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愛の力で覚醒とか、恥ずかしいです。

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四つん這いになり、腰を上げて。
香油をたっぷり使い、じっくり慣らされた場所に、テオが入ってくる。

「……っく、」

そもそも、そこはそういう用途に使われる臓器ではない。
挿入にはひどい違和感があったが。

「あ……っ!?」
奥まで押し入られると、全てが吹き飛ぶ。

脳髄が焼き切れるかと思うほどの快感。


「あ、……あっ、ん、く……っ、」
ズチュ、ズチュ、と音がするほど抜き差しされて。

こんな。恥ずかしく淫らな行為が。
どうして、泣きたいくらいに気持ち良くて、嬉しいのか。


それは、相手が。
他の誰でもない、テオだからだ。


◆◇◆


「……おまえが、俺の、ファーストキスも、初めても、みんな、持ってったんだから。……責任、取れよ?」

正直、泣きたかった。
男なんかに、ファーストキスを奪われたどころか、肌を重ねるはめになるなど、予想外すぎて。

だが。
相手がテオで良かったと、今では思う。


『な、何で今、そういうかわいいコト言うの!? ……っく、』
中に吐き出された。

熱いものが叩き付けられる感覚。

それが。
身体中に、広がって。満たされていく。


「ひぁっ、」
余韻に浸る暇もなく、引き抜かれて。

身体を引っくり返され、片足を肩に担ぎ上げられて。
正面から、一気に貫かれた。

「んんっ、」
出したばかりだというのに。もう、回復してる。

腹の中いっぱい、犯される。
腹の奥で、硬くて、長いものを感じて。知らず、締め付けてしまう。


圧し掛かってきている男は、形容しがたい表情をしていた。

泣き笑いのような。
嬉しいのか、悲しいのか。


『……初めて見たとき。怖い顔してさ、木の板を構えてた。あれ、ちっちゃい子たち逃がして、自分だけ残って。と、対峙しようとしたんだよね?』

ちっちゃい子と言うが、あれでも一応同級生なのだが。まあいい。
頷いてみせる。

『なのに、俺が助けを求めてるのを知って。理由も聞かずに、手を取ってくれた。……あの時から俺は、男前すぎる善正に、心底惚れちゃってたんだ』


◆◇◆


テオ。

ああ、そうだ。
思えば、差し出した手を取って。握り返された。

あの時に、俺は。
この男に。

心ごと、捕まってしまったのかもしれない。


テオはごめん、と言って。
『だから、倒れたとき、ほんとは血を飲ませれば手っ取り早かったのに。……抱いて、自分のものにしちゃった』

「!?」
何だと。

だが。
レオナルドも、ワルターも。代われとか、自分がもっと魔力が多ければ、とか言っていたが。


『そりゃ、好きな相手には、血を飲ませるより、こういうコト、したいじゃん?』
抱き締められて、キスをされる。

『口では、冷たいこと、言ったりするけど。案外世話焼きで。優しい君を。知れば知るほど、どんどん好きになってった。……抱きたくて、たまんなかった』
だからもう、少しでもチャンスがあれば抱くしかないじゃないか、とか言われても。


聞けば、魔王のしたように接触だけで充分な魔力を流し込む方法もあるというではないか。
そんな無粋な方法より、みんなこっちを選ぶに決まってるだろ? とか、男ってそういう生き物だろ? とか言われても。

そもそもの、この世界の男との倫理感の違いを感じるが。

呆れたものの。
怒る気になれないのは。


『善正。愛しているよ。俺の運命』
馬鹿なことばかり言う。

「……もう、いいから、動け」
キスを返して。

どうしようもなく馬鹿で、愛おしい男の、逞しい背中に手を回した。


◆◇◆


『……二人とも、パワーアップした感じなんだけど。何があったんだ?』
黒キツネに化けた魔王が、目をぱちくりさせている。

普段の姿だと、巨大すぎる魔力で威圧感を与えてしまうからだそうだ。
まだ女神の眠りが浅いとはいえ、完全に加護が消えたわけではないため、気付かれないよう力を抑えたという。

それと、この姿のほうが魔力の放出も少なく、消耗もほんの少しで済むらしい。
見た目も愛らしいし、良いのではないか。


黒キツネ魔王が、首に巻きついてきた。

「まあ色々。……いけそうか?」
魔王は俺とテオを見て、頷いた。

『ああ。これなら、充分勝算はある』
金色の目がきらめいた。


魔王は、同朋には手を出す気はないので、魔力提供だけの協力で申し訳ない、というが。
ガス欠を気にせず力を使えるのは、ありがたい。

「充分だ。感謝する、ウル」

『えへへ~、もっと撫でて~』
もふもふである。


『……妬かないのか?』
ワルターに肘打ちされ、テオは笑っている。

『大丈夫。もう、揺るがない気持ちを貰ったから』

……馬鹿め。
何をのろけているんだ。

『何の話をしているんです? 二人とも、私を置いてけぼりにしないで欲しいんですが!』
レオナルドが悔しそうに地団駄踏んでいる。

そこに国王がさらに首を突っ込んで、なにやら騒いでいる。


相変わらず仲良しだ。
テオの生まれがどうであれ、普段と全く変わらないように見える関係に、ほっとする。

愛おしい彼らを、この世界を。救いたいと思う。
その想いが、力になる。

もはや使われすぎて、陳腐ともいえる言い回しになるが。


愛は世界を救うのだ。
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