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まんぷく竹の子ご飯
まんぷく竹の子ご飯-3
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「それで、みと屋はどうなの。お客は来るようになった?」
「ううん、なかなか」
「相変わらずねえ」
加代は次の団子に手を伸ばす。
「あ、でもそういえば変わったことがあったの」
三太の次第をひとしきり説明すると、加代はあきれた声を出した。
「ほんと、お客は来ないのに厄介なことだけはやって来る店ねえ」
あまりにも加代の言う通りで、お鈴は苦笑いするしかない。
「でも、それはお鈴ちゃんも大変だったわねえ」
「ううん、あたしは大丈夫なんだけど、なんだか驚いちゃって」
手に持った団子を見つめながら、言葉を続けた。
「あんなに小さい子が、誰にも助けてもらえずに一人で生き抜いてるなんて、考えもしなかった。色んなわけがあるんだろうけど、せめて近くの大人とか大家さんとか、誰かが助けてくれると思ってた」
「人の面倒なんて、余裕がないと見れないもんよ」
加代がぴしゃりと言った。
「子どもだとしても、食い扶持が増えるのは大変なことよ。同情だけでそう容易く育てられないわ」
大店のお嬢様から現実的な話が出ると思っていなかったお鈴は、目を丸くした。
「そう、だけど」
「あたしは大店の娘だから、貧しいと思ったことはないし、そんな子達の苦労も分からない。でもね、あたしの知らない貧しい人達がたくさんいることは、おとっつあんから口すっぱく教えられてきたの」
加代は「だからね」と続ける。
「あたしはいっぱいお金を使うことにしてるの」
「どういうこと」
「おとっつあんに言われたのよ。金を使いすぎるのはよくないが、ちゃんと使いなさい。金は天下の回り物だからって」
ぽかんとしていると、加代が言葉を補ってくれた。
「たとえばね。あたしが呉服屋で着物を買うじゃない。そうしたら呉服屋にお金の余裕ができるから、その金で呉服屋の奉公人が鰻を食べられるようになる。そしたらその金で鰻屋の人が子どもにいいものを食べさせてあげられるかもしれない。金ってそうやって回っていくものだから、みんなで使わなきゃみんな幸せにならないし、そのきっかけは、あたし達大店が作るべきことなのよ」
「そっか。加代さんがみと屋でご飯を食べてくれるから、あたしが団子を食べることができるんだものね」
「そうそう、そういうこと」
「そんなこと考えてるなんて、加代さんは凄いね」
無邪気なお嬢様だと思っていたが、今日の加代は大人びて見えた。
「偉そうなこと言ったけど、全部おとっつあんの受け売り。ほんとはあたしが欲しいから着物や簪を買ってるんだけだけどね」
加代は冗談っぽく舌を出してみせた。
加代のように余裕のある暮らしをしたことがないので、金を使ったほうがいいという言葉はよく分からないけど、金が回ってみんなが幸せになる、ということは腑に落ちた。色んな人が使った金が、三太のところまで巡ってくれることを心から願う。
「さ、そういうわけで金を天下に回しましょう。お婆さん、団子おかわり」
そう言って、加代は手を高く上げた。
四
天気のいい朝で、雀の鳴き声が耳朶をそよがせる。
身支度を調えたお鈴は厨房に入った。
仕込みにかかる前に、壁際の小窓に近づく。みと屋の厨には煙を逃がすための小窓があり、閉じられるようにもなっているが、今は開いたままだ。そして窓枠には何も載っていない皿が置いてあった。それを見て口元をほころばせる。
三太のことが気がかりで、どうにかしてやりたかった。考えた末、余った食材が出た日は、それを小窓に置いてやることにしたのだ。
客が来ないみと屋に余裕などほとんどない。食材の余りが出たとしても十日に一度くらいで、それも少ない量だが、試しに干物を置いてみたところ、次の朝には綺麗になくなっていた。
昨晩も大根を半分置いておいたが、今朝にはなくなっていた。三太の仕業かどうかは見当がつかないけれど、困っている誰かの助けになるのであれば嬉しい。
心が明るくなり、鼻歌を歌いながら仕込みを始める。まずは今日使う分の漬物を取り出して、ぬか床の手入れだ。
柔らかなぬか床に手を入れて掻き回していると、こつりと音がした。風で小石でも当たったのだろうと思ったら、再びこつり。
くろが悪戯でもしているのかと、閉じた小窓を開けてみた。
そこから見えるのはみと屋の裏側だ。生い茂る草木と井戸がある。いつもと変わらぬ光景に、ただの気のせいかと窓を閉めようとした瞬間。
眼前に、にゅっと顔が飛び出してきた。
きゃっ、と後ずさりして、体勢を崩しそうになる。
柱に手をついておそるおそる確かめると、子どもの顔が三つ並んでいた。年は五、六歳だろうか。男の子が二人に女の子が一人。顔は薄汚れているが、きらきらした目をしている。窓の下から足を伸ばして顔を出しているのだろう。
「お野菜くれるの、お姉ちゃんなんでしょ」
女の子が無邪気な声を出した。呆気にとられていると、男の子が「三太の兄ちゃんが言ってた」と続ける。
「あ、あなた達、三太ちゃんの知り合いなの」
三人揃って「うん」と首を縦に振る。
「兄ちゃん、俺達のためにご飯作ってくれるんだ」
「兄ちゃんの作るご飯、うまいんだぞ」
「ねー」
ということは、この子達のために料理をくすねていたのか。飄々としていた三太に、そんな優しさがあったのかと驚いた。
そこへ「お前ら!」と叫び声が飛んでくる。
「まずい」と三人が首を引っ込めて、その代わりに道の先から駆けてくる三太が見えた。
「お姉ちゃん、ありがとう」
そう言い残して、三人の子どもは散り散りに逃げ出した。入れ違いに三太が息を荒らげてやって来る。
「あいつら、しょうもないこと、しやがって」
両膝に手をついて、肩を荒く上下させている。
「あの、水いる?」
見かねて甕から水を汲んで渡してやった。三太は一息で飲み干し、ふうと息をつく。
「三太ちゃん、偉いのね。兄妹の面倒を見てるんでしょう」
一人で生きていくのも大変だろうに、子ども達の世話までしているなんて、本当に凄い。その年で親代わりまで担うとは、お鈴には見当もつかないほど重いものを背負っているのだろう。
そう思って素直に褒めたつもりだったが、三太は顔をしかめた。
「へっ、関係ねえや」
そう言い捨てて、その場を去っていったのだった。
*
「そんなことがあったのねえ」
銀次郎と弥七が店にやって来てから、三太と子ども達の騒動を話した。
「あたし、何か怒らせるようなことを言ってしまったんでしょうか」
去り際の三太の表情が頭に焼きついている。むっとした目の奥にちろりと怒りの炎が見えたのだ。
「分からねえか」
「はい」
銀次郎は煙管を一口吸い、吐き出した。白い煙がみと屋に広がっていく。
「おめえのやったことが悪いとは言わねえ。手を差し伸べることは間違っちゃいねえ」
だったらどうして、と言いかけて、目で制された。
「だがな、おめえのやったことは施しだ」
脳天を殴られた気がした。
「どんなに貧しくても、誇りを持って生きている奴もいる。同じ大根一本だとしても、自分の手で勝ち取ることと、憐れみで渡されるんじゃあ意味が違う。たとえ勝ち取る方法が正しくないやり方だったとしてもだ」
憐れんでなんかいない、と思ったが、銀次郎の言葉を否定することはできなかった。
「おめえにそんなつもりはなかったとしても、おめえの中にある憐れみの心に感づいちまったんだろうよ」
きっと、銀次郎の言う通りだ。
お鈴は首を垂れて、着物の裾を握り締める。
「ま、お鈴ちゃんのそういう優しさはいいことよ」
弥七が背中に手を当ててくれた。
「それにしても、あの子なかなかやるわねえ。この前ね、後を追おうとしたんだけど、綺麗に撒かれちゃった。よほど勘と目端が利かなきゃあ、この弥七さんからは逃げ切れないわよ」
「調べたのか」
「ちょいと気になってね」
どうやら弥七が自ら調べていたようだ。事件があった時には銀次郎の指示で動くことが多いので、珍しい。
「やっぱり親が碌でもない奴だったらしくてね。飯を与えないどころか殴る蹴るも当たり前で逃げ出したみたい。どこに住んでるかは突き止められなかったから、転々としてるんじゃないかしら。兄妹がいたって話は聞かなかったし、同じような境遇の子の面倒を見てやってるのかもねえ」
「なんとかしてやりてえな」
「あれだけ聡い子だしね。まっすぐな道に戻れる機会を見つけてあげたいものだけど」
弥七がぽつりと呟いた。
五
くつくつと音がして、厨房に甘辛い香りが漂う。
竈にかかった鍋を覗くと、茶に色づいた蛤がごろごろ煮込まれていた。
今日の定食は時雨蛤だ。時雨蛤とは佃煮のようなもので、下茹でした蛤のむき身を醤油や酒と刻んだしょうがで煮込む。ひたひたに漬かっていた汁が煮詰まり、汁気が飛べば出来上がり。
よく煮込んで一晩置くと味が染み込むし、保存食にもなる。しかし煮込みすぎて身が固くなったものより、ぷりぷりした食感を楽しんでほしいので、みと屋では作り立てを出している。
鍋を外し、器に盛りつける。三つ葉を置いて、彩り鮮やかに。
汁と飯を添えて盆に載せ、店に入る。
「はああああ」
「もう、さっきからため息ばっかりじゃない」
「辛気臭え奴がいたら客が逃げちまう。とっとと帰れ」
「親分ったら、逃げてく客なんてどこにもいやしないじゃない」
「うるせえばかやろう」
そこでは、みと屋らしい賑やかなやりとりが繰り広げられていた。
小上がりで煙管をふかす銀次郎に、腰かける弥七。そして床几に座って深くため息をつくのは新之助だ。がっくりうな垂れて、時折「はああ」と息を吐く。
近寄って、新之助の横に盆を置いた。
「お待たせしました」
「ああ、お鈴さん」
新之助がのろのろと顔を上げる。
「飯は道を開く、ですよ。どうにもならない時こそ、しっかり食べてください」
覇気がない新之助は箸を重たそうに持ち、蛤を口に運んだ。しかし一口噛むと、目を見開いた。噛みしめるごとに背筋がしゃんとしていく。
「これはうまい」
「よかったです」
「ほどよく甘じょっぱくて飯が進みますね。そして身がふわふわだ」
先ほどまでの憔悴ぶりが嘘のようだ。蛤と飯を交互にかき込む様を見て、お鈴は微笑んだ。
「あら、蛤ね。なかなか立派じゃない」
「そうなんです。いい蛤が入ったと棒手振りの人がわざわざ持ってきてくれて。だから今日は時雨煮を作ってみました」
「そうだ、今度みんなで潮干狩りに行きましょうよ。それで、いっぱい蛤を取りましょう」
「いいですね、行きましょう」
弥七とそんなことを話しているうちに、新之助はあっという間に飯を平らげて箸を置いた。今度はため息ではなく、満足げな息をふうと吐く。
「いやあ、一気に食べてしまいましたが、おかげで力が湧きました」
「それなら安心しました。それにしても、いったいどうしたんですか」
尋ねると、新之助は面を曇らせた。
「実は、例のご隠居の人捜しがいっこうに進んでおらず、上役から厳しく叱責を受けまして」
まだ見つからないのかとご隠居から上役に連絡が入り、巡り巡って新之助に火の粉が降りかかったらしい。
「手がかりの一つも見つけられていないとはどういうことか、と四半刻に渡って叱責を受け、疲れ果てていたのです」
下手な言い訳をすると上役の怒りに火を注ぐし、お鉢が自分に回ってきたら大変だから、同僚達も見て見ぬふりをするだけだ。
「あと十日のうちになんとしても手がかりを見つけてこいと言われ、果たしてどうしたものかと。妙案も浮かばず、自在に使える手下も足りておらず。どうにも手詰まりで」
そもそも他の手練れ同心でも成果が得られなかったものを、若輩がどうやって見つければいいのか。またしてもため息をつき始めた新之助になんと声をかけたらいいか分からず、おろおろしながら見守っていると、弥七が「そうだわ」と声を上げた。
「江戸の町に詳しい人がいるといいのよね」
「まあ、そういう者がいると、ずいぶん助かりますね」
「あの子よ、三太に力を借りるのよ」
「どういうことですか」
「あの子はしたたかに生きてるから、江戸の町の裏通りまで知り尽くしてるはず」
「はあ」
「この間ね、ねぐらを突き止めようとしたら、綺麗に逃げられちゃったの。あたしを撒くくらいだから頭も回るわよ」
「いや、弥七殿の言うことも分かりますが、さすがにあの子は。なんと申しますか、そもそもまだ子どもですし」
「あら、子どもが同心を手伝っちゃいけないなんて道理はないはずよ。それに新之助さんには手立てを選んでる余裕はないでしょう」
「まあそうなのですが、それはさすがに武士として」
「ふん」と銀次郎が鼻を鳴らした。
「悪くねえな」
「ぎ、銀次郎殿までそんなことを」
「ガキには心を許しやすいから、聞き込みも捗るかもしれねえ。下手な小者よりよっぽど使えるかもな」
「いや、そうは申しましても」
「ほら、これで決まり。お鈴ちゃん、時々余った大根とかあげてたわよね。それに文をつけて呼び出しましょう。あ、でも文字が読めないかもしれないわね。馬の絵でも描いておけば午の刻って分かるかしら」
勝手に話を進めていく弥七。新之助は観念したのか、「お任せします」と言い残してみと屋を去っていった。
それにしても、弥七はずいぶん三太を気にかけているようだ。
銀次郎に言われたわけでもないのに、様子を調べに行っていたことを思い出す。確かに三太は目端の利く子どもだが、新之助の助けになりそうな人物なら他にも心当たりはありそうなものだ。弥七はあえて三太を推したのだろうか。
「三太ちゃんのこと、気になりますか」
弥七はお鈴の問いに、「そうね」と薄く笑った。
「なんだかね。つい、昔のあたしと重なっちゃってね」
「昔の自分、ですか」
「あたしもね。まあ色々あって、あんなふうに生きてた時があったのよ。面倒を見ずに捨てた親を恨み、助けてくれない大人に怒り、身体中に針を纏って生きてた時があったのよ」
弥七は柔らかな口調のまま続けた。
「でもね、その針は周りだけじゃなく、自分の心まで刺すの。だんだんね、心から血が流れていくのが分かるの。そうやって空っぽになった心に、よからぬ気持ちが巣くったり、つけ入る輩が出てきたりする。そうなっちゃうとね、元の道には戻れなくなっちゃう。だから、そうなる前になんとかしてあげたいのよ」
「そう、だったんですか」
思えば弥七の過去を聞いたことがなかった。それ以上詳しくは語らなかったけれど、おそらく大変な苦労があったのだろう。だからこそ、三太が戻れるうちに正しい道に誘ってあげたい、という弥七の願いが伝わってきた。
「三太ちゃんにとって、いいきっかけになるといいですね」
「ええ」
銀次郎が煙管を吸い、深く息を吐く。白い煙がたなびいた。
六
「やーなこったい」
床几の上で胡坐をかいた三太は、ぷいと顔をそむけた。
「あんたを見込んでのことよ。それにちゃんと手間賃も弾んでくれるのよ」
「へん、お上の手伝いなんてまっぴらごめんだね。金を積まれてもお断りだい」
大根に文をつけたところ、三太は三日後にやって来た。
折よく新之助も居合わせており、弥七も加わって事情を話したが、にべもない返事である。
三太は新之助を睨み、指さした。
「お前らはいつだってそうだ。俺達がどれだけ苦しんでも米粒一つくれやしない。だってのにちょっと困った時には手を貸せ、なんて言う。俺達つまはじきもんを都合のいい時だけいいように使うんじゃねえよ」
「三太ちゃん、新之助さんはそんな人じゃないの」
見かねて口を挟むが、三太は目を尖らせるばかりだ。
「ううん、なかなか」
「相変わらずねえ」
加代は次の団子に手を伸ばす。
「あ、でもそういえば変わったことがあったの」
三太の次第をひとしきり説明すると、加代はあきれた声を出した。
「ほんと、お客は来ないのに厄介なことだけはやって来る店ねえ」
あまりにも加代の言う通りで、お鈴は苦笑いするしかない。
「でも、それはお鈴ちゃんも大変だったわねえ」
「ううん、あたしは大丈夫なんだけど、なんだか驚いちゃって」
手に持った団子を見つめながら、言葉を続けた。
「あんなに小さい子が、誰にも助けてもらえずに一人で生き抜いてるなんて、考えもしなかった。色んなわけがあるんだろうけど、せめて近くの大人とか大家さんとか、誰かが助けてくれると思ってた」
「人の面倒なんて、余裕がないと見れないもんよ」
加代がぴしゃりと言った。
「子どもだとしても、食い扶持が増えるのは大変なことよ。同情だけでそう容易く育てられないわ」
大店のお嬢様から現実的な話が出ると思っていなかったお鈴は、目を丸くした。
「そう、だけど」
「あたしは大店の娘だから、貧しいと思ったことはないし、そんな子達の苦労も分からない。でもね、あたしの知らない貧しい人達がたくさんいることは、おとっつあんから口すっぱく教えられてきたの」
加代は「だからね」と続ける。
「あたしはいっぱいお金を使うことにしてるの」
「どういうこと」
「おとっつあんに言われたのよ。金を使いすぎるのはよくないが、ちゃんと使いなさい。金は天下の回り物だからって」
ぽかんとしていると、加代が言葉を補ってくれた。
「たとえばね。あたしが呉服屋で着物を買うじゃない。そうしたら呉服屋にお金の余裕ができるから、その金で呉服屋の奉公人が鰻を食べられるようになる。そしたらその金で鰻屋の人が子どもにいいものを食べさせてあげられるかもしれない。金ってそうやって回っていくものだから、みんなで使わなきゃみんな幸せにならないし、そのきっかけは、あたし達大店が作るべきことなのよ」
「そっか。加代さんがみと屋でご飯を食べてくれるから、あたしが団子を食べることができるんだものね」
「そうそう、そういうこと」
「そんなこと考えてるなんて、加代さんは凄いね」
無邪気なお嬢様だと思っていたが、今日の加代は大人びて見えた。
「偉そうなこと言ったけど、全部おとっつあんの受け売り。ほんとはあたしが欲しいから着物や簪を買ってるんだけだけどね」
加代は冗談っぽく舌を出してみせた。
加代のように余裕のある暮らしをしたことがないので、金を使ったほうがいいという言葉はよく分からないけど、金が回ってみんなが幸せになる、ということは腑に落ちた。色んな人が使った金が、三太のところまで巡ってくれることを心から願う。
「さ、そういうわけで金を天下に回しましょう。お婆さん、団子おかわり」
そう言って、加代は手を高く上げた。
四
天気のいい朝で、雀の鳴き声が耳朶をそよがせる。
身支度を調えたお鈴は厨房に入った。
仕込みにかかる前に、壁際の小窓に近づく。みと屋の厨には煙を逃がすための小窓があり、閉じられるようにもなっているが、今は開いたままだ。そして窓枠には何も載っていない皿が置いてあった。それを見て口元をほころばせる。
三太のことが気がかりで、どうにかしてやりたかった。考えた末、余った食材が出た日は、それを小窓に置いてやることにしたのだ。
客が来ないみと屋に余裕などほとんどない。食材の余りが出たとしても十日に一度くらいで、それも少ない量だが、試しに干物を置いてみたところ、次の朝には綺麗になくなっていた。
昨晩も大根を半分置いておいたが、今朝にはなくなっていた。三太の仕業かどうかは見当がつかないけれど、困っている誰かの助けになるのであれば嬉しい。
心が明るくなり、鼻歌を歌いながら仕込みを始める。まずは今日使う分の漬物を取り出して、ぬか床の手入れだ。
柔らかなぬか床に手を入れて掻き回していると、こつりと音がした。風で小石でも当たったのだろうと思ったら、再びこつり。
くろが悪戯でもしているのかと、閉じた小窓を開けてみた。
そこから見えるのはみと屋の裏側だ。生い茂る草木と井戸がある。いつもと変わらぬ光景に、ただの気のせいかと窓を閉めようとした瞬間。
眼前に、にゅっと顔が飛び出してきた。
きゃっ、と後ずさりして、体勢を崩しそうになる。
柱に手をついておそるおそる確かめると、子どもの顔が三つ並んでいた。年は五、六歳だろうか。男の子が二人に女の子が一人。顔は薄汚れているが、きらきらした目をしている。窓の下から足を伸ばして顔を出しているのだろう。
「お野菜くれるの、お姉ちゃんなんでしょ」
女の子が無邪気な声を出した。呆気にとられていると、男の子が「三太の兄ちゃんが言ってた」と続ける。
「あ、あなた達、三太ちゃんの知り合いなの」
三人揃って「うん」と首を縦に振る。
「兄ちゃん、俺達のためにご飯作ってくれるんだ」
「兄ちゃんの作るご飯、うまいんだぞ」
「ねー」
ということは、この子達のために料理をくすねていたのか。飄々としていた三太に、そんな優しさがあったのかと驚いた。
そこへ「お前ら!」と叫び声が飛んでくる。
「まずい」と三人が首を引っ込めて、その代わりに道の先から駆けてくる三太が見えた。
「お姉ちゃん、ありがとう」
そう言い残して、三人の子どもは散り散りに逃げ出した。入れ違いに三太が息を荒らげてやって来る。
「あいつら、しょうもないこと、しやがって」
両膝に手をついて、肩を荒く上下させている。
「あの、水いる?」
見かねて甕から水を汲んで渡してやった。三太は一息で飲み干し、ふうと息をつく。
「三太ちゃん、偉いのね。兄妹の面倒を見てるんでしょう」
一人で生きていくのも大変だろうに、子ども達の世話までしているなんて、本当に凄い。その年で親代わりまで担うとは、お鈴には見当もつかないほど重いものを背負っているのだろう。
そう思って素直に褒めたつもりだったが、三太は顔をしかめた。
「へっ、関係ねえや」
そう言い捨てて、その場を去っていったのだった。
*
「そんなことがあったのねえ」
銀次郎と弥七が店にやって来てから、三太と子ども達の騒動を話した。
「あたし、何か怒らせるようなことを言ってしまったんでしょうか」
去り際の三太の表情が頭に焼きついている。むっとした目の奥にちろりと怒りの炎が見えたのだ。
「分からねえか」
「はい」
銀次郎は煙管を一口吸い、吐き出した。白い煙がみと屋に広がっていく。
「おめえのやったことが悪いとは言わねえ。手を差し伸べることは間違っちゃいねえ」
だったらどうして、と言いかけて、目で制された。
「だがな、おめえのやったことは施しだ」
脳天を殴られた気がした。
「どんなに貧しくても、誇りを持って生きている奴もいる。同じ大根一本だとしても、自分の手で勝ち取ることと、憐れみで渡されるんじゃあ意味が違う。たとえ勝ち取る方法が正しくないやり方だったとしてもだ」
憐れんでなんかいない、と思ったが、銀次郎の言葉を否定することはできなかった。
「おめえにそんなつもりはなかったとしても、おめえの中にある憐れみの心に感づいちまったんだろうよ」
きっと、銀次郎の言う通りだ。
お鈴は首を垂れて、着物の裾を握り締める。
「ま、お鈴ちゃんのそういう優しさはいいことよ」
弥七が背中に手を当ててくれた。
「それにしても、あの子なかなかやるわねえ。この前ね、後を追おうとしたんだけど、綺麗に撒かれちゃった。よほど勘と目端が利かなきゃあ、この弥七さんからは逃げ切れないわよ」
「調べたのか」
「ちょいと気になってね」
どうやら弥七が自ら調べていたようだ。事件があった時には銀次郎の指示で動くことが多いので、珍しい。
「やっぱり親が碌でもない奴だったらしくてね。飯を与えないどころか殴る蹴るも当たり前で逃げ出したみたい。どこに住んでるかは突き止められなかったから、転々としてるんじゃないかしら。兄妹がいたって話は聞かなかったし、同じような境遇の子の面倒を見てやってるのかもねえ」
「なんとかしてやりてえな」
「あれだけ聡い子だしね。まっすぐな道に戻れる機会を見つけてあげたいものだけど」
弥七がぽつりと呟いた。
五
くつくつと音がして、厨房に甘辛い香りが漂う。
竈にかかった鍋を覗くと、茶に色づいた蛤がごろごろ煮込まれていた。
今日の定食は時雨蛤だ。時雨蛤とは佃煮のようなもので、下茹でした蛤のむき身を醤油や酒と刻んだしょうがで煮込む。ひたひたに漬かっていた汁が煮詰まり、汁気が飛べば出来上がり。
よく煮込んで一晩置くと味が染み込むし、保存食にもなる。しかし煮込みすぎて身が固くなったものより、ぷりぷりした食感を楽しんでほしいので、みと屋では作り立てを出している。
鍋を外し、器に盛りつける。三つ葉を置いて、彩り鮮やかに。
汁と飯を添えて盆に載せ、店に入る。
「はああああ」
「もう、さっきからため息ばっかりじゃない」
「辛気臭え奴がいたら客が逃げちまう。とっとと帰れ」
「親分ったら、逃げてく客なんてどこにもいやしないじゃない」
「うるせえばかやろう」
そこでは、みと屋らしい賑やかなやりとりが繰り広げられていた。
小上がりで煙管をふかす銀次郎に、腰かける弥七。そして床几に座って深くため息をつくのは新之助だ。がっくりうな垂れて、時折「はああ」と息を吐く。
近寄って、新之助の横に盆を置いた。
「お待たせしました」
「ああ、お鈴さん」
新之助がのろのろと顔を上げる。
「飯は道を開く、ですよ。どうにもならない時こそ、しっかり食べてください」
覇気がない新之助は箸を重たそうに持ち、蛤を口に運んだ。しかし一口噛むと、目を見開いた。噛みしめるごとに背筋がしゃんとしていく。
「これはうまい」
「よかったです」
「ほどよく甘じょっぱくて飯が進みますね。そして身がふわふわだ」
先ほどまでの憔悴ぶりが嘘のようだ。蛤と飯を交互にかき込む様を見て、お鈴は微笑んだ。
「あら、蛤ね。なかなか立派じゃない」
「そうなんです。いい蛤が入ったと棒手振りの人がわざわざ持ってきてくれて。だから今日は時雨煮を作ってみました」
「そうだ、今度みんなで潮干狩りに行きましょうよ。それで、いっぱい蛤を取りましょう」
「いいですね、行きましょう」
弥七とそんなことを話しているうちに、新之助はあっという間に飯を平らげて箸を置いた。今度はため息ではなく、満足げな息をふうと吐く。
「いやあ、一気に食べてしまいましたが、おかげで力が湧きました」
「それなら安心しました。それにしても、いったいどうしたんですか」
尋ねると、新之助は面を曇らせた。
「実は、例のご隠居の人捜しがいっこうに進んでおらず、上役から厳しく叱責を受けまして」
まだ見つからないのかとご隠居から上役に連絡が入り、巡り巡って新之助に火の粉が降りかかったらしい。
「手がかりの一つも見つけられていないとはどういうことか、と四半刻に渡って叱責を受け、疲れ果てていたのです」
下手な言い訳をすると上役の怒りに火を注ぐし、お鉢が自分に回ってきたら大変だから、同僚達も見て見ぬふりをするだけだ。
「あと十日のうちになんとしても手がかりを見つけてこいと言われ、果たしてどうしたものかと。妙案も浮かばず、自在に使える手下も足りておらず。どうにも手詰まりで」
そもそも他の手練れ同心でも成果が得られなかったものを、若輩がどうやって見つければいいのか。またしてもため息をつき始めた新之助になんと声をかけたらいいか分からず、おろおろしながら見守っていると、弥七が「そうだわ」と声を上げた。
「江戸の町に詳しい人がいるといいのよね」
「まあ、そういう者がいると、ずいぶん助かりますね」
「あの子よ、三太に力を借りるのよ」
「どういうことですか」
「あの子はしたたかに生きてるから、江戸の町の裏通りまで知り尽くしてるはず」
「はあ」
「この間ね、ねぐらを突き止めようとしたら、綺麗に逃げられちゃったの。あたしを撒くくらいだから頭も回るわよ」
「いや、弥七殿の言うことも分かりますが、さすがにあの子は。なんと申しますか、そもそもまだ子どもですし」
「あら、子どもが同心を手伝っちゃいけないなんて道理はないはずよ。それに新之助さんには手立てを選んでる余裕はないでしょう」
「まあそうなのですが、それはさすがに武士として」
「ふん」と銀次郎が鼻を鳴らした。
「悪くねえな」
「ぎ、銀次郎殿までそんなことを」
「ガキには心を許しやすいから、聞き込みも捗るかもしれねえ。下手な小者よりよっぽど使えるかもな」
「いや、そうは申しましても」
「ほら、これで決まり。お鈴ちゃん、時々余った大根とかあげてたわよね。それに文をつけて呼び出しましょう。あ、でも文字が読めないかもしれないわね。馬の絵でも描いておけば午の刻って分かるかしら」
勝手に話を進めていく弥七。新之助は観念したのか、「お任せします」と言い残してみと屋を去っていった。
それにしても、弥七はずいぶん三太を気にかけているようだ。
銀次郎に言われたわけでもないのに、様子を調べに行っていたことを思い出す。確かに三太は目端の利く子どもだが、新之助の助けになりそうな人物なら他にも心当たりはありそうなものだ。弥七はあえて三太を推したのだろうか。
「三太ちゃんのこと、気になりますか」
弥七はお鈴の問いに、「そうね」と薄く笑った。
「なんだかね。つい、昔のあたしと重なっちゃってね」
「昔の自分、ですか」
「あたしもね。まあ色々あって、あんなふうに生きてた時があったのよ。面倒を見ずに捨てた親を恨み、助けてくれない大人に怒り、身体中に針を纏って生きてた時があったのよ」
弥七は柔らかな口調のまま続けた。
「でもね、その針は周りだけじゃなく、自分の心まで刺すの。だんだんね、心から血が流れていくのが分かるの。そうやって空っぽになった心に、よからぬ気持ちが巣くったり、つけ入る輩が出てきたりする。そうなっちゃうとね、元の道には戻れなくなっちゃう。だから、そうなる前になんとかしてあげたいのよ」
「そう、だったんですか」
思えば弥七の過去を聞いたことがなかった。それ以上詳しくは語らなかったけれど、おそらく大変な苦労があったのだろう。だからこそ、三太が戻れるうちに正しい道に誘ってあげたい、という弥七の願いが伝わってきた。
「三太ちゃんにとって、いいきっかけになるといいですね」
「ええ」
銀次郎が煙管を吸い、深く息を吐く。白い煙がたなびいた。
六
「やーなこったい」
床几の上で胡坐をかいた三太は、ぷいと顔をそむけた。
「あんたを見込んでのことよ。それにちゃんと手間賃も弾んでくれるのよ」
「へん、お上の手伝いなんてまっぴらごめんだね。金を積まれてもお断りだい」
大根に文をつけたところ、三太は三日後にやって来た。
折よく新之助も居合わせており、弥七も加わって事情を話したが、にべもない返事である。
三太は新之助を睨み、指さした。
「お前らはいつだってそうだ。俺達がどれだけ苦しんでも米粒一つくれやしない。だってのにちょっと困った時には手を貸せ、なんて言う。俺達つまはじきもんを都合のいい時だけいいように使うんじゃねえよ」
「三太ちゃん、新之助さんはそんな人じゃないの」
見かねて口を挟むが、三太は目を尖らせるばかりだ。
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