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第544話 なかなかの結束力
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「父さま達がこっちに来るって!」
アミナスは核に向かう途中にノアから届いたメッセージを見て飛び上がって喜ぶと、そんなアミナスにノエルが笑顔で言った。
「アミナス、父さまだけじゃないよ。母さま達も来るみたい」
「ほんとう!? やったぁ! おじいちゃんも来る!?」
「来ると思います。旦那様は全員を地下に招集したようですから。ほら」
レオがキリから届いたメッセージを見せると、その場に居た全員の視線が妖精王に集まる。
「いよいよのようだな。ルーク、地上ではどうなっている?」
カイが持ち歩いているモニターに問いかけると、ルークが神妙な顔をして答えた。
『ドラゴン達が飛び回って兵士や騎士をゲートに押し込んでる。多分、誰かに言われたんだと思う』
『他の所もだ! ほら!』
「へぇ、どれ?」
そう言ってルークの隣から割り込んできたのはライアンだ。
ライアンはレヴィウス城が写っているモニターを掲げて見せてくれる。そこにはたしかにルークとライアンの言う通り、荒れ狂う空にドンとスキピオ達が飛び回り、逃げ惑う兵士たちをゲートに鼻先で押し込んでいる。
最後の一人だと思われる兵士がゲートをくぐり抜けた途端、レインボー隊は縮んで元の状態に戻ってしまった。それをドンがいそいそと回収してスキピオが背負っているカゴに放り込んでいる。
どうやらこれで完全に地上の生物達はレプリカへの移動を終えたようだ。
「乱暴ねぇ。誰がこんな可哀想な指示を出したの? ノアちゃん?」
頬に手を当てながら思わず観測者が呟くと、背筋に何か冷たい物が流れ落ちた。
「失礼な。これはアリスだよ、多分ね」
「こんな事をドン達にさせるのはお嬢様しか居ません」
「ひぇぁ!? い、いつ来たのよ!」
観測者が驚いて振り返るとそこには笑顔のノアと無表情のキリが立っている。
「父さま! キリも!」
「アミナス、ただいま。ちゃんと皆の言う事聞いてるの?」
「聞いてる!」
自信満々に答えたアミナスの後からぬっとカイが寄ってきた。
「お嬢様が俺たちの言う事を聞いた試しなど今までに一度もありません、旦那様」
「そうです。先程などお漏らしをして大変だったのです」
「そ、それは言っちゃダメな奴!!!」
シレっとアミナスが思いついた作戦をチクったレオの口を塞ごうとした所でアミナスの体が浮いた。
「アミナス? どういう事? お手洗いに間に合わなかったの? そんな訳ないよね? もう赤ちゃんじゃないんだから」
「……」
ニコッと笑ったノアが何よりも怖いアミナスはノアに抱き上げられながら縦揺れをする。
「で、誰か説明してくれる?」
そう言ってノアが見渡すと、皆がそっと視線をそむけた。
「ノエルもレオもカイもレックスも教えてくれないの?」
「後でお嬢様の報復があるので、俺は言いたくありません。最初に告げ口をした兄さんがどうぞ」
「ズルいですよ、カイ。それに告げ口ではありません。真実です」
「ぼ、僕はその……もうちゃんと叱ったから止めとこうかなって」
「ふぅん? レックスは?」
「僕? アミナス、言ってもいい?」
ノアにじっと見られたレックスがアミナスに問いかけると、アミナスは青ざめて首を横に振る。
「言ったらダメ! もう皆に怒られたし反省もしたもん! 言ったらレックスの事大嫌いになっちゃうから!」
「嫌いになる? それじゃあ言わない。僕はアミナスに嫌われたくない」
真顔でそんな事を言うレックスをしばらくノアはじっと見ていたかと思うと、突然声を出して笑い出した。
「なかなかの結束力だ! なるほど。じゃあもう何も聞かないでおこう。アミナス、何があったのか知らないけど、二度としないように。ね?」
「うん、分かってる」
「ん、良い子。で、皆どこへ向かってるの? ディノの部屋に居ろって僕、言わなかったっけ?」
アミナスを下ろしてもう一度皆を見渡したノアがニコッとすると、それを見て妖精王が視線を伏せた。
「そなた達が先程見せてくれた水晶があっただろう?」
「ああ、うん。一つは回収してここにあるよ。もう一つはアメリアに既に手をつけられた後だった」
リュックから大きな水晶を取り出して見せたノアに観測者が息を呑んでいる。
「一つだけでも回収されてて良かったわ……2つともやられてたら本気で危ないわ」
「うむ。ノア、でかしたぞ」
「? 何が何だか分からないんだけど、とりあえず説明してくれる?」
「ああ、歩きながら話そう。こうしている間にも次元が流れ出ている」
そう言って表情を引き締めた妖精王を見て、ノアは振り返ってキリと頷きあって歩きだす。その後から子どもたちも神妙な顔をしてついてきた。
アミナスは核に向かう途中にノアから届いたメッセージを見て飛び上がって喜ぶと、そんなアミナスにノエルが笑顔で言った。
「アミナス、父さまだけじゃないよ。母さま達も来るみたい」
「ほんとう!? やったぁ! おじいちゃんも来る!?」
「来ると思います。旦那様は全員を地下に招集したようですから。ほら」
レオがキリから届いたメッセージを見せると、その場に居た全員の視線が妖精王に集まる。
「いよいよのようだな。ルーク、地上ではどうなっている?」
カイが持ち歩いているモニターに問いかけると、ルークが神妙な顔をして答えた。
『ドラゴン達が飛び回って兵士や騎士をゲートに押し込んでる。多分、誰かに言われたんだと思う』
『他の所もだ! ほら!』
「へぇ、どれ?」
そう言ってルークの隣から割り込んできたのはライアンだ。
ライアンはレヴィウス城が写っているモニターを掲げて見せてくれる。そこにはたしかにルークとライアンの言う通り、荒れ狂う空にドンとスキピオ達が飛び回り、逃げ惑う兵士たちをゲートに鼻先で押し込んでいる。
最後の一人だと思われる兵士がゲートをくぐり抜けた途端、レインボー隊は縮んで元の状態に戻ってしまった。それをドンがいそいそと回収してスキピオが背負っているカゴに放り込んでいる。
どうやらこれで完全に地上の生物達はレプリカへの移動を終えたようだ。
「乱暴ねぇ。誰がこんな可哀想な指示を出したの? ノアちゃん?」
頬に手を当てながら思わず観測者が呟くと、背筋に何か冷たい物が流れ落ちた。
「失礼な。これはアリスだよ、多分ね」
「こんな事をドン達にさせるのはお嬢様しか居ません」
「ひぇぁ!? い、いつ来たのよ!」
観測者が驚いて振り返るとそこには笑顔のノアと無表情のキリが立っている。
「父さま! キリも!」
「アミナス、ただいま。ちゃんと皆の言う事聞いてるの?」
「聞いてる!」
自信満々に答えたアミナスの後からぬっとカイが寄ってきた。
「お嬢様が俺たちの言う事を聞いた試しなど今までに一度もありません、旦那様」
「そうです。先程などお漏らしをして大変だったのです」
「そ、それは言っちゃダメな奴!!!」
シレっとアミナスが思いついた作戦をチクったレオの口を塞ごうとした所でアミナスの体が浮いた。
「アミナス? どういう事? お手洗いに間に合わなかったの? そんな訳ないよね? もう赤ちゃんじゃないんだから」
「……」
ニコッと笑ったノアが何よりも怖いアミナスはノアに抱き上げられながら縦揺れをする。
「で、誰か説明してくれる?」
そう言ってノアが見渡すと、皆がそっと視線をそむけた。
「ノエルもレオもカイもレックスも教えてくれないの?」
「後でお嬢様の報復があるので、俺は言いたくありません。最初に告げ口をした兄さんがどうぞ」
「ズルいですよ、カイ。それに告げ口ではありません。真実です」
「ぼ、僕はその……もうちゃんと叱ったから止めとこうかなって」
「ふぅん? レックスは?」
「僕? アミナス、言ってもいい?」
ノアにじっと見られたレックスがアミナスに問いかけると、アミナスは青ざめて首を横に振る。
「言ったらダメ! もう皆に怒られたし反省もしたもん! 言ったらレックスの事大嫌いになっちゃうから!」
「嫌いになる? それじゃあ言わない。僕はアミナスに嫌われたくない」
真顔でそんな事を言うレックスをしばらくノアはじっと見ていたかと思うと、突然声を出して笑い出した。
「なかなかの結束力だ! なるほど。じゃあもう何も聞かないでおこう。アミナス、何があったのか知らないけど、二度としないように。ね?」
「うん、分かってる」
「ん、良い子。で、皆どこへ向かってるの? ディノの部屋に居ろって僕、言わなかったっけ?」
アミナスを下ろしてもう一度皆を見渡したノアがニコッとすると、それを見て妖精王が視線を伏せた。
「そなた達が先程見せてくれた水晶があっただろう?」
「ああ、うん。一つは回収してここにあるよ。もう一つはアメリアに既に手をつけられた後だった」
リュックから大きな水晶を取り出して見せたノアに観測者が息を呑んでいる。
「一つだけでも回収されてて良かったわ……2つともやられてたら本気で危ないわ」
「うむ。ノア、でかしたぞ」
「? 何が何だか分からないんだけど、とりあえず説明してくれる?」
「ああ、歩きながら話そう。こうしている間にも次元が流れ出ている」
そう言って表情を引き締めた妖精王を見て、ノアは振り返ってキリと頷きあって歩きだす。その後から子どもたちも神妙な顔をしてついてきた。
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