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第6話 妹に盛った話しをする姉
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よくよく考えればわかることだよな。
家の近所の小学4年生である、東堂優美ちゃん。その姉である同じ中学出身の東堂優乃。
そりゃ母親である東堂雫さんが俺とお姉さんを会ったことあるような言い方をするわけだ。
最近、ショックなことが起こっていたせいで、優美ちゃんの名字から察することができなかったな。普通に考えればわかることだったが。
「ええっと……。お姉ちゃんと京太お兄ちゃんは知り合いなの?」
ソファーに座る東堂優乃と、ダイニングテーブルに座る俺を見比べて優美ちゃんが首を捻る。
「クラスメイトだよ」
俺が答える。
「へぇ。そうだったんだ。世間は狭いね」
「あはは。そうだね」
優美ちゃんに微笑みながら立ち上がり、俺はソファーに座る東堂優乃の前に立つ。
「お前……。妹にリア充アピールしてるの?」
ビクッと反応を示すと。
「あへへはへは……」
独特の苦笑いを浮かべて、視線を逸らしていた。
「それで? 陽キャうぇーい族の長を従え、新たなるリアじゅー道に足を……。なに?」
「へっあへあは」
笑い方気持ち悪いけど、苦笑いも可愛いとかギャップがえぐいな。
「陽キャうぇーい族の長って誰? 従えたの?」
「ま、ま、ままままことに申し訳ござらぬ」
限界がきたみたいで、東堂優乃は頭を深く下げた。
謝り方も独特だな。これが高嶺の花だなんて笑わせてくれる。
「京太お兄ちゃん、京太お兄ちゃん」
クイクイと優美ちゃんが俺の制服の袖を引っ張る。
その顔を見て改めて見ると、東堂優乃とそっくりとわかる。
美人姉妹だな。
「お姉ちゃんって学校でどんな感じなの? 教えて、教えてー」
「どんな感じ……」
チラリと東堂優乃を見ると、目を見開いて俺になにかを伝えたそうにしていた。
それを見て全てを察してしまった俺は、鼻で笑ってしまう。
そんな俺の態度を見て東堂優乃は、「ガッデム」と勝手に絶望していた。
「優美ちゃんのお姉さんは学校では人気者で、友達も多いよ。ほら、優美ちゃんのお姉さんって美人さんだろ? みんなの憧れみたいな感じで学校じゃ中心人物なんだよ」
めちゃくちゃ盛って話をしてやる。
ちょっと盛り過ぎたかな。
「やっぱりそうなんだ。お姉ちゃんの言ってた通りだね」
おいおい。なんて思いながら東堂優乃を見ると、「あへあへ」と変な笑い方でひたすらに視線を逸らしていた。
「そんな人気者のお姉ちゃんと、京太お兄ちゃんは付き合わないの?」
「「!?」」
唐突な優美ちゃんの提案に俺と東堂優乃はビクッとなった。
「や、優美!? そ、そそそ、それは、恐るるに足らずなり!」
焦って意味不明な言葉を放つ東堂優乃。
その様子を見るのが面白いので見守ることにする。
「人気者のお姉ちゃんと、かっこよくて優しい京太お兄ちゃんはお似合いだよ?」
「そりゃ、わた、わたすは、美少女過ぎて崇められているレベルだげんども」
調子に乗るか、なまるかのどちらかにしてくれよ。
「でも……」
そこで、東堂優乃は俺をチラリと見ると複雑そうな顔をして言ってのける。
「枚方くんにはとっても可愛い彼女さんがいるから。付き合うなんてことできないよ」
その言葉を聞いて、なんとなく察していた事柄が繋がった。
やっぱり、東堂優乃は俺の噂を知らなかったらしい。
「え……。京太お兄ちゃん、彼女さんがいるの?」
少しショックを受けているかのような顔をしてくれる優美ちゃんへ俺は首を横に振る。
「いないよ。この前、振られちゃったんだ」
正確な別れの言葉はなかったけど、あれは破局と同義だろう。
こちらの言葉に優美ちゃんは珍しく怒った顔を見してくれる。
「京太お兄ちゃんを振るなんて、見る目のない彼女さんだったんだね。ゆうみなら絶対、京太お兄ちゃんを離さないよ」
「お世辞でもそう言ってくれると嬉しいよ。ありがとう優美ちゃん」
「お世辞じゃないのに」
拗ねた様子で言ってくる優美ちゃんの頭を撫でると、「えへへ」天使の微笑みをみしてくれた。
姉との笑い方に、えらく差のある笑みである。
「あ、あの……あの!?」
優美ちゃんへ、頭なでなでしていると、東堂優乃が勢い良く立ち上がり俺を見てくる。
その瞳は真剣そのものだった。
「枚方くん。その……。彼女さんと別れたってのは本当ですか?」
「あ、ああ。振られた……。うん。振られちゃったな」
「本当に振られたのですか?」
改めて聞かれて、俺は答えられずにいた。
すると、東堂優乃は俺の腕を掴んでくる。
「来てください」
「ちょ。どこ行くんだ?」
俺の質問には答えずに東堂優乃は優美ちゃんを見た。
「すみません優美。少し、枚方くんをお借りします」
「あ、う、うん」
妹の了承を得て、東堂優乃は俺を引いてリビングを出た。
家の近所の小学4年生である、東堂優美ちゃん。その姉である同じ中学出身の東堂優乃。
そりゃ母親である東堂雫さんが俺とお姉さんを会ったことあるような言い方をするわけだ。
最近、ショックなことが起こっていたせいで、優美ちゃんの名字から察することができなかったな。普通に考えればわかることだったが。
「ええっと……。お姉ちゃんと京太お兄ちゃんは知り合いなの?」
ソファーに座る東堂優乃と、ダイニングテーブルに座る俺を見比べて優美ちゃんが首を捻る。
「クラスメイトだよ」
俺が答える。
「へぇ。そうだったんだ。世間は狭いね」
「あはは。そうだね」
優美ちゃんに微笑みながら立ち上がり、俺はソファーに座る東堂優乃の前に立つ。
「お前……。妹にリア充アピールしてるの?」
ビクッと反応を示すと。
「あへへはへは……」
独特の苦笑いを浮かべて、視線を逸らしていた。
「それで? 陽キャうぇーい族の長を従え、新たなるリアじゅー道に足を……。なに?」
「へっあへあは」
笑い方気持ち悪いけど、苦笑いも可愛いとかギャップがえぐいな。
「陽キャうぇーい族の長って誰? 従えたの?」
「ま、ま、ままままことに申し訳ござらぬ」
限界がきたみたいで、東堂優乃は頭を深く下げた。
謝り方も独特だな。これが高嶺の花だなんて笑わせてくれる。
「京太お兄ちゃん、京太お兄ちゃん」
クイクイと優美ちゃんが俺の制服の袖を引っ張る。
その顔を見て改めて見ると、東堂優乃とそっくりとわかる。
美人姉妹だな。
「お姉ちゃんって学校でどんな感じなの? 教えて、教えてー」
「どんな感じ……」
チラリと東堂優乃を見ると、目を見開いて俺になにかを伝えたそうにしていた。
それを見て全てを察してしまった俺は、鼻で笑ってしまう。
そんな俺の態度を見て東堂優乃は、「ガッデム」と勝手に絶望していた。
「優美ちゃんのお姉さんは学校では人気者で、友達も多いよ。ほら、優美ちゃんのお姉さんって美人さんだろ? みんなの憧れみたいな感じで学校じゃ中心人物なんだよ」
めちゃくちゃ盛って話をしてやる。
ちょっと盛り過ぎたかな。
「やっぱりそうなんだ。お姉ちゃんの言ってた通りだね」
おいおい。なんて思いながら東堂優乃を見ると、「あへあへ」と変な笑い方でひたすらに視線を逸らしていた。
「そんな人気者のお姉ちゃんと、京太お兄ちゃんは付き合わないの?」
「「!?」」
唐突な優美ちゃんの提案に俺と東堂優乃はビクッとなった。
「や、優美!? そ、そそそ、それは、恐るるに足らずなり!」
焦って意味不明な言葉を放つ東堂優乃。
その様子を見るのが面白いので見守ることにする。
「人気者のお姉ちゃんと、かっこよくて優しい京太お兄ちゃんはお似合いだよ?」
「そりゃ、わた、わたすは、美少女過ぎて崇められているレベルだげんども」
調子に乗るか、なまるかのどちらかにしてくれよ。
「でも……」
そこで、東堂優乃は俺をチラリと見ると複雑そうな顔をして言ってのける。
「枚方くんにはとっても可愛い彼女さんがいるから。付き合うなんてことできないよ」
その言葉を聞いて、なんとなく察していた事柄が繋がった。
やっぱり、東堂優乃は俺の噂を知らなかったらしい。
「え……。京太お兄ちゃん、彼女さんがいるの?」
少しショックを受けているかのような顔をしてくれる優美ちゃんへ俺は首を横に振る。
「いないよ。この前、振られちゃったんだ」
正確な別れの言葉はなかったけど、あれは破局と同義だろう。
こちらの言葉に優美ちゃんは珍しく怒った顔を見してくれる。
「京太お兄ちゃんを振るなんて、見る目のない彼女さんだったんだね。ゆうみなら絶対、京太お兄ちゃんを離さないよ」
「お世辞でもそう言ってくれると嬉しいよ。ありがとう優美ちゃん」
「お世辞じゃないのに」
拗ねた様子で言ってくる優美ちゃんの頭を撫でると、「えへへ」天使の微笑みをみしてくれた。
姉との笑い方に、えらく差のある笑みである。
「あ、あの……あの!?」
優美ちゃんへ、頭なでなでしていると、東堂優乃が勢い良く立ち上がり俺を見てくる。
その瞳は真剣そのものだった。
「枚方くん。その……。彼女さんと別れたってのは本当ですか?」
「あ、ああ。振られた……。うん。振られちゃったな」
「本当に振られたのですか?」
改めて聞かれて、俺は答えられずにいた。
すると、東堂優乃は俺の腕を掴んでくる。
「来てください」
「ちょ。どこ行くんだ?」
俺の質問には答えずに東堂優乃は優美ちゃんを見た。
「すみません優美。少し、枚方くんをお借りします」
「あ、う、うん」
妹の了承を得て、東堂優乃は俺を引いてリビングを出た。
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