683 / 746
第681話
しおりを挟む
「今度こそ、死んだかと思った」
ノアは仰向けに転がって目を覆った。ノアの腰にはまだキリが張り付いていて、同じように大きなため息を落としている。
「……あんな最後嫌だよ」
リアンはそう言ってこちらに向かって意気揚々とドンの背中から手を振るアリスを見てぼそりと言う。今しがた目の前で起こった事が目に焼き付いて離れない。
「……っす」
「キャロライン、引きつってるな」
「そりゃな。キャロラインからしたらマジでパンツしか見えなかったんじゃね?」
アリスが無事にムササビ化して少しでも空気抵抗を遅らせた事で、ドンは間一髪アリスの回収に間に合った。
けれどそのムササビ化していた間、アリスは下着を丸出しで空から落ちてきたのだ。
「あっは! いや、ごめん! でもちょっと待って! うん、生きてるからこそ笑えるんだけど、あの子、滅茶苦茶じゃない!?」
「ニコラ、人の不幸を笑ってはいけないよ。三発目が来るかもしれない。ひとまず皆、ここを離れよう」
そう言いながらもアンソニーも笑いを堪えるのに必死だった。アリスほど生きることに執着している者もいない。簡単に死んでたまるかという迫力は、時折圧倒さ
れそうだ。
アンソニーが立ち上がろうとしたその時、突然足元がボコリと沈下した。それに続いて頭上から声が聞こえてくる。
「遅れてすまぬ! あの光は直線にしか動けない。しばしその中にいろ!」
「さっきのパンツはアリスだったのか。よくやるな。あいつだけ羞恥心が進化してないんじゃないか?」
「妖精王! オズも! 遅いよ!」
リアンが穴の中から叫ぶと、二人はゆっくりと降りてきた。
「なんだ、ノアはどうした?」
妖精王が仰向けに倒れたまま動かないノアを見下ろすと、ノアはようやく顔を隠していた腕をどけた。
その顔を見て妖精王は「ひっ!」と声を上げてノアから一歩距離を取る。
ノアはゆらりと立ち上がると、ボソリと低い声で言った。
「殺してやる……あいつ、ぶち殺してやる……」
アリスに何かあったらどうしようかと常々考えているが、今回ばかりは本気で駄目だと思った。もしもアリスに何かあったらノアの臨界点もついに突破してしまう。
ノアは魔力を集中させておもむろに目の前に居た妖精王の手を掴んだ。
そして言う。
「ちょっと力貸して、妖精王」
「は!? いや、お前何をする――!?」
言い終える前に妖精王にノアの魔力が一気に流れ込んできた。それは歯止めが利かず、妖精王は堪らずそれを開放する。
すると、目の前に大きな、それは大きな水の壁が出来上がったではないか。
「ほら、早く撃って」
「は!?」
「早く!」
「ひいっ!」
妖精王は完全に目が据わっているノアに言われるがまま、その壁を前方に押しやった。すると、水の壁はどんどん勢いを増して真っ直ぐにアメリアの方に向かって高さを保ったまま進んでいく。
「思ったんだよね。あれさ、古代妖精。残ってるのは大地の妖精でしょ? 要は土塊だよ。水には多少は弱いんじゃないかなぁ?」
「だ、だからと言ってそなた……我に一体何をしたのだ!」
「錫杖みたいにしただけだよ。自分の魔力を変換して放つ。それだけ」
「お、お前……」
妖精王を錫杖と同じように使うなど聞いた事だがない! 妖精王が愕然としてノアを見ると、ノアはやはりまだ目が据わっている。
そんなノアを見てリアンがまだドンの上に居るアリスに叫んだ。
「アリスー! 変態が壊れそう! 早く戻ってきてやって!」
「えー!? 叩いたら治るよぅ!」
「嫌だよ! いいから早く下りて来い!」
リアンはそう言ってアリスを呼びつけると、キリのリュックから「もがけば首落ち~る君」を取り出し、ノアがいつ暴れ出しても良いように待つ。
「な、何してんすか? リー君」
「一応ね。念のため」
リアン達がそんな事をしている間にも、金の光は幾度となく頭上を通り過ぎた。
しばらくしてようやくアリスが戻り、ドンはまた雲の上へ戻っていく。
「お待たせ! ふぃ~間一髪だった!」
アリスがおでこの汗を拭う振りをすると、一足先に降りてきていたキャロラインがアリスに飛びかかってくる。
「アリス! あなたはどうしていつもあんな無茶ばかりするの! あんな……あんな……下着姿で空を飛ぶなんて……」
言いながらキャロラインは何故か涙が溢れてきた。これは一体どういう涙なのかもう意味が分からない。ホッとしたのかゾッとしたのかギョッとしたのか、自分でも理解不能だ。
そんなキャロラインの胸にアリスはグリグリとおでこをこするつけてきた。
「ご、ごめんなさい。でも必死だったんですよ! ドレス着てて良かったって今日ほど思った事無かったです! 今日のドレス全然破れなくて最初焦ったけど、結果そのおかげで助かったから良し!」
いつものアリスならドレスなど真っ先に破り捨てるが、今日の戦闘用ドレスは、何故か全く破れなかった。一体どんな布で出来ているのか!
そんな謎を解決してくれたのはキリだ。
「それはお嬢様特別仕様ドレスです。エントマハンターが血反吐を吐きながら駆けずり回って集めてくれた蜘蛛の糸をゴブリンが泣きながら紡ぎ、レプラコーンが本職ではない! と悲鳴を挙げながら織った物なのなのです。いつもドレスを破かれてしまうので苦肉の策でしたが、よもやこんな使い道があったとは思いませんでした」
「……要は阿鼻叫喚ドレスって事?」
リアンが言うと、隣からオリバーが肘で小突いてくる。
「何か物凄いドレスって事はよく分かったっす」
「で、兄さまは……あ、自分の世界に入っちゃってる」
肝心のノアはどうしたのだと思ってチラリとノアを見ると、ノアはアリスが下りてきた事にも気づかないぐらい怖い顔をして何やら呟いている。
ああいう時のノアは怖いから近づかないに限る! アリスはそっとノアから距離を取って次のゴーサインが出るまで穴の隅っこで剣を磨くことにした。
「妖精王、お前はしばらくこいつらとここに隠れてろよ」
オズワルドが言うと妖精王は首を傾げるが、ふと自分はアメリアに倒されたという設定だった事を思い出して頷く。
「アメリアが賢者の石を使って我らと同じように神になろうとしている事は分かったが、賢者の石でそんな事が出来ると思うか?」
「どうだろうな。俺も賢者の石に詳しい訳じゃない。観測者、あんたなら分かるか?」
オズワルドが端っこの方で無言でブルブル震えている観測者に問いかけると、それを聞いて声を上げたのは観測者ではなくてシャルルだった。
「観測者さん!? いつの間に!」
「居たわよ! ずーっと居たわよ! 何よ、あの凶暴な光!」
仲間たちが使った金色の光はあんなにもキラキラして美しかったのに、アメリアの光は強烈な光で突き刺すかのような凶暴さを持っていた。やはり錫杖は人間が安易に使う物ではない。
「ついでに言うと、賢者の石で神になんてなれないわよ。ただ……近いものにはなれるかもね。何せあれは叡智の塊だから」
何を以てして神と呼ぶのか、その定義は曖昧だ。観測者の言葉に仲間たちは何とも言えない顔をして頷く。
そんな中、ノアだけは未だにブツブツと何か呟いている。
「な、なぁアリスは戻ったのにノアがまだ怖いのだが!」
「王子! 皆見て見ぬふりしてるんだから気づかなくていいんだよ!」
「し、しかしだな!」
ルイスがリアンに言い返そうとしたその時、それまでブツブツ言っていたノアが、ハッとして顔を上げた。
そんなノアを見てシャルが口の端を上げる。
「何か思いつきましたか?」
「うん、もしかしたら……シャル、ちょっと」
ノアはシャルを呼んで今しがた思いついた作戦を話した。こういう時、自分と同じような思考を積んだシャルを作っておいて本当に良かったと思う。
ノアの作戦を聞き終えたシャルは、目を皿のようにしてノアを見つめ、次の瞬間顔を輝かせた。
「それですよノア! アメリアを根絶するには、それしかありません!」
「そう思う?」
「ええ! ですが、その前に古代妖精だけは助けてやらなければ。大地が世界から無くなるのは流石に困ります」
「そうだね。でも、それさえクリアすれば、あるいは――」
「おい、何か思いついたのか?」
穴の隅っこでコソコソと話し込むノアとシャルにカインが近寄ると、二人して真顔で頷いてくる。
「うん。もうこれしか無いかもしれない。その為にはカイン、ルードさんに早く次の作戦に移って欲しいって連絡してくれる?」
「それは構わないけど、今の状況じゃどのみち兄貴が何かしたとしてもすぐにあの錫杖にやられるぞ?」
ルードがこの後何をしようとしているのかは分からないが、先程の光を何発も打たれたらどのみち反撃など出来ずに皆、消滅してしまう。
「それは分かってる。だからさ、まずは錫杖の力を一時的に停めてもらう。オズ!」
「なんだよ」
「一時的にあの錫杖の力を弱める事って出来る?」
「一時的でいいのか? まぁ出来ない事はないだろうが、タイミングが難しいな。まずは古代妖精をどうにかしない事には、何も出来ない」
ノアの質問にオズワルドは腕を組んで考え込んだ。元々最終的には錫杖にオズワルドの力をぶつけて無効化するつもりだったが、どうやらノアは何か新しい作戦を思いついたようだ。
「ノア、そなた、何をする気だ?」
怪訝に思った妖精王がノアに尋ねると、ノアはいつものようにニコッと笑って言った。
「本物の神の力を見せてあげようと思って」
と。その笑顔はいつもよりもずっと闇深かった。
ノアは仰向けに転がって目を覆った。ノアの腰にはまだキリが張り付いていて、同じように大きなため息を落としている。
「……あんな最後嫌だよ」
リアンはそう言ってこちらに向かって意気揚々とドンの背中から手を振るアリスを見てぼそりと言う。今しがた目の前で起こった事が目に焼き付いて離れない。
「……っす」
「キャロライン、引きつってるな」
「そりゃな。キャロラインからしたらマジでパンツしか見えなかったんじゃね?」
アリスが無事にムササビ化して少しでも空気抵抗を遅らせた事で、ドンは間一髪アリスの回収に間に合った。
けれどそのムササビ化していた間、アリスは下着を丸出しで空から落ちてきたのだ。
「あっは! いや、ごめん! でもちょっと待って! うん、生きてるからこそ笑えるんだけど、あの子、滅茶苦茶じゃない!?」
「ニコラ、人の不幸を笑ってはいけないよ。三発目が来るかもしれない。ひとまず皆、ここを離れよう」
そう言いながらもアンソニーも笑いを堪えるのに必死だった。アリスほど生きることに執着している者もいない。簡単に死んでたまるかという迫力は、時折圧倒さ
れそうだ。
アンソニーが立ち上がろうとしたその時、突然足元がボコリと沈下した。それに続いて頭上から声が聞こえてくる。
「遅れてすまぬ! あの光は直線にしか動けない。しばしその中にいろ!」
「さっきのパンツはアリスだったのか。よくやるな。あいつだけ羞恥心が進化してないんじゃないか?」
「妖精王! オズも! 遅いよ!」
リアンが穴の中から叫ぶと、二人はゆっくりと降りてきた。
「なんだ、ノアはどうした?」
妖精王が仰向けに倒れたまま動かないノアを見下ろすと、ノアはようやく顔を隠していた腕をどけた。
その顔を見て妖精王は「ひっ!」と声を上げてノアから一歩距離を取る。
ノアはゆらりと立ち上がると、ボソリと低い声で言った。
「殺してやる……あいつ、ぶち殺してやる……」
アリスに何かあったらどうしようかと常々考えているが、今回ばかりは本気で駄目だと思った。もしもアリスに何かあったらノアの臨界点もついに突破してしまう。
ノアは魔力を集中させておもむろに目の前に居た妖精王の手を掴んだ。
そして言う。
「ちょっと力貸して、妖精王」
「は!? いや、お前何をする――!?」
言い終える前に妖精王にノアの魔力が一気に流れ込んできた。それは歯止めが利かず、妖精王は堪らずそれを開放する。
すると、目の前に大きな、それは大きな水の壁が出来上がったではないか。
「ほら、早く撃って」
「は!?」
「早く!」
「ひいっ!」
妖精王は完全に目が据わっているノアに言われるがまま、その壁を前方に押しやった。すると、水の壁はどんどん勢いを増して真っ直ぐにアメリアの方に向かって高さを保ったまま進んでいく。
「思ったんだよね。あれさ、古代妖精。残ってるのは大地の妖精でしょ? 要は土塊だよ。水には多少は弱いんじゃないかなぁ?」
「だ、だからと言ってそなた……我に一体何をしたのだ!」
「錫杖みたいにしただけだよ。自分の魔力を変換して放つ。それだけ」
「お、お前……」
妖精王を錫杖と同じように使うなど聞いた事だがない! 妖精王が愕然としてノアを見ると、ノアはやはりまだ目が据わっている。
そんなノアを見てリアンがまだドンの上に居るアリスに叫んだ。
「アリスー! 変態が壊れそう! 早く戻ってきてやって!」
「えー!? 叩いたら治るよぅ!」
「嫌だよ! いいから早く下りて来い!」
リアンはそう言ってアリスを呼びつけると、キリのリュックから「もがけば首落ち~る君」を取り出し、ノアがいつ暴れ出しても良いように待つ。
「な、何してんすか? リー君」
「一応ね。念のため」
リアン達がそんな事をしている間にも、金の光は幾度となく頭上を通り過ぎた。
しばらくしてようやくアリスが戻り、ドンはまた雲の上へ戻っていく。
「お待たせ! ふぃ~間一髪だった!」
アリスがおでこの汗を拭う振りをすると、一足先に降りてきていたキャロラインがアリスに飛びかかってくる。
「アリス! あなたはどうしていつもあんな無茶ばかりするの! あんな……あんな……下着姿で空を飛ぶなんて……」
言いながらキャロラインは何故か涙が溢れてきた。これは一体どういう涙なのかもう意味が分からない。ホッとしたのかゾッとしたのかギョッとしたのか、自分でも理解不能だ。
そんなキャロラインの胸にアリスはグリグリとおでこをこするつけてきた。
「ご、ごめんなさい。でも必死だったんですよ! ドレス着てて良かったって今日ほど思った事無かったです! 今日のドレス全然破れなくて最初焦ったけど、結果そのおかげで助かったから良し!」
いつものアリスならドレスなど真っ先に破り捨てるが、今日の戦闘用ドレスは、何故か全く破れなかった。一体どんな布で出来ているのか!
そんな謎を解決してくれたのはキリだ。
「それはお嬢様特別仕様ドレスです。エントマハンターが血反吐を吐きながら駆けずり回って集めてくれた蜘蛛の糸をゴブリンが泣きながら紡ぎ、レプラコーンが本職ではない! と悲鳴を挙げながら織った物なのなのです。いつもドレスを破かれてしまうので苦肉の策でしたが、よもやこんな使い道があったとは思いませんでした」
「……要は阿鼻叫喚ドレスって事?」
リアンが言うと、隣からオリバーが肘で小突いてくる。
「何か物凄いドレスって事はよく分かったっす」
「で、兄さまは……あ、自分の世界に入っちゃってる」
肝心のノアはどうしたのだと思ってチラリとノアを見ると、ノアはアリスが下りてきた事にも気づかないぐらい怖い顔をして何やら呟いている。
ああいう時のノアは怖いから近づかないに限る! アリスはそっとノアから距離を取って次のゴーサインが出るまで穴の隅っこで剣を磨くことにした。
「妖精王、お前はしばらくこいつらとここに隠れてろよ」
オズワルドが言うと妖精王は首を傾げるが、ふと自分はアメリアに倒されたという設定だった事を思い出して頷く。
「アメリアが賢者の石を使って我らと同じように神になろうとしている事は分かったが、賢者の石でそんな事が出来ると思うか?」
「どうだろうな。俺も賢者の石に詳しい訳じゃない。観測者、あんたなら分かるか?」
オズワルドが端っこの方で無言でブルブル震えている観測者に問いかけると、それを聞いて声を上げたのは観測者ではなくてシャルルだった。
「観測者さん!? いつの間に!」
「居たわよ! ずーっと居たわよ! 何よ、あの凶暴な光!」
仲間たちが使った金色の光はあんなにもキラキラして美しかったのに、アメリアの光は強烈な光で突き刺すかのような凶暴さを持っていた。やはり錫杖は人間が安易に使う物ではない。
「ついでに言うと、賢者の石で神になんてなれないわよ。ただ……近いものにはなれるかもね。何せあれは叡智の塊だから」
何を以てして神と呼ぶのか、その定義は曖昧だ。観測者の言葉に仲間たちは何とも言えない顔をして頷く。
そんな中、ノアだけは未だにブツブツと何か呟いている。
「な、なぁアリスは戻ったのにノアがまだ怖いのだが!」
「王子! 皆見て見ぬふりしてるんだから気づかなくていいんだよ!」
「し、しかしだな!」
ルイスがリアンに言い返そうとしたその時、それまでブツブツ言っていたノアが、ハッとして顔を上げた。
そんなノアを見てシャルが口の端を上げる。
「何か思いつきましたか?」
「うん、もしかしたら……シャル、ちょっと」
ノアはシャルを呼んで今しがた思いついた作戦を話した。こういう時、自分と同じような思考を積んだシャルを作っておいて本当に良かったと思う。
ノアの作戦を聞き終えたシャルは、目を皿のようにしてノアを見つめ、次の瞬間顔を輝かせた。
「それですよノア! アメリアを根絶するには、それしかありません!」
「そう思う?」
「ええ! ですが、その前に古代妖精だけは助けてやらなければ。大地が世界から無くなるのは流石に困ります」
「そうだね。でも、それさえクリアすれば、あるいは――」
「おい、何か思いついたのか?」
穴の隅っこでコソコソと話し込むノアとシャルにカインが近寄ると、二人して真顔で頷いてくる。
「うん。もうこれしか無いかもしれない。その為にはカイン、ルードさんに早く次の作戦に移って欲しいって連絡してくれる?」
「それは構わないけど、今の状況じゃどのみち兄貴が何かしたとしてもすぐにあの錫杖にやられるぞ?」
ルードがこの後何をしようとしているのかは分からないが、先程の光を何発も打たれたらどのみち反撃など出来ずに皆、消滅してしまう。
「それは分かってる。だからさ、まずは錫杖の力を一時的に停めてもらう。オズ!」
「なんだよ」
「一時的にあの錫杖の力を弱める事って出来る?」
「一時的でいいのか? まぁ出来ない事はないだろうが、タイミングが難しいな。まずは古代妖精をどうにかしない事には、何も出来ない」
ノアの質問にオズワルドは腕を組んで考え込んだ。元々最終的には錫杖にオズワルドの力をぶつけて無効化するつもりだったが、どうやらノアは何か新しい作戦を思いついたようだ。
「ノア、そなた、何をする気だ?」
怪訝に思った妖精王がノアに尋ねると、ノアはいつものようにニコッと笑って言った。
「本物の神の力を見せてあげようと思って」
と。その笑顔はいつもよりもずっと闇深かった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
120
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる