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1月ー1
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1年後の1月。
「しっかし、混んでるなァ。
つーか寒っ!
早く帰ってお前のオセチつまみてぇわ」
「だったら初詣とか誘うなよ。
どうせ本営の子達と行きまくるだろ?」
本営とは、本命の彼女と信じ込ませた営業。
最近はずっとNo.1をキープしてる巧は、プライベートも忙しい。
「それだよ!
今年は外せないのが多くてスケ管理が大変なんだわ。
ま、でも!お前と初詣行かなきゃ1年が始まんねんだよ」
巧とは毎年必ず初詣に行ってた。
結歌や友美と付き合ってた時も、日にちをずらして例外なく。
親父が死んでから始まった事で……
巧なりに、家族のつもりで誘ってくれてんだと思う。
「1年が始まらない、か……」
フッと笑って、1月の本を思い浮かべた。
*
*
*
《お年玉代わりに、メッセージ本を贈ります。
明けましておめでとうございます!
さっそくこの本の事ですが、これは同タイトルの歌を絵本にしたものです。
この名歌は知ってますか?
なんと、私の1番好きな歌なのです!
なんだか勇気や希望が湧いて来て、1年の始まりにふさわしい歌詞だと思いませんかっ?
まだ真っさらな新しい1年に、私達のラブソングを刻んでこーね!》
ちょっとした行動とか、サンタ演出とか、お年玉とか……
どこか子供扱いな気もするけど。
そんな楽しさのスパイスは、日々を更に鮮やかにしてくれてた。
「これヤバい、かなりグッとくる」
始まりを歌ったその絵本に入り込む。
「でしょでしょっ?
私の心のバイブルなのっ。
その歌もよく口ずさんでたなぁ~。
あっ」
「じゃあ歌ってくれる?俺、知らないんだ」
「今そーくると思いました……」
そう言って渋々歌い始めたキミの歌声は、美声って訳じゃないけど。
チラチラ俺に視線を向けながら楽しそうに歌う姿は、例えようもないくらい可愛いくて……
ひとり悶絶。
当然、歌い終わった後は……
腕の中に閉じ込めて、キスの嵐。
「っっ……
も、道哉っ、しつこいよっ?」
「ひどい事ゆーなよ、これでもセーブしてんのに」
「だって……
早く道哉のおせち食べたいもんっ」
「色気より食い気かよっ。
けど俺も、結歌のスイーツおせち食べたい」
年末、私も作る!って言い出して、スイーツおせちを手掛けた結歌。
オーブンの取り合いとか、作業テーブルの陣地争いとかで盛り上がったり。
たまに、いやけっこう頻繁に摘み食いするキミに……
吹き出したり、キスして阻止したり。
その空間は笑顔で溢れてて、その時間は鮮やかで楽し過ぎた。
巧ん家の分まで用意してくれて。
受け取った巧は、お前ら最強コンビだな!って大喜びしてた。
キミはイカコンビです!って、楽しそうにはしゃいでて……
今回の最強元イカコンビを、未来の日常にしたくなった。
"この道で何らかのトップを目指す"
その夢をキミの夢と重ねて……
2人で最高のカフェを実現したいと思った。
「じゃーん!見て見てっ?
イチゴの紅白ショートでしょ~?
で、きんとん風モンブラン。
黒豆と抹茶のムースに~…」
と、1つずつ紹介していく結歌。
「すごいな、おせち料理に見立てたんだ?」
「そうでーす!道哉のはっ?
1コずつ紹介して下さいっ」
「えーと、左上から鶏とアスパラのロトロ、牛モモ肉のタリアータ、ポルチーニとほうれん草のパルミジャーノフリッタータ……」
俺も順に紹介していくと、感嘆の声が降り掛かる。
そして、箸を伸ばしたキミは……
「ん~っ、美味しっ!
さっすが道哉!あ~幸せっ」
イタリアの正月料理で欠かせない、コテキーノとレンズ豆の煮込みを口にして、ほっこりとした笑顔を浮かべた。
「でもまだまだだよ。
店じゃやっと調理に関わり始めたばっかだし。
このおせちもさ、店長にレシピ聞いたり見よう見真似だし」
「え、だったら余計すごいよっ!
天性っ?才能!?
包丁使いも鮮やかだったしね~」
「……そんなんじゃないよ。
巧と住んでた時はメシ係だったから、鍛えられたんだよ」
小3から炊事してた事も理由も、隠したい訳じゃない。
だけどやっぱり、新年早々楽しさに水を差したくなかった。
「結歌、これ絶品。
えと、伊達巻き風チーズロールと、昆布巻き風コーヒーブラウニー?」
「ほんとっ?
えっへん!未来のパティシエールですからっ。
それより、その好みだとティラミスも好き?」
「うん、1番好き」
毎年誕生日に買ってくれてたワンカットのティラミスは、親父の大好物で……
それは俺の大好物にもなって、1年に1度の楽しみだった。
「腹一杯になったし、初詣でも行きますかっ」
「あっ、じゃあ食後の運動に、手ぇ繋いで歩いて行こっ?」
「この寒いのに?」
「そう!この寒いのにっ。
楽しい発見が出来るかもしれませんよっ?」
結歌らしくて、それだけで心があったまる。
キミの隣ならずっと……
鮮やかで、楽しくて、あったかいと思った。
神社で手を合わせて……
改めて、キミと2人でカフェがしたい。
そんな未来への道が始まるように祈った。
*
*
*
「しっかし、混んでるなァ。
つーか寒っ!
早く帰ってお前のオセチつまみてぇわ」
「だったら初詣とか誘うなよ。
どうせ本営の子達と行きまくるだろ?」
本営とは、本命の彼女と信じ込ませた営業。
最近はずっとNo.1をキープしてる巧は、プライベートも忙しい。
「それだよ!
今年は外せないのが多くてスケ管理が大変なんだわ。
ま、でも!お前と初詣行かなきゃ1年が始まんねんだよ」
巧とは毎年必ず初詣に行ってた。
結歌や友美と付き合ってた時も、日にちをずらして例外なく。
親父が死んでから始まった事で……
巧なりに、家族のつもりで誘ってくれてんだと思う。
「1年が始まらない、か……」
フッと笑って、1月の本を思い浮かべた。
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《お年玉代わりに、メッセージ本を贈ります。
明けましておめでとうございます!
さっそくこの本の事ですが、これは同タイトルの歌を絵本にしたものです。
この名歌は知ってますか?
なんと、私の1番好きな歌なのです!
なんだか勇気や希望が湧いて来て、1年の始まりにふさわしい歌詞だと思いませんかっ?
まだ真っさらな新しい1年に、私達のラブソングを刻んでこーね!》
ちょっとした行動とか、サンタ演出とか、お年玉とか……
どこか子供扱いな気もするけど。
そんな楽しさのスパイスは、日々を更に鮮やかにしてくれてた。
「これヤバい、かなりグッとくる」
始まりを歌ったその絵本に入り込む。
「でしょでしょっ?
私の心のバイブルなのっ。
その歌もよく口ずさんでたなぁ~。
あっ」
「じゃあ歌ってくれる?俺、知らないんだ」
「今そーくると思いました……」
そう言って渋々歌い始めたキミの歌声は、美声って訳じゃないけど。
チラチラ俺に視線を向けながら楽しそうに歌う姿は、例えようもないくらい可愛いくて……
ひとり悶絶。
当然、歌い終わった後は……
腕の中に閉じ込めて、キスの嵐。
「っっ……
も、道哉っ、しつこいよっ?」
「ひどい事ゆーなよ、これでもセーブしてんのに」
「だって……
早く道哉のおせち食べたいもんっ」
「色気より食い気かよっ。
けど俺も、結歌のスイーツおせち食べたい」
年末、私も作る!って言い出して、スイーツおせちを手掛けた結歌。
オーブンの取り合いとか、作業テーブルの陣地争いとかで盛り上がったり。
たまに、いやけっこう頻繁に摘み食いするキミに……
吹き出したり、キスして阻止したり。
その空間は笑顔で溢れてて、その時間は鮮やかで楽し過ぎた。
巧ん家の分まで用意してくれて。
受け取った巧は、お前ら最強コンビだな!って大喜びしてた。
キミはイカコンビです!って、楽しそうにはしゃいでて……
今回の最強元イカコンビを、未来の日常にしたくなった。
"この道で何らかのトップを目指す"
その夢をキミの夢と重ねて……
2人で最高のカフェを実現したいと思った。
「じゃーん!見て見てっ?
イチゴの紅白ショートでしょ~?
で、きんとん風モンブラン。
黒豆と抹茶のムースに~…」
と、1つずつ紹介していく結歌。
「すごいな、おせち料理に見立てたんだ?」
「そうでーす!道哉のはっ?
1コずつ紹介して下さいっ」
「えーと、左上から鶏とアスパラのロトロ、牛モモ肉のタリアータ、ポルチーニとほうれん草のパルミジャーノフリッタータ……」
俺も順に紹介していくと、感嘆の声が降り掛かる。
そして、箸を伸ばしたキミは……
「ん~っ、美味しっ!
さっすが道哉!あ~幸せっ」
イタリアの正月料理で欠かせない、コテキーノとレンズ豆の煮込みを口にして、ほっこりとした笑顔を浮かべた。
「でもまだまだだよ。
店じゃやっと調理に関わり始めたばっかだし。
このおせちもさ、店長にレシピ聞いたり見よう見真似だし」
「え、だったら余計すごいよっ!
天性っ?才能!?
包丁使いも鮮やかだったしね~」
「……そんなんじゃないよ。
巧と住んでた時はメシ係だったから、鍛えられたんだよ」
小3から炊事してた事も理由も、隠したい訳じゃない。
だけどやっぱり、新年早々楽しさに水を差したくなかった。
「結歌、これ絶品。
えと、伊達巻き風チーズロールと、昆布巻き風コーヒーブラウニー?」
「ほんとっ?
えっへん!未来のパティシエールですからっ。
それより、その好みだとティラミスも好き?」
「うん、1番好き」
毎年誕生日に買ってくれてたワンカットのティラミスは、親父の大好物で……
それは俺の大好物にもなって、1年に1度の楽しみだった。
「腹一杯になったし、初詣でも行きますかっ」
「あっ、じゃあ食後の運動に、手ぇ繋いで歩いて行こっ?」
「この寒いのに?」
「そう!この寒いのにっ。
楽しい発見が出来るかもしれませんよっ?」
結歌らしくて、それだけで心があったまる。
キミの隣ならずっと……
鮮やかで、楽しくて、あったかいと思った。
神社で手を合わせて……
改めて、キミと2人でカフェがしたい。
そんな未来への道が始まるように祈った。
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