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「文科系は全滅だったな」
「だねぇ。んでも、運動系もダメだったじゃん」
「そうなんだよねー。どこにするんだろ……」
そんな会話も、もっともだった。華道部や茶道部でも、その前のバレー部や水泳部でも同様に、「心打たれる~」と言ったフレーズが出てきたのだった。
カラテやジュードーといった武道系も今や世界に広く普及した、いわば「スポーツ」である。
「メィリオ、もうこの学園に心打たれるようなクラブはないのかしら?」
名前を呼ばれ、エミィの三歩後ろにつかず離れず歩いていた彼は脇に抱えた資料をあたふたとめくり始めた。
「え~……っと……
後はですね、同好会だけの様です。」
ここで言う同好会とは、人数や予算、活動の内容によって学園からは部活動としては認められていない、いわば小規模なクラブ活動の事である。
「えーっと、まずは『野鳥友の会』、いわばバードウォッチングをするところのようです。電鉄の会やオカルト研究会、漫画研究会に囲碁倶楽部、色々とあるようですがあまりお勧めできるようなところは……」
「そうですか……ジャパンで忘れられない思い出になるような、そんな学園生活を夢見て、海を渡ってきたのですが……」
この入学式の挨拶から数時間、それまでカラッと晴れた太陽のように天真爛漫な笑顔を振りまいていた彼女が、暗雲による陰りを隠せずにいた。
「エミィちゃん、私とバレー部でガンバろうよ」
「いやいや、俺が野球部に入るから!
マネージャーとして甲子園に行こう、ね?」
などなど、周囲は口々にエミィに部活を勧めるが、初めて見せる湿気を帯びた表情、特にそれまで明るかった常盤色の瞳が暗さを見せ始めると、皆は動揺していく。
これに対して、声は聞こえているが姿は見えない前方に気を引かれながらも、ワキミズは窓の外を眺めている。
「あ~あ、エミィちゃんと一緒に部活が出来たらよかったんだけどなぁ……
まぁ、オレの体力と身長じゃあ、運動部は無理だろうし、かといって文系もどうかなぁ……
ん? なんだアレは……?」
ワキミズの宙空を泳いでいた視線の先、学園の敷地内には違いないのだろうが、校舎の裏に何かがあった。
「あれは~……竹?
なぁ、アレは?」
後ろから聞こえてきたこの声に、新入生の集団は窓の外を見てみる。結構な広さに竹林が続いており、よくみると白い煙のようなものが中から上がってきていた。
エミィもこれをじっと見つめ、
「メィリオ、あれは?」
手元の資料と学園の施設案内図を見比べる黒服。
「アレは、この学園に古くからある竹林でして、中には日本家屋、ジャパンの建築物があるようです。なんでも『江戸文化作法研究会』という古い同好会の様なものがあるそうですが……」
メィリオの報告に、取り巻きの学生の一人が口を挟む。
「あ、それって『サムライ部』のこと?
先輩に聞いたことあるけど、アナログな、ふるーい事をやってるところで学園の生徒はみんな、関わり合いになりたくないらしいよ。
まぁ、なんでそんなに嫌われてるかは分かんないけど……」
――エー?
――ナニソレ?
――マジ?
口々に疑問符を掲げる一同。
「サムライ部……?
ワケわからんけど、時代劇でも撮るのか?」
ワキミズもこれをいぶかしんで話を聞いていたが、エミィはこれに目を輝かせていた。
「イイデスネェ!
行ってみましょう!
サムライですよ!
ニンジャですよ!
セップクです!」
「せ、切腹?
何を言い出してるんだこの人は……」
「だねぇ。んでも、運動系もダメだったじゃん」
「そうなんだよねー。どこにするんだろ……」
そんな会話も、もっともだった。華道部や茶道部でも、その前のバレー部や水泳部でも同様に、「心打たれる~」と言ったフレーズが出てきたのだった。
カラテやジュードーといった武道系も今や世界に広く普及した、いわば「スポーツ」である。
「メィリオ、もうこの学園に心打たれるようなクラブはないのかしら?」
名前を呼ばれ、エミィの三歩後ろにつかず離れず歩いていた彼は脇に抱えた資料をあたふたとめくり始めた。
「え~……っと……
後はですね、同好会だけの様です。」
ここで言う同好会とは、人数や予算、活動の内容によって学園からは部活動としては認められていない、いわば小規模なクラブ活動の事である。
「えーっと、まずは『野鳥友の会』、いわばバードウォッチングをするところのようです。電鉄の会やオカルト研究会、漫画研究会に囲碁倶楽部、色々とあるようですがあまりお勧めできるようなところは……」
「そうですか……ジャパンで忘れられない思い出になるような、そんな学園生活を夢見て、海を渡ってきたのですが……」
この入学式の挨拶から数時間、それまでカラッと晴れた太陽のように天真爛漫な笑顔を振りまいていた彼女が、暗雲による陰りを隠せずにいた。
「エミィちゃん、私とバレー部でガンバろうよ」
「いやいや、俺が野球部に入るから!
マネージャーとして甲子園に行こう、ね?」
などなど、周囲は口々にエミィに部活を勧めるが、初めて見せる湿気を帯びた表情、特にそれまで明るかった常盤色の瞳が暗さを見せ始めると、皆は動揺していく。
これに対して、声は聞こえているが姿は見えない前方に気を引かれながらも、ワキミズは窓の外を眺めている。
「あ~あ、エミィちゃんと一緒に部活が出来たらよかったんだけどなぁ……
まぁ、オレの体力と身長じゃあ、運動部は無理だろうし、かといって文系もどうかなぁ……
ん? なんだアレは……?」
ワキミズの宙空を泳いでいた視線の先、学園の敷地内には違いないのだろうが、校舎の裏に何かがあった。
「あれは~……竹?
なぁ、アレは?」
後ろから聞こえてきたこの声に、新入生の集団は窓の外を見てみる。結構な広さに竹林が続いており、よくみると白い煙のようなものが中から上がってきていた。
エミィもこれをじっと見つめ、
「メィリオ、あれは?」
手元の資料と学園の施設案内図を見比べる黒服。
「アレは、この学園に古くからある竹林でして、中には日本家屋、ジャパンの建築物があるようです。なんでも『江戸文化作法研究会』という古い同好会の様なものがあるそうですが……」
メィリオの報告に、取り巻きの学生の一人が口を挟む。
「あ、それって『サムライ部』のこと?
先輩に聞いたことあるけど、アナログな、ふるーい事をやってるところで学園の生徒はみんな、関わり合いになりたくないらしいよ。
まぁ、なんでそんなに嫌われてるかは分かんないけど……」
――エー?
――ナニソレ?
――マジ?
口々に疑問符を掲げる一同。
「サムライ部……?
ワケわからんけど、時代劇でも撮るのか?」
ワキミズもこれをいぶかしんで話を聞いていたが、エミィはこれに目を輝かせていた。
「イイデスネェ!
行ってみましょう!
サムライですよ!
ニンジャですよ!
セップクです!」
「せ、切腹?
何を言い出してるんだこの人は……」
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