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奴隷とご主人様の新しい関係

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エリー=クローゼナイツ
レベル1
職業:奴隷 (イクス)
攻撃:0(+4)
魔力:0(+4)
防御:0(+4)
精神:0(+4)
素早:0(+4)
幸運:0(+4)

 次の日の朝、エリーの様子を見るためにステータスを確認したら、ステータスの補正値が上がっていた。
 何か特別なことをしたわけじゃないのに、いったいどうしたんだろうか。

 …………いや、したな特別なこと。
 しかも3回も。
 本当はもっとしたかったけど、ダンジョンから帰ってきたばかりで疲れてたからそれが限界だっただけで……いやそんなことはどうでもいい。

 とにかく、ちょうどステータスが+1から+4になってるから3増えていることになってて、回数もあっている。

 え、本当にそういうことなの?
 奴隷と主人ってそういう関係?

「ちょっと、どうしたのよ変な顔して」

 エリーがいつもの口調で尋ねてくる。

 今は部屋のテーブルで朝食をとっているところだ。
 宿屋には高級レストランも併設されているのだが、従業員に好奇の視線を向けられることをエリーが嫌がるので、室内で食べることにした。

 エリーも普段着に着替えている。
 いつも冒険者姿だったから、こういう普通の女の子っぽい服も新鮮でいいな。
 というか、めちゃくちゃ可愛い。

 服自体はどこにでも売っているものだが、エリーが着るだけでまるでドレスか何かのように錯覚してしまう。
 ついついその姿をじーっと凝視していたら、エリーが少し顔を赤くして自分の体を守るように抱きしめた。

「なにジロジロ見てんのよキモ……そんなに私のことを見つめてどうしたのですか」

 急に丁寧な口調になる。
 たぶんなにか暴言を吐こうとして、途中で強制的に口調を変えられたんだろう。

 エリーには「丁寧な口調で話すように」と命令してあるからな。
 奴隷は主人に絶対服従だ。
 一度命令したことは取り消さない限りいつまでも残り続けるんだろう。

 この辺の法則もだんだんわかってきたな。

「やっぱりエリーは可愛いなって思って」

「かわっ……そ、そうですか……。ありがとう、ございます……」

 こういうストレートな褒め言葉には慣れていないのか、エリーはすぐに恥ずかしがってしまう。
 まあ光の勇者だった頃のエリーは称賛されて当たり前だったし、面と向かって口説こうとする奴もいなかったからな。
 仮にいても1秒後には神聖魔法で吹き飛ばされていた。

 言われ慣れていないのも当然か。

「それはそうと、エリーのステータスが上がってるみたいなんだよ」

「そうなの?」

「もともと+1の補正がついていたんだが、それが+4になっている」

 それは割とすごいことなんだが、エリーは興味なさそうだった。

「ふーん。大したことないわね」

 ちなみにステータスが4になるには、レベルも4くらいが必要だ。
 最初の方はレベルが上がりやすいとはいえ、レベル1のエリーがレベル4相当のステータスを得ているっていうのは、普通に考えてとてもすごいことだ。

 レベルの概念をぶっ壊している。
 ある意味革命的な出来事だと思うのだが。

「ま、ほとんど誤差みたいなものだけど、ないよりはマシってところね」

 やっぱり興味はないらしい。
 まあつい昨日まではレベル1万もあった人だからな。

「でもいったいどうしてかしら」

「ステータスなんて何か特別なことをしないと上がるわけない。で、俺たちは昨日しただろ。特別なことを」

「………………。確かに、した、けど……」

 エリーも俺の言いたいことに気がついたらしい。
 顔が耳まで赤くなっている。
 うぶで可愛いなあ。一生愛でていたい。

「でも、そんなの聞いたことないわよ……。その、そういうことをするとステータスが上がる、なんて……」

「俺も聞いたことはないが、ちょうど昨日した回数と、ステータスの上昇値が同じだろ。偶然ってのも考えにくい」

「言われてみれば、そうかもしれないけど……」

「もちろん俺の仮説だ。だから本当かどうか試してみよう」

「試す?」

「もう一度してみて、またステータスが上がるかを確認すればいい」

「……!」

 エリーが赤い顔のまま俺をにらみつけた。

「昨日あれだけしたじゃない……! なのにまだするの……!?」

「本当はもっとしたかったんだけど、疲れてたからな」

 というかこんな可愛い子と一緒に寝られるんだぞ。
 100万回したって足りないくらいだ。

「そ、それに、こんな朝から、そんなこと……」

 まあ確かにちょっとただれた生活感はあるかもしれない。
 でもそれもまたいいというか。

 俺はベッドのそばまで歩き、エリーを振り返る。

「ほら、どうする」

 来い、とか、おいで、とか言うと命令になってしまう。
 だからエリーの意思を尋ねるような言葉にする。

 エリーは赤い顔のまま俺を見たり、すぐに下を向いたりと、迷っているみたいだったが、やがてゆっくりと口を開く。

「………………………………………………………………………………………………………………………………………………はい、わかりました」

 そういってゆっくりと俺に近づいてくる。
 まるで俺に無理やり従わされたかのように見えるが、エリーが奴隷の力で強制的に口調を変えられたときは「はい、ご主人様」と答える。
 そうじゃないということは、これはエリーが自分の意思で言った言葉ということだ。

 やがて俺の目の前まできてピタリと立ち止まる。
 そこが限界のようだった。

「まったく、エリーは素直じゃないな」

「どっ、どういう、意味でしょうか」

「それはエリー自身が一番よくわかっているだろう」

「……いえ、なんのことでしょうか……」

「素直じゃない奴隷にはお仕置きが必要だな」

「えっ、それは、どういう……」

「お仕置きだから、乱暴になってしまうかもしれないなあ」

「え……」

「エリーは優しくされるのが好きだもんな」

「~~~ッ! そ、そういうわけでは……」

「だったら素直になることだ。エリーはお仕置きが必要な悪い子なのか?」

「………………ちが、います……」

「なら素直にならないとな。自分の気持ちに正直になるだけだ。難しいことじゃないだろ」

 さらに長いこと黙っていたが、やがて俺の体にギュッとしがみついてきた。

「……アタシを抱いてください……」

 せめてもの抵抗に顔を俺の体に押し当てて隠してるところなんかが最高に可愛い。
 俺はそんなエリーの頭を撫でてやった。

「よしよし。やっぱりエリーは可愛いなあ」

「~~~~~~~~~~~~~~ッッッ!!!!!!!」

 ギューッとしがみつく力が強くなる。
 抗議のつもりなのかもしれないが、レベル差がありすぎるから全然痛くない。
 むしろ柔らかい二つのものが押し当てられてうれしいというか……。

 あ、もうダメだ。我慢できない。

「……あっ」

 エリーに抱きつかれたまま、俺はベッドの上に倒れる。
 そのまま俺たちは昼の情事に溺れることになった。
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