小さなベイビー、大きな野望

春子

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メロの部屋

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メロに用意された部屋は、典型的な子供部屋を体現したような部屋で、ポップで可愛らしい部屋だ。
天蓋付きのベッドに、沢山のクッション。
可愛らしい動物のぬいぐるみや素敵なおもちゃ。
メロは、幽霊であるため、食べたり、寝たりすることはない。
歴代の当主達が、用意したこの部屋は、大層気にいってる。
現在、滞在してるリーサとアルミン達と無邪気に遊んでいる。
メロの姿は、見るからして、推定、十歳前後。
おかっぱ姿で、性格からして、子供っぽさがあるため、もう少し、幼い印象を残している。
飾り気のないシャツにズボン。丸靴を履いた少年は、現在、笑い転げている。波長が合うリーサとアルミンがいるため、いつもより、はっちゃけている。
メロは滅多に声を出さない。喋れない訳ではないが、あまり、声を聞いたことはない。笑い声はよく発している。悪戯をする時など特に。
メロは、本棚から、一冊の本を抜き取る。
実際には、幽霊のため、物理的に、物を触ることは出来ないが、どんな原理が不明だが、おそらく、魔法で、物を取り寄せたり、操ったり、出来る。悪戯はよく魔法を使用する。
歴代の当主が買い与えた絵本も年代物が多い。
有名な童話も混ざっている。
持ってきたのは、ダグラスに与えられたらしいクルル山の冒険者と言うタイトルの絵本だ。
「アルミンが読んであげる!」
エヘンとばかりに、アルミンは、本を読む。ワクワクしながら聞くメロ。




ダグラスの元に来る時は、ロッシュヴォークのお勉強会が開かれる。特に、歴史に関わるものだ。
変な話ではあるのだが、サラトガやギルベルトに関しては、ふたりとも、真面目で、こなしていたが、そのふたりの子供たちは、子供特有を体現したような性格をしている。
「おじいちゃん。お勉強より、あそぼーよ。」
「そうだよ!」
「話を聞きなさい。」
膝に乗せている孫たちをあやしている。
ダグラスは、比較的、孫に甘い。
だが、これは、譲れない。
「ほら、アイシャはきちんと聞く体でいる。アルミン、お前はお兄さんになったとあんなに言っていたな。リーサ、お前もお姉さんになったとあんなに自慢していたではないか。」
目を見合わせる二人。そうである。お兄さん・お姉さんだ。エヘンと身構える。
ロッシュヴォークの血が流れている者には、知らないといけないことが沢山ある。
「今回はメロの話だよ。」
「メロ?」
目をぱちくり。メロは、アイシャの横に座り、体育座りをしている。自分の話だと、ちょっと嬉しそう。
「そう。メロの話だ。メロは、この“家”には、居なくてはならない存在なんだ。」
「?」
ダグラスは、孫たちに、静かに口を開いた。
メロが何処で拾われ、連れて来られてきたか。
そして、なんの為にここにいるのか。
知らなくてはならない。
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