14 / 51
春の国
月夜の密会
しおりを挟む
『わたしはそなたが現れてから、毎日が楽しいぞ』
俺も。……うん。楽しい。
ここに来てから。ラグナルは、それこそ魔法使いみたいに。
何だって、望んだものを作ってみせてくれた。
たまには失敗もして。その失敗を元に、もっとすごいものをって、研究してさ。
科学の話は、わくわくするし。メカやロボが嫌いな男の子なんていないよな。
楽しかった。本当に。
ウルジュワーンのこと。
一瞬でも、忘れそうになっちゃうのがこわいくらい。
◆◇◆
あれは。
実際にあったことのか、夢なのか。あやふやになりそうなんだ。
”夏の国”でのことは。もう、俺の記憶にしか残ってないんだから。
額に印はなくて。
身体にも、ウルジュワーンに愛された痕跡も残ってない。
だけど。夢だったことにして忘れたくはないんだ。
忘れたら。
みんな、嘘になっちゃう気がして。
俺の気持ちも。
『忘れてしまえ。今のことだけ考えれば良い』
ラグナル。
『……わたしとの結婚を。本気で考えてくれないか?』
真摯な瞳で。
告げられてしまった。
ラグナルのことは、嫌いじゃない。一緒にいると楽しいし。
でも。
『……無理にでも。今夜、そなたを抱く』
宣言するように。
ラグナルに、肩を引き寄せられてしまう。
『わたしを恨め。……そして、他の事はみな、忘れろ』
手を掴まれて。
熱い、と思ったら。
左手の甲に。赤い、三日月のような印がついていた。
これ、もしかして。
”春の国”の。妃の印……?
◆◇◆
「んう、」
ラグナルに抱き締められて。キスされてしまった。
「……ふ、だめ、だってば、」
こんなの、いけない。
俺には、好きな人がいるんだから。浮気はよくない。
抗おうとしても。力強い腕からは、逃げられない。
……あれ? くらくらする。
何で。
『飲み物に、媚薬を入れておいた』
……な、何考えてんだ。
力が入らない。身体の力が抜けていってしまう。
じゃあ。身体が熱くなってきたのも、媚薬のせいなのか?
『……これは、そなたの意思ではない。わたしの欲望を押し付けているだけだ』
そうだけど。
何で、そんな当たり前のことを言うんだよ。
服を脱がされて。
身体に、くちづけが落とされる。
ラグナルはテーブルの上にあった小さな瓶を取って。中からとろりとした液体を出した。
……これは?
視線に、ラグナルが答える。
『香油だ。そなたがわたしを受け入れる場所を慣らすのに使うものだ』
……自動人形。さっき、飲み物と一緒に持って来てたんだ。
最初から、こうするつもりで、俺をここに誘ったの?
◆◇◆
足の間に、指を這わされて。
反応してしまった俺のを擦られながら、指を入れられてしまう。
駄目なのに。
何で。
「ああっ、」
指で、そこを撫でられて。イっちゃった。
嘘だろ。
俺の身体、気持ちを裏切りすぎだ。
何で、反応しちゃうんだよ。
『媚薬のせいだ。イチ。……感じても、そなたの意思ではない』
ラグナルの声も手も、優しくて。
こんなの、ずるいよ。
「……っ、や、……駄目、それだけは、やめて、」
足を抱え上げられて。
熱いものが、あてがわれて。……入って来てしまう。ラグナルの。
『わたしはあの日。森の中で、頼りなげにわたしを見上げていたそなたに。……ひと目で恋をしたのだ』
だから、連れ去ったのだと。
愛おしそうに俺を見て。蕩けそうな、甘い表情で。
今、そういうこと言うの。ずるいと思う。
「や、あっ、あっ、あ、んっ、ひぁ、」
ラグナルの膝に乗せられて。
向かい合わせの形で、下から突き上げられてる。
「やぁ、……だめ、」
ラグナルは、俺の涙を舌で舐め取って。
『奥の方も、入口も。狭いな……まるで、初めてのようだ。身体の方も、無垢に戻っているのかもしれんな?』
そう言って。唇を笑みの形にした。
超絶美形はずるい。
微笑むだけで、ドキドキさせるから。
媚薬を使われて。無理矢理、こんな、ひどいことされてるっていうのに。
◆◇◆
ラグナルは、目を細めて。
『……”夏の国”へ向かう最中、ぎゅっとしがみつかれて。何度、こうしてやりたいと、思ったことか』
「ひ、あっ、あ、あぅ、」
力強い腰に、ズンズン突き上げられる。
……飛竜に、乗ってた時?
「ひゃぅ、」
同じように、前傾姿勢になって。角度がかわる。
深くまで。入ってくる。
『もし、そなたの相手がいたら。そやつの目の前で、めちゃくちゃに犯してやろうかと思った。飛竜の上で、そうしたかった』
耳元で囁かれる。
吐息は焼けるように熱い。その視線も。
『……そなたは、わたしの理性に感謝するべきだぞ?』
理性なんて。
今、こうやって。無理矢理、してるくせに。
王が望めば、できないことはない。拒めば、死罪ということも出来る。
だから。
俺には逆らえないだけで。
『……くっ、イチ。もう、わたしのものだ……っ!』
ぎゅっと抱き締められて。
……中。出されてる。
ラグナルの。……熱いのを感じて。
『イチ、……わたしの、可愛いイチ。……ずっと、共に、』
ああ。どうしよう。
俺、浮気者なんだ。
さっきまではあんなに、ウルジュワーンを恋しがっていたのに。
俺のことが欲しいって。こんなに必死になってるラグナルも。可愛いとすら、思ってしまった。
サイテーだ、俺。
◆◇◆
いや、サイテーなのはラグナルだよ。
常識で考えて。
だって。媚薬盛って、ゴーカンするってどうなのよ。
普通に犯罪者じゃん。相手は王様、この国の最高権力者なんだし。俺には逆らえないじゃん。
うん。俺は悪くない。ノットギルティ。
「も、いい加減、に、やめ、」
ラグナルの背中に爪を立ててやりたいけど。力が入んない。
何度したら気がすむんだよ。何回目だよ。
もう、明け方近いのに。
窓の外、うっすら明るいよ? 眠いんだよ。寝かしてくれよ。
寝たくても、ゆさゆさ揺すられて起こされるし。
たまにガンガン突いてくるし。
なんか、気がついたらラグナルの寝室? に移動してるし。
設計図っぽいのがあちこちに散らばってるから、ラグナルの寝室だよな、これ。
寝室まで運んだなら、そのまま寝ようよ。寝かせてくれよ!
俺も。……うん。楽しい。
ここに来てから。ラグナルは、それこそ魔法使いみたいに。
何だって、望んだものを作ってみせてくれた。
たまには失敗もして。その失敗を元に、もっとすごいものをって、研究してさ。
科学の話は、わくわくするし。メカやロボが嫌いな男の子なんていないよな。
楽しかった。本当に。
ウルジュワーンのこと。
一瞬でも、忘れそうになっちゃうのがこわいくらい。
◆◇◆
あれは。
実際にあったことのか、夢なのか。あやふやになりそうなんだ。
”夏の国”でのことは。もう、俺の記憶にしか残ってないんだから。
額に印はなくて。
身体にも、ウルジュワーンに愛された痕跡も残ってない。
だけど。夢だったことにして忘れたくはないんだ。
忘れたら。
みんな、嘘になっちゃう気がして。
俺の気持ちも。
『忘れてしまえ。今のことだけ考えれば良い』
ラグナル。
『……わたしとの結婚を。本気で考えてくれないか?』
真摯な瞳で。
告げられてしまった。
ラグナルのことは、嫌いじゃない。一緒にいると楽しいし。
でも。
『……無理にでも。今夜、そなたを抱く』
宣言するように。
ラグナルに、肩を引き寄せられてしまう。
『わたしを恨め。……そして、他の事はみな、忘れろ』
手を掴まれて。
熱い、と思ったら。
左手の甲に。赤い、三日月のような印がついていた。
これ、もしかして。
”春の国”の。妃の印……?
◆◇◆
「んう、」
ラグナルに抱き締められて。キスされてしまった。
「……ふ、だめ、だってば、」
こんなの、いけない。
俺には、好きな人がいるんだから。浮気はよくない。
抗おうとしても。力強い腕からは、逃げられない。
……あれ? くらくらする。
何で。
『飲み物に、媚薬を入れておいた』
……な、何考えてんだ。
力が入らない。身体の力が抜けていってしまう。
じゃあ。身体が熱くなってきたのも、媚薬のせいなのか?
『……これは、そなたの意思ではない。わたしの欲望を押し付けているだけだ』
そうだけど。
何で、そんな当たり前のことを言うんだよ。
服を脱がされて。
身体に、くちづけが落とされる。
ラグナルはテーブルの上にあった小さな瓶を取って。中からとろりとした液体を出した。
……これは?
視線に、ラグナルが答える。
『香油だ。そなたがわたしを受け入れる場所を慣らすのに使うものだ』
……自動人形。さっき、飲み物と一緒に持って来てたんだ。
最初から、こうするつもりで、俺をここに誘ったの?
◆◇◆
足の間に、指を這わされて。
反応してしまった俺のを擦られながら、指を入れられてしまう。
駄目なのに。
何で。
「ああっ、」
指で、そこを撫でられて。イっちゃった。
嘘だろ。
俺の身体、気持ちを裏切りすぎだ。
何で、反応しちゃうんだよ。
『媚薬のせいだ。イチ。……感じても、そなたの意思ではない』
ラグナルの声も手も、優しくて。
こんなの、ずるいよ。
「……っ、や、……駄目、それだけは、やめて、」
足を抱え上げられて。
熱いものが、あてがわれて。……入って来てしまう。ラグナルの。
『わたしはあの日。森の中で、頼りなげにわたしを見上げていたそなたに。……ひと目で恋をしたのだ』
だから、連れ去ったのだと。
愛おしそうに俺を見て。蕩けそうな、甘い表情で。
今、そういうこと言うの。ずるいと思う。
「や、あっ、あっ、あ、んっ、ひぁ、」
ラグナルの膝に乗せられて。
向かい合わせの形で、下から突き上げられてる。
「やぁ、……だめ、」
ラグナルは、俺の涙を舌で舐め取って。
『奥の方も、入口も。狭いな……まるで、初めてのようだ。身体の方も、無垢に戻っているのかもしれんな?』
そう言って。唇を笑みの形にした。
超絶美形はずるい。
微笑むだけで、ドキドキさせるから。
媚薬を使われて。無理矢理、こんな、ひどいことされてるっていうのに。
◆◇◆
ラグナルは、目を細めて。
『……”夏の国”へ向かう最中、ぎゅっとしがみつかれて。何度、こうしてやりたいと、思ったことか』
「ひ、あっ、あ、あぅ、」
力強い腰に、ズンズン突き上げられる。
……飛竜に、乗ってた時?
「ひゃぅ、」
同じように、前傾姿勢になって。角度がかわる。
深くまで。入ってくる。
『もし、そなたの相手がいたら。そやつの目の前で、めちゃくちゃに犯してやろうかと思った。飛竜の上で、そうしたかった』
耳元で囁かれる。
吐息は焼けるように熱い。その視線も。
『……そなたは、わたしの理性に感謝するべきだぞ?』
理性なんて。
今、こうやって。無理矢理、してるくせに。
王が望めば、できないことはない。拒めば、死罪ということも出来る。
だから。
俺には逆らえないだけで。
『……くっ、イチ。もう、わたしのものだ……っ!』
ぎゅっと抱き締められて。
……中。出されてる。
ラグナルの。……熱いのを感じて。
『イチ、……わたしの、可愛いイチ。……ずっと、共に、』
ああ。どうしよう。
俺、浮気者なんだ。
さっきまではあんなに、ウルジュワーンを恋しがっていたのに。
俺のことが欲しいって。こんなに必死になってるラグナルも。可愛いとすら、思ってしまった。
サイテーだ、俺。
◆◇◆
いや、サイテーなのはラグナルだよ。
常識で考えて。
だって。媚薬盛って、ゴーカンするってどうなのよ。
普通に犯罪者じゃん。相手は王様、この国の最高権力者なんだし。俺には逆らえないじゃん。
うん。俺は悪くない。ノットギルティ。
「も、いい加減、に、やめ、」
ラグナルの背中に爪を立ててやりたいけど。力が入んない。
何度したら気がすむんだよ。何回目だよ。
もう、明け方近いのに。
窓の外、うっすら明るいよ? 眠いんだよ。寝かしてくれよ。
寝たくても、ゆさゆさ揺すられて起こされるし。
たまにガンガン突いてくるし。
なんか、気がついたらラグナルの寝室? に移動してるし。
設計図っぽいのがあちこちに散らばってるから、ラグナルの寝室だよな、これ。
寝室まで運んだなら、そのまま寝ようよ。寝かせてくれよ!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
642
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる