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第二十八話 編入
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第二十八話 編入
統合の布告が、王都に掲げられた。
広場に立つ布告板の前には、人々が集まっている。
だが怒号はない。
混乱もない。
ざわめきはあるが、恐慌ではない。
「名称は当面、併記とする」
「行政機構は維持」
「税制は段階的調整」
難しい言葉は少ない。
だが意味は重い。
王国は、正式にハライトの管理下へ編入された。
王城では、新たな旗が掲げられる。
旧王家の紋章の横に、灰色の岩を象った紋章。
元王は玉座の間で、最後の儀礼を終えた。
王冠は外される。
だが剥奪ではない。
引き渡し。
「民を、頼む」
その言葉に、ヴィエリチカは深く礼を返した。
「お預かりいたします」
征服ではない。
処刑もない。
静かな編入。
市場では、商人たちが顔を見合わせる。
「税は変わるのか」
「すぐには変わらぬらしい」
塩は変わらず積まれている。
白い袋。
岩塩の塊。
王宮では、精製された塩が再び料理に使われる。
だが納入書の発行元は、すでにハライト。
元王太子は城の一角から、広場を見下ろす。
歓声はない。
暴動もない。
「静かだな」
側近が答える。
「塩があるからでございましょう」
彼は小さく笑う。
「塩は、国より強いのかもしれぬな」
北方。
ヴィエリチカは新たな行政報告に目を通す。
「王都の治安、安定」
「はい」
「塩価格、変動なし」
彼女は頷く。
「急激に変えてはなりません」
側近が問う。
「これで、終わりでございますか」
ヴィエリチカは穏やかに微笑む。
「終わりではございませんわ」
岩は削られる。
精製される。
そして形を変える。
王国は消えた。
だが民は残る。
塩は今日も白い。
国境線が動いても、食卓の味は変わらない。
それが、編入の現実だった。
統合の布告が、王都に掲げられた。
広場に立つ布告板の前には、人々が集まっている。
だが怒号はない。
混乱もない。
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「行政機構は維持」
「税制は段階的調整」
難しい言葉は少ない。
だが意味は重い。
王国は、正式にハライトの管理下へ編入された。
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引き渡し。
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征服ではない。
処刑もない。
静かな編入。
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「すぐには変わらぬらしい」
塩は変わらず積まれている。
白い袋。
岩塩の塊。
王宮では、精製された塩が再び料理に使われる。
だが納入書の発行元は、すでにハライト。
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歓声はない。
暴動もない。
「静かだな」
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「塩があるからでございましょう」
彼は小さく笑う。
「塩は、国より強いのかもしれぬな」
北方。
ヴィエリチカは新たな行政報告に目を通す。
「王都の治安、安定」
「はい」
「塩価格、変動なし」
彼女は頷く。
「急激に変えてはなりません」
側近が問う。
「これで、終わりでございますか」
ヴィエリチカは穏やかに微笑む。
「終わりではございませんわ」
岩は削られる。
精製される。
そして形を変える。
王国は消えた。
だが民は残る。
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それが、編入の現実だった。
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