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毒華の裁定
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その日、王城に攻め入った革命軍は、夕刻には三々五々に帰っていった。
今までの腐敗貴族の館攻めの様に、高揚感に受かれてもおらず、そのポケットに戦利品の膨らみもない。
だが、全員が成し遂げたという達成感と、これからの生活に希望を持っている顔つきだった。
ある者は馬を駆り、己の任務地へ急いぎ、またある者は顔見知りの者達と酒場へ繰り出して、王国の未来に乾杯した。
それまで誇らしげに飾っていた戦利品を埋めてしまった者、元あった場所に置きにいく者、物置の奥深くにしまい込む者もいた。
王国の姫に問われたのだ。
『貴殿方は無法者なのかしら?それとも、きちんと法を守れる立派な人達なのかしら?』と。
そして
『今日、ここに王国の姫たる私が、貴殿方の罪を赦します。それが無辜の人間の命と女性の尊厳を踏みにじる事、そして子供の未来を閉ざす事でなかったなら、この決起に関する貴殿方の全ての行為を肯定し、罪には問いません。全ては貴殿方の心と神の御心のままに生きなさい。全ての罪は貴殿方を追い詰め、絶望させた国の責任。腐敗した貴族と、諌められなかった王家の怠慢によるものです。罪深きは私達ですわ』
「おいおい、まさかそんなので誤魔化されたんじゃねぇだろうな!?」
「馬鹿言え!」
赤ら顔の男は酒焼けした声で揶揄った男を怒鳴り付けた。
「一緒に決起もしなかった野郎に言われたくねぇ!」
「いや、でもよ……下手すりゃお前、死刑になっちまうからさ……」
「……よぉし!あの場に居なかった間抜け共に、この俺様が教えてやろうじゃねえか。耳かっぽじって、ありがたく拝聴しやがれ!!」
今までの腐敗貴族の館攻めの様に、高揚感に受かれてもおらず、そのポケットに戦利品の膨らみもない。
だが、全員が成し遂げたという達成感と、これからの生活に希望を持っている顔つきだった。
ある者は馬を駆り、己の任務地へ急いぎ、またある者は顔見知りの者達と酒場へ繰り出して、王国の未来に乾杯した。
それまで誇らしげに飾っていた戦利品を埋めてしまった者、元あった場所に置きにいく者、物置の奥深くにしまい込む者もいた。
王国の姫に問われたのだ。
『貴殿方は無法者なのかしら?それとも、きちんと法を守れる立派な人達なのかしら?』と。
そして
『今日、ここに王国の姫たる私が、貴殿方の罪を赦します。それが無辜の人間の命と女性の尊厳を踏みにじる事、そして子供の未来を閉ざす事でなかったなら、この決起に関する貴殿方の全ての行為を肯定し、罪には問いません。全ては貴殿方の心と神の御心のままに生きなさい。全ての罪は貴殿方を追い詰め、絶望させた国の責任。腐敗した貴族と、諌められなかった王家の怠慢によるものです。罪深きは私達ですわ』
「おいおい、まさかそんなので誤魔化されたんじゃねぇだろうな!?」
「馬鹿言え!」
赤ら顔の男は酒焼けした声で揶揄った男を怒鳴り付けた。
「一緒に決起もしなかった野郎に言われたくねぇ!」
「いや、でもよ……下手すりゃお前、死刑になっちまうからさ……」
「……よぉし!あの場に居なかった間抜け共に、この俺様が教えてやろうじゃねえか。耳かっぽじって、ありがたく拝聴しやがれ!!」
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