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12話
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(どうして!
どうして、どうしてイベントが発生しないの!
ずっと我慢してこの孤児院での清貧な生活を受け入れているのに、何故、イベントが発生しないの!
ラルフがお忍びで視察した際に、子供達に囲まれて讃美歌を歌っている私に一目惚れして、私の出自を調べるのでは無かったの?
なのに何故、王太子ラルフは私の目の前に出現しないの!
おかしいわ。
こんな展開、有り得ない。
だって、リリアンヌがラルフと出会わないと「貴方に心ときめいて」の物語が始まらない。
この世界は「貴方に心ときめいて」を忠実に再現した世界。
私の生い立ちもゲームと同じくブレる事は無かった。
なのに何故……)
16歳の誕生部がとうに過ぎ、ラルフとの出会いも無いまま時が残酷に過ぎていく。
このままではリリアンヌは未来の王妃候補と言うあらすじからかけ離れた未来を歩む事になる。
リリアンヌの背中に冷たい汗が滲む。
(じゃあ何、私はこのまま孤児院でずっと過ごす様になるの?
ううん、違う。
この世界で16歳と言えば、成人したも同然。
院長先生がいくらお人好しでだと言っても、成人した私の食い扶持までは運営費から出せないでしょう。
ギリギリ、ううん、孤児院の運営が僅かな寄付と仕立て屋の繕い物やら、細々とした刺繍やレース作りやら、そんな事で賄っていて、全然に足りて無いから、負債が嵩んでいる筈。
それに年々孤児が増えて、運営は火の車よ。
だって孤児院の経営状態をどうしかして欲しい、助けて欲しいとリリアンヌがラルフに涙ながらに訴えるシーンで親密度が上がっていくのだから。
リリアンヌの汚れ無い優しい心根にラルフが骨抜きにされるんだから。
そんな状態の孤児院に私がずっと居れる訳ないでしょう。
然るべき先に奉公に行くか、それとも……)
頭に過った展開に顔を蒼白させる。
ゲームのヒロインだけあってかなりの美少女である。
そして愛らしい美貌で有りながらも、かなりの巨乳の持ち主だ。
言葉は悪いが、世の男達が涎を出す程エロ可愛い。
成長期に身長は伸びず、メキメキと胸だけが成長して、どれだけ痛い思いをしたか。
流石にこの世界のヒロインなので、この世界の摂理で護られているのか、危ない展開は何時も未遂で終わるが。
ハッキリ言っていい迷惑である。
この美貌とエロい身体の所為で散々な目にあってきた。
だけど16際になれば王太子ラルフと出会い、自分の出自が世間に明るみになって、子爵家からの使者が私を迎えに来る展開になっていた。
ラルフが私の身の上を哀れと思い、心尽くす事になっているのに。
(ああ、ラルフ。
何故、貴方はこの孤児院に視察に来ないの?
一体、ラルフの身に何が起こっているの?)
もしこのままラルフが来ないのなら、リリアンヌ自ら動かないといけない。
多少強引であろうが、どんな手段に訴えてでも強制的に物語を展開させないといけない。
そうでもしないとリリアンヌはこの世界のヒロインでは無く、ただのこの世界の住人として生を終える事になる。
(でもそうなるとおかしい。
違和感を感じるのは気の所為かしら……)
だってここが本当に「貴方に心ときめいて」の世界なら必ずヒロインは存在する。
リリアンヌである私が今までの生き方が「貴方に心ときめいて」のヒロインの物語に沿っているから。
嫌な予感がする。
もし私の考えがあっているのなら……。
「貴方に心ときめいて」のヒロインが途中ですり替わっている。
ヒロインがリリアンヌでは無く、「誰か」か判らない素性の女に。
そうなっている可能性が高い。
(あ、あり得ない!
そんなの絶対にあり得ない。
だけどそれしか考えられない……)
一体誰がこの世界のヒロインになっているの?
どうしてそんな現象が起きているの?
(駄目よ、リリアンヌ……。
絶対に駄目!
物語を軌道修正しないと絶対に駄目。
こんなのおかし過ぎる。
リリアンヌがヒロインでは無い「貴方に心ときめいて」なんて、絶対にあっては駄目!
何の為にこの世界に転生したと思うの?
この世界でヒロインとなって、選り取り見取りの男達を側に侍ら架して、甘々に溺愛されて逆ハーなピンクの世界で生きる為でしょう!
この世界の男達は全て私の為だけに存在するんだから。
それがヒロインであるリリアンヌの、最大の特権では無いの!)
ああ、嫌。
絶対に許せない。
こんな事は絶対にあっては駄目なんだから。
どうしたらいいの?
ねえ、この世界の創造主。
聞こえているのなら私に啓示を与えて頂戴!
この世界のヒロインは私なんだから。
早くリリアンヌの物語が展開する様に軌道修正して!
どうして、どうしてイベントが発生しないの!
ずっと我慢してこの孤児院での清貧な生活を受け入れているのに、何故、イベントが発生しないの!
ラルフがお忍びで視察した際に、子供達に囲まれて讃美歌を歌っている私に一目惚れして、私の出自を調べるのでは無かったの?
なのに何故、王太子ラルフは私の目の前に出現しないの!
おかしいわ。
こんな展開、有り得ない。
だって、リリアンヌがラルフと出会わないと「貴方に心ときめいて」の物語が始まらない。
この世界は「貴方に心ときめいて」を忠実に再現した世界。
私の生い立ちもゲームと同じくブレる事は無かった。
なのに何故……)
16歳の誕生部がとうに過ぎ、ラルフとの出会いも無いまま時が残酷に過ぎていく。
このままではリリアンヌは未来の王妃候補と言うあらすじからかけ離れた未来を歩む事になる。
リリアンヌの背中に冷たい汗が滲む。
(じゃあ何、私はこのまま孤児院でずっと過ごす様になるの?
ううん、違う。
この世界で16歳と言えば、成人したも同然。
院長先生がいくらお人好しでだと言っても、成人した私の食い扶持までは運営費から出せないでしょう。
ギリギリ、ううん、孤児院の運営が僅かな寄付と仕立て屋の繕い物やら、細々とした刺繍やレース作りやら、そんな事で賄っていて、全然に足りて無いから、負債が嵩んでいる筈。
それに年々孤児が増えて、運営は火の車よ。
だって孤児院の経営状態をどうしかして欲しい、助けて欲しいとリリアンヌがラルフに涙ながらに訴えるシーンで親密度が上がっていくのだから。
リリアンヌの汚れ無い優しい心根にラルフが骨抜きにされるんだから。
そんな状態の孤児院に私がずっと居れる訳ないでしょう。
然るべき先に奉公に行くか、それとも……)
頭に過った展開に顔を蒼白させる。
ゲームのヒロインだけあってかなりの美少女である。
そして愛らしい美貌で有りながらも、かなりの巨乳の持ち主だ。
言葉は悪いが、世の男達が涎を出す程エロ可愛い。
成長期に身長は伸びず、メキメキと胸だけが成長して、どれだけ痛い思いをしたか。
流石にこの世界のヒロインなので、この世界の摂理で護られているのか、危ない展開は何時も未遂で終わるが。
ハッキリ言っていい迷惑である。
この美貌とエロい身体の所為で散々な目にあってきた。
だけど16際になれば王太子ラルフと出会い、自分の出自が世間に明るみになって、子爵家からの使者が私を迎えに来る展開になっていた。
ラルフが私の身の上を哀れと思い、心尽くす事になっているのに。
(ああ、ラルフ。
何故、貴方はこの孤児院に視察に来ないの?
一体、ラルフの身に何が起こっているの?)
もしこのままラルフが来ないのなら、リリアンヌ自ら動かないといけない。
多少強引であろうが、どんな手段に訴えてでも強制的に物語を展開させないといけない。
そうでもしないとリリアンヌはこの世界のヒロインでは無く、ただのこの世界の住人として生を終える事になる。
(でもそうなるとおかしい。
違和感を感じるのは気の所為かしら……)
だってここが本当に「貴方に心ときめいて」の世界なら必ずヒロインは存在する。
リリアンヌである私が今までの生き方が「貴方に心ときめいて」のヒロインの物語に沿っているから。
嫌な予感がする。
もし私の考えがあっているのなら……。
「貴方に心ときめいて」のヒロインが途中ですり替わっている。
ヒロインがリリアンヌでは無く、「誰か」か判らない素性の女に。
そうなっている可能性が高い。
(あ、あり得ない!
そんなの絶対にあり得ない。
だけどそれしか考えられない……)
一体誰がこの世界のヒロインになっているの?
どうしてそんな現象が起きているの?
(駄目よ、リリアンヌ……。
絶対に駄目!
物語を軌道修正しないと絶対に駄目。
こんなのおかし過ぎる。
リリアンヌがヒロインでは無い「貴方に心ときめいて」なんて、絶対にあっては駄目!
何の為にこの世界に転生したと思うの?
この世界でヒロインとなって、選り取り見取りの男達を側に侍ら架して、甘々に溺愛されて逆ハーなピンクの世界で生きる為でしょう!
この世界の男達は全て私の為だけに存在するんだから。
それがヒロインであるリリアンヌの、最大の特権では無いの!)
ああ、嫌。
絶対に許せない。
こんな事は絶対にあっては駄目なんだから。
どうしたらいいの?
ねえ、この世界の創造主。
聞こえているのなら私に啓示を与えて頂戴!
この世界のヒロインは私なんだから。
早くリリアンヌの物語が展開する様に軌道修正して!
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