドウィン家に、立ち入り調査を介入する予定です。うちの兄貴もメンバーに入ってますが。兄貴の見立てでは、他の禁書もあるようだとか。」
「なんてこと。」
「まあ、立ち入り調査をした結果次第では、エドウィン家は終わるでしょう。子供のしたこと以上に。…と。アレックス様からの伝言を言います。」
「アレックスお兄様から?」
「エドウィンは、デヴィットに連絡を取るだろうと、仲介者にはうってつけの人材ですからね。彼は魔法省とまあ色々繋がりはありますので、妥当…。」
ツェリとリリーエの顔が大変なことになってる。
「デヴィットがまた出てくるのか。」
「そうです。デニエル様。アレックス様が相手をすると仰っていますが、どうでしょうね。あの方は、アレックス様の邪魔をするのは、嫌いではありませんから。」
「ああ!全く。いつもいつも許しませんわ!デヴィット。」
「お母様。古狸をやはり、始末すべきだわ!私に任せてちょうだい。あいつが介入すると、いつもかき混ぜられて、有耶無耶にされたあげく、ろくなことにならないわ!」
激高する妻らを宥める夫たち。
「母上。ツェリ。二人がデヴィットを相手にしなくとも、大丈夫だ。いざとなれば、アレックス叔父上で、止まらなければ、私も出ますから。」
「フランツ。あなたは、優しい子ですわ。デヴィットの最たる被害者は、あなたです。デヴィットは今回の件を有耶無耶にすると言うなら、黙ってはいませんわ。何ていたって、私の孫娘が関わってるのだから。」
「その通りだわ!お母様。」
「いやあ。デヴィットさん、嫌われてますね。」
「我が家では、デヴィットは禁句だからね。」
デヴィットとハルベルとの溝は、かなり深い。
「フィル。介入してくるかしら。」
「そうね。介入してくるわ。特に、ベイビーが関わってるから、ここぞとばかりに。でも然たる対処をしないなら、話しは別だわ。」
徹底的に争う。

アルミンは、リーサのベットの側でみんなと遊んでいた。積み木をしながら、ふいと、何かを感じた。
「?」
ずんぐりむっくりの体型で目がギョロギョロと大きく動いている。昆虫のような羽を羽ばたかせ、リーサの元に向かう。
それをアルミンは手を伸ばし、捕まえる。
「リーサになにするの?」
アルミンの突然の行動に回りがなんだと振り向く。小さなアルミンの手のひらにいる何か。
゙離せ。小童…ん?お前、なんだか見たことあるな?"
「アルミンのお話の方が先だよ!リーサに何をするの?もしや。悪戯ピンキー?」
゙悪戯ピンキー?何て言う失礼な。あやつらと同じだと思われるなんて、最悪だ。位が違うわ"
「アルミン。それをこちらに渡しなさい。」
リフがアルミンにいうが、やだあと渡さない。悪戯ピンキーなら、リーサにも見せるんだと放さない。
「アルミン。」
「やあ。」
ぎゅうと掴む。
抵抗するアルミンとリフの話し合いに、リーサが目覚めた。
「…うー。うるさーい。」
ガバッ。唖然する一同。アルミンはビックリして、妖精をぎゅむとかなり強めに握り、妖精はぐえっと呻いた。
「あれ?」
混乱するリーサにリフが近寄る。
「リーサ。」
「…リフ?」
「見えるのか?」
リーサは辺りを見渡す。こちらを見るみんなの顔がわかる。
「見える!!見えるよ!!」
わあと大歓声。双子が泣き崩れる。
「ねえねえ。リーサ。見て。悪戯ピンキーだよ!」
「え?悪戯ピンキー!?」
アルミンに言われ、見ると、ずんぐりむっくりの妖精が違うわと言う。
゙私は、悪戯ピンキーではないわ。バカモン。お前に脳はないのか。全く。"
「しゃべったあ!」
゙うるさいわ。小娘。"
「小娘ってリーサのこと?」
むう。リーサはツェリ譲りのプライドの高さがある。
゙ふん。お前に掛けられた術を見に来た甲斐はあったかもしれない。お前、ロッシュヴォークの娘だろ?身にガルガンズいるな"
「それはどういう?」
リフが口を挟む。
゙あいつの魔法が数十年ぶりに人に使われたんだ。面白そうだから見に来た。よかったな。あやつの術がまともに働かんお陰で、お前、命拾いしたぞ。"
「掛けてきたのは、子供だ。」
゙ガキが、あやつの術をまともに使用出来るわけあるまい。一般人でも無理だ。そんな思い上がったやつが一番嫌いだったわ。"
妖精はいつのにか、アルミンの手から逃れていた。
゙お前、もし、ガルガンズが魔力で塞き止めなきゃ、お前のような小さいやつ、今頃、死んでいたぞ。ケタケタ"
「リーサはガルガンズを助けられたの?」
゙一重にお前が持ち主じゃなきゃ、ロッシュヴォークでなければ、その身は、食い尽くされ、目玉ところか、内臓も髪の毛すら、残らず、この世から消えてたろう。"
真っ青になったリフが聞くなとリーサの耳を塞ぐ。他の小さな子供たちの耳を塞ぐいとこたち。
゙ふはは。お前にはいいものを見せてもらった。教えてやる。掛けたやつは、代償を払わされる。それがなんだかは、知りようもないが。あやつは、あやつ以外に使用することを嫌った。"
妖精のケタケタ笑う声が響き、消えていく。

リーサは、保護者が集まってるリビングをかける。
バンッ。
「!?」
「まま。ぱぱ!!」
「リーサ!!?」
「おばちゃん。おじちゃん。」
「ベイビー!!!」
思い切りダイブ。泣き叫ぶツェリとよかったよかったとぎゅうぎゅうする皆。
「うわああん。」
「よく頑張ったよ!」
ぎゅうぎゅう。
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