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しおりを挟むあまりに早いお戻りに疑問が過ぎりながらも、気持ちは逸りお迎えに向かう足は急ぐ。
「はぁ、はぁ」
正門手前の広間に着いて、呼吸を整え周りを見渡すと、すでにアリーヤ様や多くの人達が集まっていた。 そこには、険しい顔をしたフェリクス様の姿も。
私は両手を胸で組み、これがどうか誤報でないようにと願い待つ。
「………」
その時間はとても長く感じて、
「――っ!」
先頭のマリウス様が見えた瞬間、駆け足で時間が動き出したようだった。
「マリウス様っ!」
大歓声の中、私も声を上げて駆け寄る。 アリーヤ様もみんなも、目を輝かせて生還した仲間を迎えている。 ……と、いうのに――、
「……マリウス、様?」
凱旋したマリウス様や兵達は、私達に応える素振りもなく呆然と立ち尽くしている。
「ど、どうされたのですか?」
何か悪い知らせでもあるのかと、不安そうに私が聞く。 でも、こうして戻ってきたのに何が? と思いながら。
「――ッ!?」
首を傾げる私を突然抱き上げ、兵達に振り返ってマリウス様は叫んだ。
「――我々はテオリカンから最強の援軍を得たッ! 私の妻、ヴァレリアは勝利の女神だッ!!」
マリウス様の言葉に応じて、兵達が空も割れんばかりの咆哮を上げる。
「な、なにが……?」
事態をまったく把握できないまま、ただ私は戸惑うばかり。
「見ろヴァレリア!」
見る? 見るって……何を?
「我々は誰一人欠けてない、全員で戻ってきた!」
「――えっ?」
全員……ということは、
「戦闘は無かった……のですか?」
「あった! あったが全員だッ!」
どっ、どういうことだろう?
戦闘はあって、デオシス軍と戦った……のに、全員無事? そんなこと……。
「さあドミトリノ王国の勇者達よ! 今宵はゆっくり戦の泥を落とし、―――明日はヴァレリアの生誕を大いに祝おうッ!!」
「あります……か? そんな……」
異様なまでの高まりを見せるマリウス様達に事情はまだ聞けそうにない。
とにかく私は、信じられないことだけれど、あの日見送った全ての人達と再会を果たした。
「………」
抱きかかえられながら、視界の端に映ったフェリクス様が見えた。 まるで幻を見ているように唖然とした顔をしている。
無理もない。 これはどう考えても有り得ない、奇跡の再会なのだから―――。
◇◆◇◆
何だ……どういうことだ?
全滅するはずのドミトリノ軍がこんなに早く帰還? 考えられん、それも一人の戦死者も無しだと?
「そんなことは……」
―――馬鹿げている……ッ!
「……とにかく今夜、ガイタ殿に事の真相を聞いてみなければ……」
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