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王道学園
過去の記憶
しおりを挟む「ねぇねえおなまえ、なあに~?
ぼくのことはね~なっちゃんってよんでね~」
「おれはあおきかける」
「ふふっじゃああっきぃだね~」
「あっきぃ?」
「そう!あっきぃ」
小さい可愛らしさが残ったあの子がこっちをみて俺に変なあだ名をつけた頃だよな
あん時はガチで女の子かと思ったもんな
「ねぇねぇあっ『なっちゃーん、こっちきて!!』
「なあに~?」
表情がくるくる変わるなっちゃんは俺と違って沢山の人が集まってくる
それもこれも俺が無表情でいたせいでもあるんだけどそれが俺の生きてきた中でのデフォルトだった
両親から愛されてなかったわけでは無いけど海外を飛び回っている人たちだから会う回数が圧倒的に少なかった
使用人たちとも仲は悪くなかったけど気を許せる人はいなかった
それに相まって元々表情筋が固かったのもあるかも
そんな生活を送っているところに突然目の前に現れて何重にもかけて俺の心を守っていた扉をズカズカ遠慮なく本人は無意気に土足で踏み込んできて迫ってきたのはなっちゃんが初めてだった
嬉しかったのと同時にくすぐったい気持ちになったのも初めてで戸惑うことも多かった
そうやって俺が心を開き始めた時その事件は起こった
出逢った頃から6年くらい経った小学5年の時
「あっきぃー!上手く抜け出せた?」
「じゃなきゃここにいない」
「それもそうだね~!じゃ行こっか~!」
まだ自分の身も守れない子供が護衛もつけずに遊ぶなんてあのときの自分を今でも殴りたくなる
「今日は久しぶりにあそこ行こ~!」
「なっちゃん、ちょっと速い」
「ごめん、でも早くみてもらいたいんだ~」
「そんな急がなくても」
「やだよ!早く行くの~」
「はいはい」
口下手な俺にもこんな調子でなっちゃんには感謝していた
その日の前日は天気が悪かった
足場も悪く人通りも少ないところを抜けていく先にある場所
初めてなっちゃんと出逢った場所でもある
あと少し、のところでその異変に気付いた
前から数人のガタイのいいニヤニヤ顔の男たち
逃げようと後ろを振り返ると完全に囲まれていた
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